貧困撲滅、ストップ改憲!
国民春闘討論集会に 全国から235人
要求と運動に確信を
「なくせ貧困、ストップ改憲!つくろう平和で公正な社会」−国民春闘共闘委員会は11月30日〜12月1日、静岡県伊東市で08国民春闘討論集会を開きました。23単産38地方から235人が参加し、春闘要求をはじめ地域春闘や統一行動、新テロ特措法・改憲阻止のたたかいなどをめぐって討論しました。国民春闘方針案は補強意見などをふまえ、1月18日の第1回単産・地方代表者会議で確定します。
主催者あいさつで坂内代表幹事(全労連議長)は、職場や地域できびしい生活を余儀なくされる人々が増えているとして、「貧困撲滅春闘」を呼びかけました。被災者生活支援法の改正や、母子家庭への児童扶養手当削減の凍結など、参院選後に生まれた政治情勢について述べ、「私たちの要求と運動で政治が動く可能性がある。ここに確信をもつことが大きなポイントだ」と強調。日雇い派遣や偽装請負などの劣悪な働かせ方が広がり、働く人々の貧困化が進んでいると指摘した上で、「すべての国民に健康で文化的な生活を保障する『貧困撲滅春闘』をたたかう必要がある」と述べました。最低賃金の引き上げなど労働者の課題だけにとどまらず、下請け単価の確保や、農産物価格の保障、生活保護の拡充などの課題を結集軸に、職場、地域で幅広い共同を進める積極的な取り組みを呼びかけました。
貧困なくす国民的共同へ、エールを交換
春闘方針案を小田川事務局長(全労連事務局長)が提案。08春闘の意義、情勢の特徴について解明しながら、要求課題と運動について提起しました。とくに、@「だれでも月額1万円、時間給100円の賃上げ」を掲げる賃金底上げ、派遣法の抜本的見直しと労働時間の短縮を重視した働くルール確立のたたかい、トヨタなど大企業のぼろ儲けを社会的に還元させる運動、A地域社会の安全・安心の実現を求める取り組み、B改憲策動に反対し平和と民主主義を守る憲法闘争について具体的に説明しました。
貧困をなくす国民各層のたたかい、地域からの国民的共同の運動づくりについて、3つ分野から特別報告が行われました。
「なくせ貧困、最低賃金の国民的な大運動を」と題して全労連・大木寿副議長は、「私たちの要求が世論となり、労働団体と野党の一致した要求になり、今年の最低賃金は二桁の引き上げになった。改正最低賃金法に生存権の趣旨が書き込まれ、人間らしい生活を保障する最低賃金をつくる道を開いた。これを確信に全国一律最低賃金制をめざすたたかいを広げよう」と述べました。
「憲法25条の輝きを今こそ生活保護に」と題して全生連・辻清二事務局長は、生活保護切り捨てとのたたかいを報告し、「“貧困は自己責任ではない”と自ら立ち上がり、幅広い共同が広がっているのが特徴。生存権とナショナルミニマム(国民生活の最低保障)確立をめざす共同をすすめよう」と訴えました。
農民連・笹渡義夫事務局長は「08春闘は農民のたたかいだ」と強調。「稲作労賃が時給256円(06年実績)で、生産費も賄えない事態に怒りが広がっている。農業自由化路線が破たんし、見直しを余儀なくされている。国民全体の底上げ、最賃1000円と農産物価格…ともにたたかう国民春闘に」とエールを送りました。
「時給1000円要求」で、目に見えて改善
討論では官民の単産、地方代表ら31人が発言。参議院選挙後の新たな情勢の変化や、貧困撲滅、格差是正を求める共同の広がりが紹介されました。また、春闘全体の「構え」に対する意見、貧困撲滅にむけた最賃の引上げ、働くルール確立の闘争強化などをめぐって補強意見や要望が出されました。統一行動をめぐっては2月13日の「中央行動」、3月上旬の「産別共同行動」についての質問や要望が出されました。(以下は討論の概要です)
●ワーキングプア解消へ、最賃、公契約、均等待遇
討論では、職場、地域のワーキングプア解消に向けた取り組み報告や意見が出されました。
