2008国民春闘共闘情報
全労連HP

第 10 号  2008年01月23日

 

「なくせ貧困」の国民共同づくり

悪政と大企業の横暴に挑むたたかい

 第1回単産・地方代表者会議で「春闘方針」を確立

 国民春闘共闘委員会は1月18日午後、都内のエディカス東京に19単産・団体5地方の代表ら56人が参加して第1回単産・地方代表者会議をひらき、「08春闘方針」を確立しました。
 要求課題と運動は、@格差と貧困是正をめざした賃金底上げ、働くルールの確立のたたかいで、すべての組合が「誰でも月額1万円、時間給100円」の引上げ、A組合員が生活する地域社会の安全・安心の実現を求める取り組み、B改憲策動に反対し、平和と民主主義をまもる憲法闘争を強める−課題を旺盛に展開することを柱としています。


執念をもって、賃上げと貧困撲滅を

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 主催者あいさつした坂内三夫代表幹事(全労連議長)は、大企業の大儲け、貧困と格差の実態にふれながら、「財界・大企業の横暴をこれ以上許せば、日本社会の未来が奪われる。『貧困撲滅』の国民春闘が求められる」と強調し、「執念をもって賃上げ闘争を闘いぬくとともに、下請単価、農産物価格、最低保障年金や生活保護の充実など、すべての民主勢力と国民の力で、貧困撲滅の歴史的な春闘の前進を」と呼びかけました。
 小田川義和事務局長が「08春闘方針案」を提案。年明け早々の情勢の特徴について補足し、福田内閣の支持率の低下、新テロ特措法の強行と民主党対案の危険性を紹介。第169通常国会の焦点として、社会保障費の総額2200億円削減と後期高齢者医療制度の問題、ガソリン・軽油など燃料税暫定税率の廃止問題、原材料高騰問題などに取り組む姿勢を表明しました。
 賃金底上げ、働くルール確立のたたかいでは、春闘要求アンケートの結果なども示しながら、すべての組合が「誰でも月額10,000円以上、時間給100円以上」の賃金引上げ、「月額15万円、日額7500円、時間額1000円」以上の企業内最賃の実現、非正規労働者の均等待遇実現の要求を確認し、具体的な成果をめざすことを改めて強調しました。07春闘の教訓を踏まえ、要求討議の徹底と要求書の提出、ストライキを背景とした回答引き出しという原則的な活動を重視することや、すべての組織で「総対話運動」を追求することを要請しました。
 春闘期における統一行動では、1月31日の「08国民春闘勝利!総決起集会」を成功させることをはじめ、2月8日を中心にキャノン・トヨタなどの大企業向け宣伝行動(地方ごとに具体化)、2月13日に民主団体と共同で「なくせ貧困!総行動」、2月27〜29日のゾーンで地域総行動を各々が設定、3月5日には官民共同による「08春闘勝利!中央行動」を実施します。その上で、2月末日までの要求提出、3月12日を集中回答日とし、翌13日に「ストライキを含む全国統一行動」、4月23日には第2次回答日を設定して要求の前進をはかります。






賃上げ・最賃引上げを表明。組織拡大も重視

 賃上げと待遇改善、制度・政策課題の追求など討論

 代表者会議は、「厚労省&日本経団連包囲・丸の内デモ」と同日開催となり、討論時間が制約されたなか、生協労連をトップにJMIU、建交労、映演労連、公務労組連絡会、自治労連、神奈川春闘共闘の代表など7名が発言に立ち、方針案を補強しました。各々発言要旨を紹介します。

 生協労連の桑田委員長は、昨日と当日午前の厚労省交渉の要点を紹介。改正最賃法の早期施行、生活保護基準との整合性ある正確な比較方法を求めながら、「地方の最低賃金審議委員に全国23地方で立候補の準備をしている。パート・非正規の代表を入れるべきとの声を、各地方から発信していく」と述べました。
 JMIUの三木書記長は、「『貧困』と言っても、組合員は他人事のように受け止める傾向がある。自分の隣、自らの中の貧困を見つめ直す必要がある」と指摘し、08春闘では「生活春闘」として、@要求アンケート、A家計簿調査、B一言メッセージにも取り組んでいると報告。最賃闘争とあわせ、「大幅賃上げ要求の実現を重視」した統一行動の意義を訴えました。
 建交労の藤好副委員長は、トラック業者の9割が燃料費アップ分を転嫁できていないと答えていることを紹介したうえで、「今春闘は物価高騰とたたかう社会的責任のある春闘だ。トラックでは政治問題化してきた軽油の暫定税率問題について、労使で廃止を求めている。春闘期に暫定税率廃止を確定させ、賃上げを勝ち取りたい」と述べました。
 映演労連の梯書記長は、原材料の高騰や米脚本家組合のストが経営を圧迫するなど対米従属の経営体質を紹介。映画産業に働く若者を組織化する決意を述べるとともに「最近、経営者のなかに労組への嫌悪感が広がっている。労働者のなかにも不理解が多いようだ。08春闘では労組を前面に出してたたかう」と表明しました。
 公務労組連絡会の黒田事務局長は、官製ワーキングプアが取り沙汰されるなか、連絡会として初めて「非正規労働者交流集会」に取り組むことを紹介したほか、社会保険庁の解体問題では「職員の雇用問題に絞らず、公的年金制度を守る観点での運動づくりをめざす」と述べました。
 自治労連の鈴木中執は、憲法署名や非正規職員の処遇改善を紹介。昨秋からの確定闘争で非常勤職員の時給を10円、20円…100円と引上げてきたと報告。あわせて「春闘期には自治体病院の存続問題を取り組む。命と暮らし、地域を守る運動の先頭に立つ」と強調しました。
 神奈川春闘共闘の水谷事務局長は、「明るく元気にたたかうには仲間を増やすことだ」と述べ、神奈川労連が昨年秋の拡大月間で約5300人を増やしたと報告。国民春闘の課題では「いま、ガソリン代と後期高齢者医療制度、消費税で国民の怒りが共有できる。スト含む全国統一行動の3月13日には諸要求実現の運動とも合流すること」を呼びかけました。






