2009国民春闘共闘情報
全労連HP

第 4 号  2008年12月01日

 

貧困・生活危機突破の大運動を

 国民春闘討論集会に 全国から220人

賃上げ1万円以上、時100円以上を提起

 国民春闘共闘委員会と全労連は11月27、28の両日、「貧困・生活危機突破の大運動で、かえるぞ大企業中心社会」をスローガン(案)とする09国民春闘討論集会を静岡県熱海市で開きました。22単産37地方から220人が参加し、賃上げ要求をはじめ春闘統一行動や地域春闘、労働者派遣法の抜本改正、憲法を守り、いかすたたかいなどをめぐって討論しました。国民春闘方針案は補強意見などをふまえ、1月14日の第1回単産・地方代表者会議で確定します。



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 主催者あいさつで大黒作治代表幹事(全労連議長)は、賃上げの課題について、「物価高の中で生活向上に向けたすべての労働者の積極的な賃上げは、家計を直接暖めて購買力を高め、ワーキングプアを解消するうえでも重要」だと協調。同時に、時間額1000円以上の最賃引き上げが問われていると指摘しました。
 雇用を守る課題では、トヨタ、日産などの自動車産業が期間工、派遣社員の大量解雇、雇い止めを打ち出していることについて、「減益とはいえ、バブル期を上回る利益を確保している。自動車大手に対する社会的責任を追及するたたかい」を呼びかけました。
 経済危機の問題では、大企業中心の経済から生活本位の内需拡大へ転換させる国民的たたかいを強調し、共同を広げて要求を前進させようと述べました。

プアなくす国民的共同へ、エールを交換

 春闘方針第1次案を小田川義和事務局長(全労連事務局長)が提案。09春闘の意義、情勢の特徴について解明しながら、要求課題と具体的な運動について提起しました。とくに、賃上げ要求目標については、@各組織に対し、「定期昇給分」「物価上昇分」「90年代後半からの賃金改善分」の3点に留意した要求討議を呼びかけました。また、A統一要求目標案として、アンケート集約結果を踏まえ、「だれでも月額1万円以上」「時給100円の賃上げ」を掲げる賃金底上げ、B最低賃金要求としては、高卒初任給の上昇を加味して従来の月額15万円要求を見直し、「時給1000円、日額7500円、月額16万円」を提起しました。
 貧困と生活危機の打開に向けては、内需拡大を求める地域からの大運動を強調。「カジノ資本主義」失敗のツケを労働者・国民に転嫁することを許さず、出す企業に社会的責任の発揮を迫る取り組みの強化を訴えました。
 集会では、新聞労連、航空連、全商連の代表が特別報告を行った。
 新聞労連の豊秀一委員長は、新聞産業の年末一時金闘争が苦戦していることを報告。また、「公的な新聞社のなかに非正規のワーキングプアがいるのはおかしい。これをなくしていくのは社会的使命だ。均等待遇と正規化を実現したい」と述べ、「新聞社の経営も厳しいが組合員だってもっと厳しい。徹底的に財務諸表を公開させて、賃金引き上げを迫りたい」と報告しました。
 航空労組連絡会の和波宏明事務局次長は、賃下げ、労働強化がすさまじい実態を報告。日米欧で整備、予約部門の職場が突然、中国、台湾、シンガポールなどに移って、解雇されていると告発し、「燃料の高騰がたいへんだといわれているが、実は航空会社としては先物買いで儲かっている。営業外での赤字があり、経営分析が必要。賃金学習を強めていきたい」「契約の客室乗務員を組織化して、安定した労働条件を確保したい」と述べました。
 全商連の中山真常任理事は、生活保護基準を下回る業者世帯が会員の20%にのぼると指摘。「今年の総会方針に、反対意見も出るなか、『最低賃金の引き上げ』を盛り込んだ」と報告し、「みなさんと力を合わせて、危機打開をめざしたいと述べました。
 交流会では、埼玉大学の相沢幸悦教授が「物価上昇、金融危機下での09春闘をいかにたたかうか」と題して講演しました。

 討論  雇用と経済を守れ!構造改革と対決

 2日目の討論では官民の単産、地方代表らがつぎつぎ発言に立ちました。(概要)
 「倒産件数は前年比58%増。年末にかけて連鎖倒産の恐れも」(北海道)、「求人誌から派遣募集のページがほとんど消えた」(愛知)、「争議・労働相談が増え、派遣切りにあった青年と街頭で対話になる」(京都)など、各地から雇用をめぐる深刻な実態が訴えられました。
 そのなかで、全労連などに対し、雇用と経済を守る緊急対策の提起と具体的な共同の呼びかけ、派遣切りでの緊急対策本部設置、中小企業対策が要望されました。愛知は「派遣や期間工は切られて当然との世論がつくられている。そうでなく『不当だ』『解雇なんだ』という世論づくりが求められる」、全労連青年部は「政府の給付金は派遣切りの救済やセーフティーネットに回せと提起してはどうか」と述べました。
 郵産労は「非正規の均等待遇は構造改革路線にメスを入れる闘い。来春闘では改正パート法を活用し、裁判も視野に入れて取り組む方針」と語りました。自治労連は、年内に各首長に対し雇用と中小企業対策での緊急対策実施を迫ると報告。大阪からは、独自の雇用と地域経済のブロジェクトチームを立ち上げる計画も紹介されました。
 JMIUは、「内需拡大にむけてすべての仲間の賃上げ実現」を第一義的に優先すべきと強調しました。「社会保障費2200億円の削減は、小泉構造改革の象徴。これを崩す方向での一致点を広げ、国のあり方も変えていく運動を」(日本医労連)、「賃上げよりも社会保障闘争を前面に押し出すべき」(福祉保育労)、「初めて年金の一律3%引き上げ要求を政府にぶつけていく」(年金者組合)などの声も出されました。
 全農協労連は、稲作農家の収入が時給換算で179円にしかならないことに触れつつ、「時給1000円の要求をすると、経営側から『そんな要求を出してもいいのか』と言われる。産業の厳しさを打ち破る闘いが必要であり、地域から食の安全を守る運動をすすめ、局面を切り開きたい」と述べました。
 埼玉は、「産別支援にとどまらず、地域労連が主体的にたたかう春闘を。地域春闘の運動課題など位置付けを明確にすべき」と提案。東京は、来年2月13日の貧困・生活危機突破共同行動で「雇用を守れ」の要求を各界の共通項目とし、行動することを呼びかけました。




 
 貧困・生活危機突破の大運動で、変えるぞ大企業中心社会(案)




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