第4回 08春闘進ちょく状況調査
要求提出73%に。回答いまだ47%
平均5067円。夏季一時金とセット解決へ
国民春闘回答集計センターは5月30日、全単組を対象とした春闘進ちょく状況の第4回調査を実施した。各単産は、連休明け後に回答促進・上積みのたたかいを取りくみ、改めて要求提出を追求してきた。その結果、今回は25単産から4024組合の報告があり、要求提出は73%(前回5/7は70%)まで改善し、スト権確立も59%に増えてきた。平均賃上げは5067円で、2%をキープ。このほか、回答引出し47%、妥結23%など前年同期とほぼ同じ水準で推移している。
要求提出組合数は73%に。前回比3P改善
[調査組合数、要求提出数]
調査組合数の報告計は25単産の4024組合で、ほとんどが中小労組である。昨年の最終集計(6月末)で全体計は4432組合(26単産)だったが、現時点で要求提出・回答引出し中の全国私教連(約300組合)は調査対象からはずしている。
要求提出は、計2948組合で全体の73%(前回5/7時点で70%)に増えてきた。4月段階で要求提出が低かった単産が改めて指導したり、100%提出を追求した結果、映演労連が100%、日本医労連が83%、福祉保育労が56%など13単産で各々2〜50ポイントの改善を図ってきた。前年同期比でも1ポイント改善させている。
回答引出しがいまだ47%。妥結は23%
[回答引出し、妥結数]
回答引出しは計1887組合で、前回5/7時点の38%から大幅に改善させたが、いまだ47%(前年同期は46%)の水準にとどまっている。遅れている要因は、(1) ここにきて景気の減速、後退がはっきりしてきたことによる「先行き不安」、(2) 中小企業を中心に原油や素材の高騰を価格に転嫁できないことなどで、(3) 景気や経営事情を悪用した回答延期などが指摘されている。建設業や商業・サービス、自治体関連の福祉保育などから厳しい実態が報告されている。こうしたなか、5月段階の取りくみで、建交労、建設関連労連、自交総連、全倉運、生協労連、金融労連、映演労連、日本医労連などで回答引き出しを着実に前進させてきた。
うち妥結または妥結方向に達しているのは935組合で、いまだ23.2%(前年同期は23.7%)にすぎない。妥結しているのは「純ベア確保」「前年実績以上の回答」や「定期昇給分を確保」した組合が中心である。「妥結・妥結方向」は繊維産労と合同繊維、検数労連、郵産労の4単産が100%、比較的高率で「全体としてほぼ集約方向」に向かっているのは、化学一般労連59%、全倉運93%、全損保62%、出版労連78%など。このほかの単産では、未解決が多くなっている。
ベア獲得23%、不当回答も。単純平均は5067円
[回答の内容]
回答内容では「ベア獲得」組合数が431組合で、回答引き出し数の23%になった(前年は未調査)。不誠実回答では「定昇あり・ベアゼロ」が相変わらず552組合と多く、「定昇カットなど」は27組合に減った。また、「定昇なし・ベアゼロ」が129組合に急増したのも特徴である。こうした低額・不当回答は計716組合(前年同期は700組合)に増えている。なかでも、建設関連労連、全損保では今のところ「ベアゼロ」などが90%以上。このほか、全倉運、金融労連、民放労連、日本医労連などで各々80%台の高率となっている。
平均賃上げ額については、金額または引き上げ率の報告があった1362組合の単純平均で5067円、2.03%になった。これは前年同期比で206円の増。引上げ率も2.03%で、0.08P増となっている。個別に見ると、対比可能な17単産中、プラスが11、マイナスが6で、増額させた単産のほうが多く、建設関連労連の+2624円、金融労連の+905円、全農協労連の+831円、合同繊維の+708円など増額幅も大きいことが影響している。平均額が高いのは、建設関連労連8542円につづき、民放労連7194円、出版労連6436円、映演労連5983円などマスコミ関係が上位にランクし、金融労連5900円、JMIU5733円、繊維産労5727円などが続いている。
スト権確立は59%に改善。実施は17%
[スト権確立、実施数]
スト権を確立したのは計1895組合で、調査計の実質で59%(昨年同期は55%)に改善してきた。この要因は、3月末時点の確立数が49%で過半数に満たない実態を重視し、常任幹事会あげて注意を喚起するとともに、各単産も低額回答を直視し、産業別の「ストライキ闘争」の重視を呼びかけたことによる。高率で確立したのは検数労連、通信労組、全損保、郵産労の単一組織がともに100%で、特殊法人労連89%、合同繊維83%、建交労82%、JMIU77%、映演労連76%、全証労協72%などである。
うち、ストライキ実施組合数(指名スト含む)はのべ535組合、17%で、少ないながら昨年(548組合、17%)と同水準であった。集中回答翌日の「3・13全国統一行動」後が264組合で、その後、「3月末決着めざす統一行動」後に422組合、「4・23第2次全国統一行動」後に528組合となり、その後は7組合の実施にとどまっている。産業別にはJMIUが「3・5リレースト」「3・13統一スト」などでのべ170組合・55%、通信労組は全支部が「3・13統一スト」に結集して100%、検数労連も100%、このほかでは全印総連27%、映演労連が24%、民放労連22%が比較的高率でストライキを決行して奮闘し、数的には建交労の126組合、日本医労連の88組合が見られる。
夏季闘争に移行。最賃・人勧闘争とも結合して
以上の数値と各単産からの報告を総合すると、春闘の進ちょく状況は5月末段階で「スト権確立」の回復が目立ち、「要求提出」「回答引き出し」とも若干改善され、回答金額も前年比+206円(+0.08ポイント)で増額を堅持している。その他の項目は前年と同水準で推移している状況である。しかしながら、回答引き出しが未だ47%の水準であり、ひきつづく奮闘が求められる。
この間、登録組合の回答水準では単純平均額が前年を上回り、パート賃上げ、企業内最賃でも奮闘している。職場の制度的諸要求を獲得する組合も増えている。いま、各単産では夏季一時金の要求提出がすすみ、回答引き出しに移行しており、春闘未解決組合では一時金要求の獲得とセットでのたたかいになってきた。
国会では四野党共同提案の「後期高齢者医療制度廃止法案」が参議院で可決され、週明けにも衆議院での審議が開始される。働くルールを巡っては「派遣法を労働者保護法に」の流れをつくり、福田首相も「派遣労働者を守る制度を空洞化してはいけない」として、偽装請負や違法な派遣への取り締まり強化を厚生労働大臣に要請した。こうした国会闘争は、13日の会期末を前に最後の山場を迎えており、来る11日(水)の国会行動には国民大運動、中央社保協の諸団体や全労連各労組の座り込み行動とともに、連合も大規模な国会行動を準備している。
最賃・人勧闘争は、5・30第2次最賃デー・中央行動(厚労省前1000人、日比谷集会・国会請願2000人)につづき、6月20日には厚労省前で687分(11時間27分)のハンガーストライキを中心とする第3次最賃デーが準備されている。
国会行動への積極参加を含め、中央や地方・地域の取りくみにも結集しながら、熱い夏季闘争に精一杯奮闘しあいましょう。
08春 闘 第4回 進 ち ょ く 状 況
2008年6月06日現在 ●国民春闘共闘委員会
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