2009国民春闘共闘情報
全労連HP

第 01 号・速報  2008年11月01日

 

物価値上げ分は、積極賃上げで

貧困と生活危機突破の09春闘へ

 09年次総会で「春闘方針骨格案」を討議

 国民春闘共闘は10月29日、東京・全労連会館で09年度年次総会をひらき、09年春闘方針骨格案を討議し、新年度の役員体制、予算などを確立しました。総会には25単産・団体・8地方の代表ら95名が出席。食料品や公共料金などの生活必需品価格が急騰し、米国発の金融危機によって国内景気が低迷しているもとで、「貧困・生活危機突破の大運動で、変えるぞ大企業中心社会」のスローガンを提案しました。重点として、@生活できる賃金、ベア獲得をめざす賃金闘争、A働くルールの確立、雇用を守る、B社会保障の充実、消費税引き上げ反対、C憲法改悪の策動をはね返し、守り、いかすことなどの課題を取り組む09春闘が、熱く語り合われました。



 写真


 主催者あいさつした代表幹事の大黒作治全労連議長(写真)は、いまの政治に求められるのは「大手金融機関の救済ではなく、中小企業や地域経済を活性化させるための抜本的な対策、内需拡大への方向転換です」と麻生内閣の政治姿勢を批判しました。その上で、09春闘を「外需・輸出依存型から内需・生活充実型への転換こそ重要」と協調。すべての労働者の積極的な賃上げ、働くルールの厳守と、非正規労働者の正社員化など、経済を好循環させる体質改善のたたかいを呼びかけました。雇用の不安定化、ワーキングプアなど構造改革路線の悪循環を転換していくためには、国民春闘共闘・全労連の社会的影響力を強化していくことがポイントだとして、「日本経済の仕組みを変えていく春闘へ、企業内、産業内、全国の地域で国民春闘の風をふかし、総選挙の重大争点にしていこう」と訴え、討論を呼びかけました。

● 小田川事務局長が春闘構想案を提案

貧困・生活危機突破の大運動で、変えるぞ大企業中心社会

 写真

 小田川義和事務局長が「09年春闘方針骨格案」を提案。重点課題として、@生活できる賃金、ベア獲得をめざす賃金闘争、A働くルールの確立、雇用を守る、B社会保障の充実、消費税引き上げ反対、C憲法改悪の策動をはね返し、守り、いかす取り組みについて、08春闘の到達点や総括内容を紹介しながら、論議のポイントを説明しました。
これを踏まえた09春闘のスローガンを
「貧困・生活危機突破の大運動で、変えるぞ大企業中心社会」
でどうかと提案し、討論を呼びかけました(最終確定は11月27-28日の国民春闘討論集会)。

 重点課題の第1「生活できる賃金」を求めるたたかいでは、単産、地方組織の要求討議として、@賃金底上げと生活改善を実現する積極的な賃上げの獲得、A「時給1000円以上」の早期達成、全国一律最賃制の実現、B企業内および産別の最低賃金協定の締結、C男女賃金格差の是正、非正規労働者の均等待遇実現、D自治体公契約条例や政府・自治体関連労働者(非正規)の賃上げ実現などを強調しました。

 第2の「働くルールの確立、雇用を守る」たたかいの論議では、非正規労働者の雇用と労働条件を改善させるための論議として、@労働者派遣法の抜本改正の運動を強化する、A非正規労働者の正規雇用への切り替え、B製造業で労働者派遣3年目の09年3月1日を前に、派遣打ち切りや雇い止めにさせない取り組みなどを強調しました。

 第3の「社会保障の充実、消費税引き上げ反対」の国民共同では、論議のポイントとして、@政治のあり方を国民的に問いかける中心に『社会保障制度改善』の運動を位置付け、年金、医療、介護制度の拡充要求を掲げる、A消費税による財源確保に断固反対し、企業の社会的責任(CSR)追求や、税金の使い方を社会保障中心に切り替える政策転換を迫る取り組みを示しました。

 第4の「憲法改悪の策動をはね返し、守り、いかす」たたかいでは、論議のポイントとして、@9条改悪反対、在日米軍基地強化反対、「戦争する国づくり」を進める教育の反動化に反対など、一致する課題での共同、A2010年の第2回核不拡散条約再検討会議に向け、核兵器廃絶を求める国内外の運動に結集することと、署名行動を示しました。