 ●主催者あいさつ 坂内三夫代表幹事 

すべての組合が賃上げ・最賃要求。貧困撲滅の運動を


 昨年一年間を振り返ってみますと、貧困と社会的格差の広がりに対し、労働組合運動が不十分とはいえ、いつくかの成果をあげた一年でありました。貧困・格差の最大の要因・非正規雇用の問題では、JMIU、全国一般、建交労、全印総連などの少なくない企業・職場で、青年労働者の正社員化をかちとりました。

 最低賃金は、10年ぶりの2桁、全国平均で14円の引き上げとなりました。結果的には民主党が妥協して、生計費原則や全国最低賃金は実現しませんでしたが、春闘共闘が主張してきた生活保護との整合性を加えた最賃法の改正もありました。行革路線の枠を突破し、医師・看護師や教員定数の増員も前進させました。国民的課題でも、参議院での与野党逆転という政治状況を生かして、住宅本体への適用を実現した被災者生活再建支援法の改正、薬害肝炎被害者救済法の成立、米価暴落への歯止めなどで大きな成果をあげました。関係者の努力とともに、全労連・春闘共闘も要求実現のために少なからぬ役割を果たすことができました。

 同時に、昨年の社会状況を特徴する文字として、偽装の偽の字が選ばれました。社会の嘘と偽りを暴いてきた運動の反映でもありますが、労働者の働き方をめぐる偽装、食品をはじめ企業の安全管理の偽装、政治資金や年金の偽装、偽装社会の横行を許していること自体、労働運動の役割が問われた年でもありました。
 今年は、希望や信頼を実感できる一年になるよう決意を新たに頑張りたいと思います。参議院選挙の国民の審判を受けて、労働者や国民の要求と運動が政治を動かすという新しい可能性が生まれる一方で、大連立騒動、新テロ特措法の採決に象徴されるように、表面での対決の裏側で新たな談合政治が始まっています。

 こうした中で、いよいよ08春闘がスタートします。経団連の経労委報告は次のように述べています。「わが国の労使関係は、対立の構図が現実とは無縁なイデオロギーの産物にすぎないことを共通理解とし、協調的な労使関係を築きあげてきた。企業内労使関係を特徴とする日本型雇用システムは健全に機能している」。これほど、現実離れした言葉はありません。この5年間に、企業収益、役員報酬、株式配当が2倍・3倍に膨れあがった一方で、労働者の賃金は9年連続して減り続け、生活保護にも満たない年収200万円以下が1023万人、日雇い派遣、偽装請負、雇い止め。労働者がまるでボロキレのように使い捨てられている。こうした実態に目をつむり、これを招いてきた企業第一主義の労使関係を賛美し、たたかう労働組合を「現実とは無縁のイデオロギーの産物」などと攻撃せざるを得ないこと自体が、進行する貧困化の現実の深刻さと、労働者のたたかうエネルギーの高揚に対する財界・大企業の危機感を現すものではないでしょうか。

 財界・大企業の横暴をこれ以上許せば、御手洗会長がいう「希望の国」どころか、貧困化がますます深刻になり、少子化が一段と加速し、地球環境が破壊され、日本社会の未来が奪われる。その意味においても、08春闘は今日の社会状況と切り結ぶ「貧困撲滅」の国民春闘が求められているのではないでしょうか。

 そのために、すべての組合が誰でも1万円以上の賃上げ、時間給1000円以上の最低賃金を要求し、ストライキを含む断固とした賃金闘争を闘うことを呼びかけます。賃上げによる個人消費の拡大が経済活性化の決め手であり、大企業内部留保のわずか2.6%を取り崩せば、全労働者に1万円以上の賃上げが可能であります。そのことを考えれば、これは労働組合に託された国民的使命であります。全国の職場と地域から執念をもって賃上げ春闘を闘いぬき、これと結合して中小業者の下請け単価、農民の農産物価格、高齢者の最低保障年金や生活保護。憲法25条で保障された「すべての国民の健康で文化的な最低限度の生活」を確立する。

 そのためにも、業者団体、農民団体、女性・青年団体、医療関係団体、すべての民主勢力と国民の力を総結集するために、情勢にふさわしい労働組合の役割を発揮しようではありませんか。貧困撲滅の国民的な運動に、すべての民主勢力の力を集中することができるなら、歴史的な08春闘が前進するものと確信します。
 単産・地方春闘共闘の積極的な討論によって、08春闘のたたかう決意を固めあうことをお願いして主催者を代表しての挨拶と致します。頑張りましょう。

  




 
 なくせ貧困、ストップ改憲! つくろう平和で公正な社会

 




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