既決分中心に2.23カ月+α
平均78.3万円。前年比―1万円
夏季一時金第1回集計。回答引出し中、中小は苦戦
2008年6月09日 国民春闘回答集計センター
産業別・単産別総括表
個別回答一覧
1.国民春闘回答集計センターは6月6日、夏季一時金回答の第1回集計を実施した。登録組合の41%にあたる293組合(22単産・部会)が回答を引き出し、うち年末や春闘時の協定など「既に決まっている夏季分」を中心に128組合が妥結している。
2.回答+妥結状況は別表のとおり、集計結果は以下のとおりである。
(1) |
登録組合数 |
714組合 |
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(2) |
回答組合数 |
293組合 |
回答引出し率 |
41.0% |
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うち2次回答以上 |
62組合 |
上積み回答率 |
21.2% |
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うち前年実績額以上 |
87組合 |
金額回答数の |
29.7% |
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妥結組合数 |
128組合 |
妥 結 率 |
17.9% |
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(3) |
[回答+妥結] |
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単純平均 |
293組合 |
2.23カ月+α |
782,945円 |
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前年同期比 |
(07.06.08) |
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753,546円 |
+3.90% |
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前年実績比 |
(同一組合) |
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793,754円 |
−1.36% |
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加重平均 |
6.7万人 |
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935,666円 |
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前年同期比 |
(07.06.08) |
8.7万人 |
794,970円 |
+17.70% |
3.回答+妥結の特徴はつぎのような諸点である。
1) 昨年末や春闘期に夏季一時金を含めて協定した組合は、建設関連労連、JMIU、全倉運、生協労連、外銀連、全印総連、出版労連、民放労連などの128組合である。また、5月末から6月上旬にかけて、各単産が回答指定日をむかえ統一行動を背景に第1次回答を引き出しつつある。
全体の傾向は第1に、回答を引き出した組合数が前年比41組合減っていることである。第2は、単純平均が78万2945円で前年最終実績額(同一組合)との対比で1万0809円減(1.36%減)となり、6期連続の増額基調に「赤信号」が灯ったことである。なお、加重平均が93万5666円でも前年同期比17.7%もの増額になっているのは、比較的高額なマスコミ関係の回答が先行していることによるもので、今後、順次低減することが予想される。
2) 回答を引き出した22単産・部会中、月数・金額とも前年を上回っているのは、建交労建設、建設関連労連、化学一般労連、郵産労、全倉運、日本医労連の6組織で、金額のみ上回っているのは全印総連と地方登録組合の2組織である。一方、製造業、交通運輸、マスコミ関係などの13単産・部会がマイナス傾向を示しているのが特徴である。規模別集計でも、1〜29人を除く各ランクでマイナスとなり、30〜99人では−3.87%という厳しい状況である。
減額の理由は、「3月期の赤字決算」や「景気の減速、不透明感」が共通している。また、団塊の世代が大量退職・再雇用(賃金半減、一時金は些少)されたことによる「基準賃金の低減」も「平均額の減額」となって現れている。端的なのは金融労連で、月数は前年比+0.11カ月なのに金額は同−1万5134円という状況も見られる。
一方、増額となった理由としては、「(若干の)増収増益、受注の回復」がほぼ共通しており、「昨年の水準が悪すぎたことで経営側も改善に努力」(建設関連)、「人材確保のため、この間の減額分を元に戻した」(医労連)などがあげられている。
3) 高額回答については、最高が出版労連の組合で275万円などマスコミ関係を中心に150万円以上が14組合報告されている。月数でも出版労連の3組合が5.0カ月の満額を獲得。前年実績額以上については87組合(金額回答数の30%)が引き出した。第2次回答以上の上積みは62組合(回答数の21%)で、これまでの最高回答次数は日本医労連の組合が第5次回答まで積み上げ、第4次回答もJMIU2組合、民放労連1、出版労連1の計4組合みられる。
4.他団体の集計結果について
連 合 |
6月02日現在 |
月 数 |
金 額 |
(引上げ率) |
単純平均 |
2364組合 |
2.11カ月 |
548,558円 |
+0.11% |
加重平均 |
138.9万人 |
2.34カ月 |
720,460円 |
−1.02% |
日経連 |
5月22日現在 |
月 数 |
金 額 |
(引上げ率) |
単純平均 |
大手 86社 |
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776,770円 |
+1.79% |
加重平均 |
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930,329円 |
+0.59% |
物価高で要求切実。生活改善につながる一時金を
5.今後の闘争強化について
今年の夏季一時金は以上のように、年明け以降の景気減速と業績の先行き不透明感などを反映して、若干の減額基調でスタートした。一方、4月以降の生活関連物価の高騰(4人世帯で4795円の負担増)や、5月以降のガソリン代値上げ(1世帯平均1586円の負担増)や健康保険料の値上げなどによって、春闘の賃上げ分はすでにマイナスになっている。それだけに、今季の一時金は生活維持・改善のために予定している生活費として切実な要求になっている。
これまでに13単産が回答指定日を迎え、9日以降には全倉運(9日)、日本医労連(12日まで)、合同繊維(12日)、化学一般労連(16日)、全労連全国一般(6月中旬)などが回答指定日を迎えようとしている。連動した統一行動が設定され、回答引き出し・上積みをめざす。こうしたことから、全体ではいま、半数近い組合が回答を引き出した段階だが、週末には過半数の組合が回答を引き出すものと思われる。
これまでのところ、増収増益や業績回復だけでなく厳しい経営実態のなかでも労使関係が良好な中小企業の回答には一定の配慮が見られる。こうした実情を踏まえ、産業別統一闘争の強化をはかり、前年実績を超える月数・金額の獲得、さらにパート・アルバイト・非常勤などで働くすべての仲間への支給、底上げが期待される。
こうして夏季闘争は、多くの単産が支給日との関係で一時金の決着期を「6月末」または「7月上旬」としており、今月下旬には産業別の交渉・統一行動集中など最大の山場を迎えようとしている。
(以 上)
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