 統一行動の配置は、先延ばしされた解散・総選挙も意識して、08年の秋季年末闘争を全力でたたかい、09春闘での運動に繋げていくことを強調しました。
 @当面、「11・13中央行動・全国統一行動」の成功、11月27-28日の「国民春闘討論集会」や、各組織の討論集会での論議と意思統一を要請しました。
 A1月から2月上旬に、「貧困・生活危機突破」のうねりをつくりだす宣伝行動、集会を全国展開することとし、具体的には、1月7日頃に新春宣伝行動、1月14日頃に日本経団連包囲行動、1月28日頃に国民・東京春闘決起集会、2月初旬にトヨタ・キヤノン(大企業)包囲行動を提案しました。
 B2月中旬から3月初旬では、2月13日頃に「なくせ貧困・生活危機突破・春闘要求実現」(仮称)を掲げた国民的な共同行動、2月中旬から3月上旬にかけて「地域総行動」が配置されます。
 C3月山場のたたかいでは、初旬に春闘要求実現の総決起中央行動、11日頃に第1次集中回答、翌12日頃にスト含む全国統一行動を配置、新たな行動として下旬(23日頃)に、第1次回答を受けての「春闘回答追い上げ」集会もしくは統一行動ゾーンの設定を提案しました。

● 討論に10名が発言

不況下で広がる貧困化と、たたかいを交流

産別・地域の役割を発揮して要求実現へ

 討論では、民間・公務の各単産や地方代表ら10名の発言がつづきました(詳細は確定版)。

 発言者とテーマは以下の通りです。
◇建交労・藤好副委員長=@一般競争乳入札によって引き起こされる政府・自治体関連労働者の低賃金、解雇の多発について、A資材・原油高による運輸・建設産業での倒産急増と、暫定税率廃止のたたかいについて。
◇日本医労連・小池中央執行委員=@医療事故の背景にある医師・看護師不足の実態について、A「医師・看護師を増やせ、医療を守ろう」の運動と医療関係団体との共同の広がりについて。
◇生協労連・桑田委員長=@コープ食品を含む「食の安全を考えるシンポジウム」の開催について、A流通業界・小売店の現状とパート・アルバイトなどの厳しい実態、B最賃闘争の強化、広げるための工夫について。
◇出版労連・津田委員長=不況が深刻化する出版産業の現状について、A資材や製造コストアップの下での年末一時金闘争と、労働相談の特徴について、B改憲反対の取り組み強化について
◇自治労連・鈴木中央執行委員=@自治体非常勤労働者の賃上げ成果、全国を励ました背景について、A08人勧・確定闘争の結果と09春闘に向けた要求討議の重要性、春闘前進にむけた決意。
◇年金者組合・田中副委員長=@後期高齢者医療制度廃止の運動強化について、A物価スライドと賃上げ要求の結合など年金制度改善の取り組みについて、B「消えた年金問題」の深刻さについて。
◇全労連・大西常任幹事(女性部)=@政府の少子化対策と、全労連の取り組みについて、A『はたらくルールの確立で、仕事と生活の両立を』求めるパンフレットの紹介、この課題での闘争強化の要請。
◇神奈川春闘共闘・水谷事務局長=@今年の最低賃金答申にあたり、厚労省が生活保護基準を恣意的に低く計算した問題の追求について、A地域春闘の強化と最賃闘争の重要性について、B地域経済の活性化のために中小企業団体、下請業界との懇談について。
◇千葉春闘共闘・本原事務局長=@09春闘と県知事選挙。県内主要単産の職場の経営難について、A「青年ユニオン」を立ち上げ、若者に依拠した運動展開への決意。
◇奈良春闘共闘・井ノ尾事務局長=@国民の権利意識と労働相談の増加。金融機関、キオスク、パチンコ店の解雇事件を解決させた事例について、A安定した雇用へ国の責任追求、中小企業問題解決へ大企業の責任追求の必要性について。

● 新年度役員を選出

代表幹事に大黒、国分、伊藤の各氏(新)

