A19円、B14円、C9-10円、D6-7円
中賃が目安答申 「大幅引き上げ」の世論無視
低額と格差拡大に官民40人が抗議行動
中央最低賃金審議会は10日、07年度の地域別最低賃金引き上げ額の目安について、ランク別に「A・19円、B・14円、C・9〜10円、D・6〜7円」(全国平均14円)とする答申を厚生労働大臣に提出しました。会場の中央労働委員会前には、全労連・国民春闘共闘に参加する単産代表らが抗議・要請行動を取りくみ、「平均14円の答申は低すぎるぞ」「目安で地域格差を広げるな」など怒りのシュプレヒコールを唱和しました。各地方の審議は16日より本格化します。
今年の地域別最賃の審議をめぐっては、内閣府の「成長力底上げ戦略推進円卓会議」が「従来の考え方の延長線上ではなく、パートタイム労働者や派遣労働者を含めた働く人の『賃金の底上げ』を図る趣旨にそった引き上げ」を要請したことを踏まえての議論となりました。これを受けた厚労省は、志もなく、先進国の水準も無視した13円〜34円の幅で4つの考え方を示しました。
審議会で、労働者側委員(連合)は、「高卒初任給の水準あるいは一般労働者の平均賃金の50%の水準は、時間給換算で900円を上回る」ことなどあげ、「今年度は50円程度の引き上げを図るべき」と主張。一方の経営者側委員は、「原油をはじめとした原材料価格が上昇する一方で、仕入れ価格を販売価格へ転嫁できないことから、中小零細企業の経営は厳しい状況にある」ことなどから、従来方式の「賃金改定状況調査の第4表の数値(5円)をベースに議論すべき」と主張しました。
このように労使の意見の隔たりが大きく一致しないことから、公益委員として、「成長力底上げ戦略推進円卓会議における賃金の底上げに関する議論にも配慮」したうえで、労使の意見などに表われた諸般の事情を総合的に勘案し、ランク別に「A・19円、B・14円、C・9〜10円、D・6〜7円」とする答申をまとめたものです。公益委員見解は、第3項で地方最低賃金審議会に対し、「公益委員の見解を十分参酌され、自主性を発揮されることを強く期待する」とし、第4項では政府に対して、「小規模企業を含めた中小企業全体の労働生産性の向上に向け、『中小企業生産性向上プロジェクト』の施策の具体的な実施に全力をあげて早急に取り組むことを要望」しています。
中賃答申を受けて、最賃審議の舞台は13日の週から各地方に移ります。多くは16日、17日に集中しており、8月中〜下旬にはほとんどの地方で改定答申が出される予定です。
「今年こそ大幅引上げを」。7・25中央行動に2000人
10日朝、代表40人が中労委前で抗議行動
全労連・国民春闘共闘と公務労組連絡会は7月25日、「最賃大幅引き上げ、公務員賃金改善!」をかかげ、07夏季闘争第3次最賃・人勧デー行動を取りくみ、全国から公務職場の代表、民間単産代表ら2000人が参加。日比谷公園での決起集会をはじめ、霞ヶ関周辺の人事院・厚労省・行革本部・関係省庁要請、銀座パレードなどを展開しました。
さらに、中央最低賃金審議会・目安小委員会の審議にあわせて、7月31日に厚生労働省前宣伝行動(50人)、8月7日には赤坂・茜荘前で要請行動(50人)などを取り組んできました。
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地域最賃額の目安答申が出された10日朝には、中賃審議会の開催にあわせて官民各単産の代表など40人が中央労働委員会前に駆けつけ、抗議・要請行動を展開しました。(写真:1面)
あいさつした全労連・大木寿副議長は、「不当な答申に厳しく抗議する。地方で大きな運動を展開していかなればならない。参議院選挙の結果、格差是正やワーキングプアーをなくせの国民の思いを政府が真摯に受け止めるのであれば、このような答申はあってはならない。格差が広がりAランク19円、Dランク6から7円と格差が拡大する。D、Cの低い所は経営側と激しい攻防になる。アメリカで250円引き上げ、さらに米民主党は1、100円の案も。イギリスは1、300円台になった。貧困をなくすために最賃を引き上げるという世界の流れを、日本の流れにしていこう」と強調しました。
民間からJMIU、生協労連、金融労連、自交総連、全国一般東京地本、公務から国公労連、自治労連の代表がつぎつぎマイクを握り、低額と格差拡大の答申を厳しく糾弾するとともに、地方審議会にむけて全力でたたかう決意を表明しました。
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