最終・第5回 08春闘進ちょく状況調査
要求提出73%。回答ようやく50%
平均5085円、2%をキープ。妥結は33%に
国民春闘回答集計センターは6月20日、全単組を対象とした春闘進ちょく状況の最終・第5回調査を実施した。各単産は、夏季一時金の引き出しとともに回答促進・上積みのたたかいを追求してきた。その結果、今回は26単産から4181組合の報告があり、要求提出は73%(前年も73%)ながら回答引き出しが50%まで改善し、平均賃上げは5085円で、2%をキープ。妥結する組合は33%に増えてきた。スト権確立も60%(前年は55%)に改善され、スト実施は前年比微増の18%であった。
要求提出組合数は73%。前年と同率
[調査組合数、要求提出数]
最終の調査組合数は26単産の4181組合で、ほとんどが中小労組である。昨年の最終集計(6月末)で全体計は4432組合(26単産)だったが、現時点で要求提出・回答引出し中の全国私教連(約300組合)は掌握している東京・愛知142組合の報告となった。
要求提出は、計3054組合で全体の73%(前年も73%)となった。4月段階で要求提出が低かった単産が改めて指導したり、100%提出を追求した結果、映演労連が100%、日本医労連が78%、福祉保育労が56%など13単産で各々2〜50ポイントの改善を図ってきた。
回答引出しはようやく50%。妥結は33%に
[回答引出し、妥結数]
回答引出しは計2080組合で、毎回改善させつつ、ようやく50%(前年は47%)の水準に到達した。遅れている要因は、(1) ここにきて景気の減速、後退がはっきりしてきたことによる「先行き不安」、(2) 中小企業を中心に原油や素材の高騰を価格に転嫁できないことなどで、(3) 景気や経営事情を悪用した回答延期などが指摘され、建設業や商業・サービス、福祉保育などから厳しい実態が報告されている。こうしたなか、5〜6月段階の取りくみで、建交労、建設関連労連、自交総連、全倉運、生協労連、金融労連、映演労連、日本医労連、全国私教連などで着実に前進させてきた。
うち妥結または妥結方向に達しているのは1396組合で、いまだ33.4%(前年は31.5%)にすぎない。妥結しているのは「純ベア確保」「前年実績以上の回答」や「定期昇給分を確保」した組合が中心である。「妥結・妥結方向」は繊維産労と合同繊維、検数労連、郵産労の4単産が100%、比較的高率で「全体としてほぼ集約方向」に向かっているのは、全倉運98%、映演労連95%、化学一般労連79%、出版労連78%、JMIU75%など。このほかの単産では未解決が多くなっている。
ベア獲得22%、不当回答も。単純平均は5085円
[回答の内容]
回答内容では「ベア獲得」組合数が453組合で、回答引き出し数の22%になった(前年は未調査)。不誠実回答では「定昇あり・ベアゼロ」が相変わらず668組合と多く、「定昇カットなど」は40組合に減った。また、「定昇なし・ベアゼロ」が141組合に急増したのも特徴である。こうした低額・不当回答は計862組合(前年は782組合)に増えている。なかでも、通信労組と全国私教連、建設関連労連、金融労連、全損保では今のところ「ベアゼロ」などが90%以上。このほか、全倉運、民放労連、日本医労連などで各々80%台の高率となっている。
平均賃上げ額については、金額または引き上げ率の報告があった1487組合の単純平均で5085円、2.02%になった。これは前年同期比で278円の増。率でも0.07P増となっている。個別に見ると、対比可能な18単産中、プラスが11、マイナスが7で、増額させた単産のほうが多く、金融労連の+1129円、全農協労連の+675円、民放労連の+454円など増額幅も大きいことが影響している。平均額が高いのは、民放労連7194円、出版労連6436円、金融労連6180円などで、回答が出始めた全国私教連の9835円は今後の奮闘に期待したい。
スト権確立は60%に改善。実施は18%
[スト権確立、実施数]
スト権を確立したのは計1920組合で、調査計の実質で60%(昨年同期は55%)に大きく改善した。この要因は、3月末時点の確立数が49%で過半数に満たない実態を重視し、常任幹事会あげて注意を喚起、各単産も産業別「ストライキ闘争」の重要性を呼びかけたことによる。高率で確立したのは検数労連、通信労組、全損保、郵産労の単一組織がともに100%で、特殊法人労連89%、合同繊維と建交労が各々83%、JMIU77%、全証労協72%など。
うち、ストライキ実施組合数(指名スト含む)はのべ568組合、18%で、少ないながら昨年(558組合、17%)を1ポイント上回った。集中回答翌日の「3・13全国統一行動」後が264組合で、その後、「3月末決着めざす統一行動」後に422組合、「4・23第2次全国統一行動」後に528組合となり、その後40組合が実施した。産業別にはJMIUが「3・5リレースト」「3・13統一スト」などでのべ170組合・55%、通信労組は全支部が「3・13統一スト」に結集して100%、検数労連も100%、このほかでは全印総連と日本医労連が各々27%、民放労連23%、映演労連21%などが比較的高率でストライキを決行して奮闘した。
要求実現へ諸指標が改善。夏季闘争も山場に
以上の数値と各単産からの報告を総合すると、春闘の進ちょく状況は6月末の最終段階で「スト権確立」の回復が目立ち、「スト実施」も微増となった。また、「要求提出」は前年並みながら「回答引き出し」「妥結」組合数とも2〜3ポイント改善され、回答金額も前年比+278円(+0.07ポイント)の増額で2%アップを堅持している。いずれも08春闘の奮闘ぶりを示すものである。しかしながら、回答引き出しがようやく50%の水準であり、ひきつづき要求実現への取り組み強化が求められる。
この間、登録組合の回答水準では単純平均の金額・率とも前年を上回り、パート賃上げ、企業内最賃でも奮闘している。職場の制度的諸要求を獲得する組合も増えている。いま、各単産・単組では夏季一時金の要求提出がすすみ、回答引き出しの山場を迎えている。今季は、生活関連物価やガソリン代の急騰が家計を直撃しており、春闘未解決組合では一時金要求の獲得とセットでのたたかいによって、働く者の生活改善に図るよう、いっそうの奮闘を期待したい。
08春 闘 第5回 進 ち ょ く 状 況
2008年6月24日現在 ●国民春闘共闘委員会
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