事務局長は小田川氏を再選

 新年度の役員体制(三役)は以下のとおりで、各団体の役員改選期と重なり、代表幹事3名をはじめ役員のうち計13名が新任となりました。新任は*印。
◇代表幹事=大黒作治(全労連)*、国分博文(純中立労組懇)*、伊藤潤一(東京春闘共闘)*
◇事務局長=小田川義和(全労連)
◇事務局次長=渡辺正道(全労連)、浦上義人(純中立労組懇)、高畠素昭(東京春闘共闘)*
◇常任幹事=各団体・大産業別グループより、計17名(うち3名が新任)、特別常任幹事=首都圏3地方と非正規センター、全労連公務部会より、計5名、、会計監査=2名




● 主催者あいさつ  大黒作治代表幹事

賃上げ,働くルール,正社員化…生活充実型へ

生活危機を打開して経済再生を

 1 麻生首相は、年内解散は行わず、経済問題に集中することを明らかにした。 アメリカ発の金融危機が世界の金融業界に飛び火し、世界同時不況が進行する中で、日本も例外なく巻き込まれている。株安、円高、金融危機という現象に、麻生内閣は、公的資金の導入で救済しようとしている。これは、一面では、金融機関の中小企業への貸し渋り、貸しはがしに手を打っているかに見えるが、金融機関のモラルハザードを野放しにした大手金融機関の救済策でしかない。
 いま求められているのは、金融不安への対処は言うに及ばず、大手金融機関中心の救済策ではなく、中小企業や地域経済を活性化させるための抜本的な対策が必要だ。
 すなわち、内需拡大のための抜本的な方向転換である。現状のままの第2次追加補正予算案にしても、内需中心と言いつつ、引き続き経済のグローバル化に呼応した外需頼み、金融自由化を野放しにした対応策でしかない。
 より根本的には、09春闘課題とも密接に結びついた国民経済中心、内需拡大への根本的な転換でしかこの危機は救えない。

2 そこで09春闘課題と関連させるが、09春闘を外需・輸出依存型から内需・生活充実型への転換こそ、日本経済の体質改善を図るチャンスだと位置づけることが重要だ。
 すでに、トヨタは、九州での派遣労働者800人の雇用打ち切り、全国で2000人の期間工の採用中止など、秋田でのスーパーの倒産や茨城でのリーマン・ブラザーズの破綻による閉店など、全国的に雇用の不安が広がっている。連合傘下の中小共闘は、物価上昇分と賃金水準維持などで9000円の賃上げ要求を決めたところもあれば、基幹労連のように2年に一度ということで賃上げ要求はしないなどというところも出てきている。また、JCが相場形成にならないことも伝わってきている。早くも、賃金抑制と雇用調整が大きな課題になろうとしている。
このような時、私たち春闘共闘が改めて出番のときだと考えている。すなわち、09春闘は、物価高での生活防衛と購買力を向上させるすべての労働者の積極的な賃上げは言うに及ばず、働くルールの厳守と非正規社員の正社員化などによって経済を好循環させる体質改善が必要だ。
 これまでは、サービス残業や年休の未消化、非正規雇用の増大などによる雇用の減少・不安定化、賃金低下とワーキングプア、内需縮小と外需依存、国内生産の減少、GDPの縮小、税収の減少という悪循環によって、社会保障の削減、消費税の増税が宿命という構図をつくりだしてきた。
 しかしその道からの脱却は、賃上げと働くルールの厳守、非正規社員の正社員化などによって、雇用の増加、賃金収入の増加、内需の拡大、国内生産の増加、GDPの拡大、税収の増加、社会保障の充実という構図への転換こそ必要である。

3 そういう点で、春闘共闘・全労連の社会的影響力の強化が必要で、私たちの主張を国民的世論に押し上げていくことが大きなポイントだ。
 企業内の賃金はもちろん、同時に同一産業内での賃上げ確保、地域でも国民春闘の風を吹かすことだ。これが先送りされる総選挙での重大争点になると考える。日本経済の仕組みを根本的に改善させることと、働く貧困層の解消、後期高齢者医療制度の廃止と、食の安全、農業の再生…こういう問題を含めて、春闘で大きな世論をつくっていくことが重要だ。新テロ特措法にかわる措置として憲法改正にむけた18歳以上への国民投票という問題も浮上してきた。これも平和を守るたたかいの重要な争点である。
 以上のように、私たちが春闘で掲げる課題が総選挙の争点に押しあがってくる。09春闘の意義について、みなさんと意見を交流しながら、お互いに奮闘しあう決意を固めあいたい。




 
 貧困・生活危機突破の大運動で、変えるぞ大企業中心社会(案)




国民春闘共闘情報