2009国民春闘共闘情報
全労連HP

第 29 号  2009年04月23日

 

許すな!雇用・営業・暮らし破壊

日比谷集会・デモ、政府要請など展開

 4・22中央総行動  緊急行動に全国から2000人

 全労連・春闘共闘に結集する単産・地方の代表は22日、新婦人、全商連、農民連などとともに東京・霞が関の官庁街、国会周辺で「許すな!雇用・営業・暮らし破壊、いのち守れ!」緊急行動を終日展開しました。メインの中央総決起集会(日比谷野音)・国会請願デモには全国から2000人が参加しました。この行動は22団体の緊急行動実行委員会が主催したものです。



「派遣切り」とのたたかいなど交流

 12時30分から日比谷野外音楽堂で開催された「諸要求実現4・22中央総決起集会」は、全国各地の大企業職場で「派遣・期間工切り」などとたたかう80名余が最前列に座り、「最賃時給1000円以上」の要求を染め抜いた揃いのTシャツ姿の生協労連代表らが見守る中で開会しました。

 写真

 主催者あいさつで、全労連・大黒作治議長は、派遣・期間工切りに遭った労働者が労働組合に加入するなどして立ちあがり、本集会に多数参加していることを報告。国民の暮らしを顧みない麻生首相の経済対策を批判したうえで、「今日の緊急行動を契機に暮らし、平和を守るたたかいで、国民の願いが実現する社会に変えていこう」と呼びかけました。

 日本共産党の小池晃参議院議員が激励あいさつ。麻生政権の経済危機対策にふれ、「クルマもテレビも買えないのに、ポイントを付けるなんて経済対策として甘い。2年後には消費税の大増税では、給付は一瞬、増税は一生だ」と述べると、会場から共感と拍手、笑いが起きました。
 各団体からの発言と交流に移り、「派遣・期間工切り」とたたかう80名以上が壇上に勢ぞろいしました。代表して、マツダの派遣切りに遭い山口県防府市から参加した田坂一郎さんは、「景気の良い時には派遣も社員もないと言いながら、不況を理由に真っ先に派遣は切られた。仲間とともに直接雇用を労基署に申告し、さらに仲間を広げて山口地裁へ提訴するたたかいをすすめている」と訴えました。同じく兵庫県から参加したJMIU日本トムソン支部の藪下秀和さんは、「3月末に解雇を言い渡されたが、労働組合に加入してたたかい、直接契約を守らせた」と発言、大きな拍手とともに「がんばれ!」の声があちこちから飛び交いました。このあと、東京土建、建交労日本道路興運労組、千商連、全労連全国一般東京地本の決意表明がつづきました。

 閉会あいさつに立った自由法曹団・松井繁明団長は、「過酷な解雇攻撃が直接当事者の言葉で語られた。許せない怒りを共有しあった。国民各階層すべてが被害を受けていることも明らかにされた。しかし、これからのたたかいに明るい展望と運動の方向性が示された」と述べ、悪政を変える政治闘争につなげ勝利していくことを呼びかけました。
 集会終了後、参加者は国会にむけて請願デモを繰り広げ、官庁街と国会周辺にシュプレヒコールを轟かせました。



 国土交通省前行動 

一般競争入札、規制緩和政策など行政責任を追及

 写真
 中央総決起集会に先立つ11時、霞が関の国土交通省前には建交労や自交総連など交通運輸の組合、東京土建の本部・各支部、全労連公務部会の組合代表など400人が結集して要請行動を取り組みました。
 主催あいさつで、東京春闘共闘の伊藤潤一代表委員は、雇用問題が大きな社会問題になっている背景にふれ、「労働者派遣法の抜本改正と、大企業が社会的責任を果たすことが必要だ」と強調。国土交通省の規制緩和政策を批判して行政責任を追及するとともに、国鉄闘争でも「国が責任を果たす時だ」と強調しました。
 参加労組からの決意表明がつづき、日本道路興運労組・吉村委員長は、「国土交通省が一般競争入札に変更し前年比61.7%で落札したため、全国で1300名の整理解雇が強行されている」と告発。東京土建の小倉常任中執は「深刻な不況で仕事も暮らしも立ち行かない。政府は大型工事よりも生活関連公共工事をすすめて仕事を回してほしい」と要望しました。また、全建設省労働組合、民事法務協会労組、全動労争議団の代表が次々マイクを握り、自らのたたかいを紹介しながら国土交通省などの責任を追及し、たたかう決意を表明しました。