自治体や公共サービスで働く臨時・非常勤職員の待遇改善を求める「自治体キャラバン」。各自治体に労働条件を明らかにさせる取り組みを積み重ね、時給引き上げを要請するなかで、100円以上の大幅な賃上げを実現させたことが、複数の地方組織や自治労連から報告されました。自治労連は「目に見えて時給が上がり、こんなに最低賃金を身近に感じたことはないと確信が広がっている。官製ワーキングプアをなくせ、と攻勢的に取り組んだ結果だ。08春闘も最低額の引き上げを追求したい」と述べました。
通信労組は、「携帯電話と光フレッツ(高速回線)を利用できる賃金をよこせ!というのがNTT非正規労働者9万人の要求だ」と述べ、大幅賃上げをめざすたたかいを報告しました。
国や自治体の発注事業に生活できる賃金・労働条件を保障させる公契約の取り組みで、千葉は「(入札価格の低下で)委託先は非正規労働者に対し『正社員にするどころか外国人の派遣に切りかえたいぐらいだ』と言う。公契約のルール作りが必要だ」と述べました。
著しい収入減が深刻な介護とタクシー業界。福祉保育労は「時給1000円でも年収200万円。要求額が少ないとの意見もある」、日本医労連は医師・看護師増員と地域医療を守るたたかいを紹介し、「介護ヘルパー職賃金の要求額設定を検討している」と報告しました。自交総連は仙台でタクシーの参入・増車禁止になるなど規制緩和を是正する動きが生じていることにふれ、「行政と政治の変化に一気にたたみかける力の集中を」と述べました。
最賃引き上げでは「最賃1000円の実現に向け、ネットワークをつくって賃金底上げに取り組む。中小企業経営者の共感と未組織労働者の立ち上がりを得るための大胆な方針提起を」(東京)、「自民党までが格差の問題にふれ始めている。全国で1000分のハンストを提起しては」などの意見が出されました。
生協労連は来春施行される改正パート労働法を活用し、均等待遇を前進させる春闘にしたいと述べました。
●偽装請負是正、公正取引、公共サービスも
JMIUは職場の派遣・請負労働者との対話を進めるなかで、会社の働かせ方が偽装請負であることを発見し、07春闘で直接雇用を約束させた取り組みなどを報告。「青年と一緒にたたかえば勇気付けられ、変えることができる」として、偽装請負是正の約束をほごにした日亜化学とのたたかいを通じて青年が「正社員化の波を起こしたい」と変わり、それが全国の労働者を励まし、たたかいが各地に広がっている。「偽装請負の洗い出しを各職場で進めていく」と述べました。映演労連も、マッスル争議を通じた青年の変化を紹介して、「(不当な処遇に)立ち上がり反撃する若者が生まれている。労働運動の大きな可能性が見える」と報告しました。
トラック労働者を組織する建交労は原材料価格の高騰にふれ、「問題は運賃に転嫁できないことだ。企業の枠を超えた産別統一闘争と制度政策闘争が必要」だとして、この間、公正取引や適正運賃を求めてたたかってきた経験を報告。「公正取引委員会も対策に乗り出すことになり、関西ではバラセメント単価の引き上げが実現した。たたかえば前進できる春闘だ」と述べました。愛労連は、「トヨタは貧困と格差の根源だ」と指摘。「下請企業には年2回の単価切り下げを強要し、創業者の株主配当だけでも900人を雇用できる。ぼろ儲けを社会的に還元させる大運動を2月に取り組む」と述べました。
国公労連は、101の独立行政法人の統廃合計画について、国民生活センターと製品評価技術基盤機構を統合するなど「国民の安心・安全を守り、生活の基盤を支える役割を壊すものだ」と述べ、公共サービスを守る共同を広げて阻止しよう」と訴えました。自治労連も「公共サービスが地域からひきはがされている」と指摘。市町村合併で役場や病院が遠くなり、是正を求める首長や世論の広がりを紹介し、「地方から攻めのぼる春闘にしたい」と決意を語りました。
(以 上)