第3回 09春闘進ちょく状況調査
回答引出し34%、妥結は11%
決着つかず。連休明けに交渉再開
国民春闘回答集計センターは7日、全単組を対象とした春闘進ちょく状況の第3回調査を実施した。4・21〜23統一行動ゾーンや4月末決着をめざす4・28統一行動直後の段階で24単産から3925組合の報告があった。その特徴は、要求提出の割合が66%(昨年は70%)、回答引出しが34%(同38%)、妥結・妥結方向が11.0%(同14.9%)で、スト実施が9%(同17%)などとなった。前年と比べて、すべての項目が後退、低迷しており、例年以上に未解決が多く、5月闘争の強化が求められる。
(別表参照)
要求提出組合は66%に低迷。なお指導中
[調査組合数、要求提出数]
調査組合数の報告計は3925組合(24単産)で、ほとんどが中小労組である。組合数が多いところは建交労の758組合、福祉保育労540組合、日本医労連415組合、全労連全国一般380組合、自交総連307組合、JMIU300組合、全農協労連258組合など。なお、現時点で回答の出ていない全国私教連(約310組合)は調査対象からはずしている。今回の特徴点は以下のとおり。
要求提出は、計2580組合で全体の66%(前年同期70%)となり、前年には回復したものの再び後退した。単一組織の検数労連、通信労組、全損保、郵産労のほかに、繊維産労、合同繊維の6単産が100%で、全倉運93%、金融労連90%、日本医労連83%、民放労連82%などが高率である。歴史的に「決算・予算待ち」「地域相場待ち」などの実情で要求提出数の低い単産では各々「4月中の提出」を指導中で、一定の改善が期待される。
回答引出しはいまだ34%。平均4883円
[回答引出し、妥結数]
回答引出しは計1315組合で、「4・21〜23第2次統一行動」「4・28第3次統一行動」を経て、ようやく34%(同38%)の水準に達した。遅れている要因は、経済危機のもと中小企業を中心に「業績悪化」「仕事量減少」という現実や、それを悪用した回答延期、地域や業界の相場待ち、決算・予算待ち、さらに大手企業の回答を睨んで「定昇凍結」「一時金の減額」という傾向が指摘されている。こうしたなかで、回答内容を問わなければ繊維産労と検数労連、通信労組、郵産労の4単産が回答引出し100%で、全倉運の86%、合同繊維80%、特殊法人労連78%、民放労連70%などが高率である。なお、全農協労連・単協労、建交労・建設、建設関連労連、自交総連、全労連全国一般や金融、私学関係の回答引出しは連休明けから本格化する。
回答内容では、「ベア獲得」が98組合(81+17)で、回答のあった1315組合中の7.5%に過ぎない。こうしたなかで、福祉保育労では36%がベアを獲得して注目される。このほか、出版労連16%、生協労連14%、日本医労連14%などにもベア獲得が見られる。多くの組合が「定昇確保」のうえに「ベア獲得」を目標になお奮闘している。
不誠実回答では、「定昇あり・ベアゼロ」が急増して643組合と多く、「定昇カットなど」が24組合ほど見られる。また、「定昇なし・ベアゼロ」も163組合と急増し、「定昇なし・賃下げ」も11組合ある。こうした低額・不当回答は計841組合(昨年は554組合)に達している。なかでも、高率なのは、建設関連労連、繊維産労、検数労連、通信労組、金融労連、全損保、郵産労がともに100%で、このほか、民放労連98%、全倉運97%、日本医労連86%、全労連全国一般81%なども高率になっている。各単産はここにきて、「未解決組合対策」などを打ち出し、「ベア獲得」「前年実績確保」などに執着しつつ納得できる解決をめざしている。
[平均賃上げ額・率]
賃上げ額または引き上げ率が明確な864組合の単純平均について、賃上げ額は4883円、引き上げ率は1.81%(前年は5110円、2.04%)となった。前年同期比で金額が227円、引き上げ率で0.23ポイント下回っている。低額ながら引き上げ額が全体平均を上回って善戦しているのは、建設関連労連、化学一般労連、繊維産労、全証労協、民放労連、出版労連、映演労連、日本医労連などである。また、産別平均が前年同期の水準を上回っているのは、唯一生協労連の+26円だけであるが、この不況期に平均227円程度の減額で踏ん張っていることも重要である。
うち妥結または妥結方向に達しているのは432組合・11.0%で、前年比(599組合・14.9%)ではいっそうの低水準である。妥結しているのは「純ベア確保」「前年実績以上の回答」や「定期昇給分を確保」した組合が中心。単産として「妥結・妥結方向」に達しているは繊維産労と検数労連の100%、「全体としてほぼ集約方向」(60%以上)に向かっているのは合同繊維のみ、比較的高率(30%以上)なのは出版労連の51%、化学一般労連の47%、全倉運の40%である。このほかの単産では、前述のようなきびしい回答内容のために未解決が圧倒的に多くなっている。
スト権の確立は49%、実施は9%と低調
[スト権確立、実施数]
スト権を確立したのは1647組合で、調査計の実質で49%(昨年は57%)にとどまっている。相変わらず低水準の要因は、確立数が30%に満たない単産がいくつかあるように、産業別にバラツキが見られることである。高率で確立したのは、検数労連、通信労組、全損保と郵産労でともに100%。特殊法人労連89%、JMIU78%、建交労67%などが続いている。
うち、ストライキ実施組合数(指名スト含む。2回実施は2ポイント)は計318組合・9%で、昨年(528組合・17%)に比べて大きく後退した。集中回答翌日の「3・12第1次全国統一行動」と3月末の産業別統一行動までで256組合の報告があり、その後、4月上旬の産業別統一行動、4・21〜23第2次統一行動、4・28第3次統一行動で62組合しか増えなかった。これまでのところ、JMIUが「3・5リレースト」と「3・12統一スト」を中心にのべ120組合・40%、通信労組と郵産労は全支部が「統一スト」に結集してともに100%。このほかでは、映演労連が初の産業別統一ストを決行し65%に達して奮闘している。
最賃・人観闘争とも結合して5月闘争の強化を
以上の数値と各単産からの報告を総合すると、春闘の進ちょく状況は「要求提出」「スト権確立」をはじめ「回答引き出し」「平均賃上げ額・率」などが連動して後退、低迷している実態が顕著になってきた。同時に、登録組合の回答水準でも単純平均、加重平均ともマイナスという状況で推移し、パート賃上げ、企業内最賃で善戦しているものの前進局面には至っていない。このまま09春闘を「流れ解散」する訳にはいかない。各単産は改めて「雇用も、賃上げも」を合言葉に、連休明けの5月闘争強化や未解決の特別対策を確立しつつあり、地方・地域も支援・連帯の輪を広げることが例年以上に重要である。
最賃闘争や、夏季一時金削減反対を含む人勧闘争も本格化しており、産別本部は夏季闘争の準備に入っている。国会における海賊対処法案阻止や、労働者派遣法の抜本改正などを求める取りくみとも結合しながら精一杯奮闘しあいましょう。
09春 闘 第3回 進 ち ょ く 状 況
2009年5月08日現在 ●国民春闘共闘委員会
|