 厚生労働省・人事院前行動

最低賃金を引き上げろ!一時金カットは阻止しよう

 写真
 11時すぎ、最低賃金改善や「派遣切り」反対をかかげた厚生労働省への行動には、全労連が全国から参加を呼びかけた派遣や期間工などの労働者をはじめ、JMIUや生協労連、全労連全国一般、建交労など民間の労働者が結集し、公務の参加者は厚労省に隣接する人事院庁舎前に隊列をつくり、夏季一時金引き下げの勧告をねらう人事院に対して怒りを示しました。
 主催者あいさつした小田川事務局長は、「経済情勢を理由にした解雇・定昇凍結、さらには、政府・人事院によってねらわれている公務員への一時金カットの攻撃などが、消費をさらに冷え込ませる悪循環である」と強く批判しました。政府が策定しようとしている大型補正予算の欺瞞性を指摘しつつ、「生活が維持できる最低生活保障と人事院による一時金削減攻撃を阻止しよう」と呼びかけました。
 伊藤調査局長は、情勢報告で、「失業の背景に雇用・賃金・労働条件が地すべり状況にある」として、「労働者派遣法などの改悪により、80年代・90年代のリストラよりひどい。有期雇用の抜本的な是正を求め、根底にある低賃金問題を、最賃の引上げで突破しよう」と官民一体の運動で雇用と賃金を守ることを訴えました。
 4名が決意表明に立ち、公務組合を代表して国公労連秋山事務局次長は、「公務員の一時金削減を人事院は何としてもすすめようとしている。総務省も、地方公務員の一時金削減のための調査をうながしている。政治圧力への屈服とルール違反の一時金カットは、内需拡大にも逆行しており、最賃引上げを含め民間の仲間とともにたたかう」と決意を述べました。
 このほか、愛媛県労連、生協労連、新日本婦人の会の代表からたたかう決意がのべられました。行動と並行して、派遣労働者を中心にした厚生労働省への交渉がとりくまれ、東京地評の高畠事務局長が交渉内容を報告しました。



「不況」理由の最賃攻撃をはね返そう

満席の国会内会議室で「最賃闘争意思統一集会」ひらく

 午後3時から衆議院第1議員会館内で「最賃闘争意思統一集会」(全労連主催)が開かれ、中央行動参加の各単産・地方代表ら90人が参加しました。会議室が70席のため、床に座り込んでメモを取る姿も見られました。
 情勢報告と行動の提案で伊藤調査局長は、09年度の最賃闘争の構えについて提起しました。とくに、「不況」を理由に今年度の最賃を抑え込もうとしている逆流に対して、@「非正規切り」の低賃金構造を打開する最賃引き上げ、A09春闘の低額回答を乗り越える最賃引き上げ、Bセーフティネット論に連動した最賃引き上げ、C内需主導型の景気対策としての最賃引き上げ、D(政府・自治体の)低時給での緊急雇用対策を改善させる最賃引き上げ――を強調しました。
 討論には、愛知、静岡、東京、埼玉、北海道、京都の地方代表や、生協労連、全労連全国一般の単産代表らが発言。

 写真
 最賃審議委員の問題では、「審議委員に6年連続して落とされているが、この間の運動が反映して公労使とも各1名の女性委員が任命された」(愛知)、「連合の事務所に出向いて最賃問題を訴えている。審議会で全員発言の必要性を主張したら、最後の審議会は全員が発言していた。厚労省試算の生活保護基準のゴマカシも認めてくれた」(静岡)、「今年も任命されなかったが、公正任命の団体署名400を集めて要請した。裁判闘争を検討したが『差別』などの理屈を積み上げていく必要がある」(埼玉)、「最賃は最も階級性の高い課題だ。だから全国で委員も渡さない。しかし、女性の登用では30%の政府目標があり、非正規の労働者委員も必要だ。連合との人数対比でも否定できない。審議会で一言も発言しない委員もいる。これらを総合的に追及したい」(京都)などの発言がつづきました。

 運動面では、「3.15春のつどいで最賃時給の街頭シール投票を行っている。昨年697円が今年は711円(約400人の平均)になった。最賃額より少し上の水準で募集する企業が多い」(静岡)、「ナショナルミニマムの基軸としての全国一律最賃制をとのノボリを作って宣伝してきたが、今年は最低保障年金、農家の自家労賃、課税最低限の要求ノボリを作り、あらゆる集会に持ち込んでいる」(全国一般東京)、「非正規問題は最賃と公契約が中心になる。この課題を県民にどう訴えていくかで、昨年は1万7000筆の署名を集めたら、労働局の対応が変わってきた。今年は2万筆を超えたい」(埼玉)、「ワーキングプア以降、大不況で情勢が激変。貧困化のなかで最賃をどう国民のなかに広めるか?運動づくりのデザインを青年に一任している」(京都)などの報告が注目されました。



一人ひとりに名前があり、生活がある

ストップ派遣切り・労働者派遣法抜本改正を求める集会

 労働法制中央連絡会と全労連は同時刻に、衆議院第1議員会館で「ストップ派遣切り・労働者派遣法抜本改正を求める集会」を開催。全国で「派遣・期間工切り」などとたたかい、緊急中央行動に参加した非正規労働者、支援の組合員など167人がつめかけ、通常100名余の会議室から溢れる人も出ました。
 全労連の大黒作治議長があいさつし、「運動が世論を動かし、内需を拡大し、ルールある社会をつくろうとの主張が共感を呼んでいる」と強調。「正規と非正規労働者が力をあわせ、派遣法の抜本改正を勝ち取ろう」と呼びかけました。
 交流の場面では会場から次々と発言。「マツダを紙切れ1枚で解雇された」と訴えた山口一般の組合員は、マツダの脱法行為を告発し、「派遣法は抜本改正しかない」と力を込めました。「年越し派遣村の元村民」も、「私も派遣切りにあい、みなさんのおかげで生活保護が受けられるようになった。みんなで法律をかえましょう」と発言。ホンダで非正規切りにあった労働者は「解雇された期間社員4300人一人ひとりに名前があり、生活があるのだと訴えたい」と語りました。
 集会には日本共産党の山下芳生、仁比聡平両参議院議員が駆けつけ、「一人ひとりの名前と生活を取り戻そう」と応え、交流で出された要望と派遣法抜本改正に全力をつくすと決意を述べました。






 
 貧困・生活危機突破の大運動で、変えるぞ大企業中心社会




国民春闘共闘情報