生活保護との整合性で時給1000円以上
怒りのハンスト687分を決行
6・20第3次最賃・人勧デーを展開
国民・東京春闘共闘と全労連、公務労組連絡会は20日、「第3次最賃・人勧デー」を全国的に実施。中央では、早朝8時15分から厚生労働省前で「怒りのハンガーストライキ687分」を決行しました。ハンストには過去最高の48名が挑み、昼休みの「厚労省・人事院要求行動」には官民各単産、首都圏地方から450人が参加しました。「なくせ貧困。最低賃金時間額を1000円以上に」とアピールするとともに、成長力底上げ戦略推進円卓会議が生活保護基準との整合性を無視して「小規模事業所の高卒初任給をめざす」方向を厳しく批判しました。
朝8時15分、小雨が降るなか、48人が、現行最賃の全国加重平均額にちなんだ687分の「ハンスト」を実施。100人を超える支援の組合員も座り込みに突入しました。
「初めてハンストに参加します」。弾む声で決意を語った全国一般東京の大内絵理菜さんは、料理店で働く父の厳しい労働条件の改善と、最賃引き上げの思いを重ねます。「今日はきびしい生活を強いられている人と同じ思いでいたい。団結して人間らしい働き方を実現できればいいと思う」と語っていました。
勤務先の工場を午前中休んで参加したというJMIUの40歳代の男性は「沖縄にいる兄が時給600円台で働いている。生活が苦しいため、最近アパートを引き払い親元に帰った。最賃の大幅引き上げが必要だ」。
民間企業で定年を迎え継続雇用で働く神奈川労連の男性組合員は、『俺は定年だぞ。娘よお願いだから家を出ろ。最賃1000円以上の運動ガンバルから』とプラカードに。男性は「最賃が上がり時給が1200円にもなれば自立できるだろう」と笑みを浮かべました。
高卒初任給では生活保護費を大きく下回る
小田川事務局長が「円卓会議」の方向を批判
昼の厚労省・人事院前要求行動には官民各単産の旗が揃い、東京・首都圏の代表ら450人が結集しました。
主催者あいさつした小田川義和事務局長は、成長力底上げ推進円卓会議で審議される最賃額が高卒初任給をベースとする見込みであることについて、まだ生活保護水準を大きく下回ると批判。使用者側が最賃の引き上げに強く抵抗していることをふまえ、「大企業の不公正取引の是正と最賃引き上げをともに求めることが喫緊の課題。農民、中小業者など、最低生活を確立させていくことと結びながら最賃闘争を進めよう。その条件は整いつつある」と述べました。
決意表明した国公労連の組合員は「国家公務員の高卒初任給は14万円強。低賃金のうえ、生活費は上昇している。公務職場で働く青年労働者は精神的にも肉体的にも追い詰められている」と述べ、人事院勧告での賃金改善とあわせて最賃の引き上げを求めました。
全労連全国一般は「労働相談に訪れる青年のほとんどが年収200万円前後。いま組合結成の準備を進めている職場では、1カ月80〜100時間の残業代込みで月収は21〜22万円。時給に直すと最賃ぎりぎりだ。長時間働かせるために賃金を低く設定している。このような職場にこそ最賃引き上げが必要だ」と力を込めました。(「連合通信・隔日版」より)
労働者の最低生計費を満たす最賃額へ
要請団 厚労省のリーダーシップ求める
座り込みの合間をぬって要請団による厚生労働省交渉を実施。伊藤圭一常任幹事(全労連)は、「円卓会議は高卒初任給に5年かけて到達などといっているが、今回の法改正の趣旨はワーキング・プアをなくすために、健康で文化的な最低限度の生活を保障する最低賃金にするというものだ。厚生労働省がリーダーシップをもって審議会を引っ張っていただきたい。」と述べました。大木寿全労連副議長も「昨年は柳沢大臣が政府の責任で答申した。25条の生存権を踏まえて生計費を満たすものにすることが今回の改正のポイント」と発言。審議会任せにせず、政府として責任を持って水準を示していただきたいと要請しました。また、要請団は、最賃法の改正を知らせるポスターに「生活保護基準との整合性」という、今回の改正の最大の眼目が全く載せられていないことを問題とし、「最賃改正の期待に冷や水を浴びせるもの」と批判。ポスターの刷り直しを要求しました。
生活保護基準との整合性については、都道府県の級地問題に言及。厚生労働省側は「県内各級地の人口加重平均方式」を妥当と説明しましたが、それに対し要請団は、「そのやり方では県都に住んでいる労働者は生活保護基準を割り込むことになる。労働者の多くは県都に住んでいる。県内最高級地の県都で設定するべき」と指摘しました。
厚生労働省は、高卒初任給というのは内閣府の出したものだと答え、生活保護基準との整合性が今回の改定で一番重要だと考えているとの認識を示しました。しかし、要請団から、円卓会議に省として出席しながら、生活保護基準の資料を出しもせず、生計費原則を強めるための努力を何もしてこなかった点を指摘されると沈黙。要請団はイギリスの例などを示しながら、最低賃金を計画的に引き上げることで地域経済が上向くことを改めて説明しました。
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