最終・第4回 09春闘進ちょく状況調査
要求提出74%。回答は48%にとどまる
平均5052円、1.8%に。妥結はいまだ35%
国民春闘回答集計センターは6月22日、全単組を対象とした春闘進ちょく状況の最終・第4回調査を実施した。各単産は、夏季一時金の引き出しとともに回答促進・上積みのたたかいを追求してきた。その結果、今回は24単産から3798組合の報告があり、要求提出は74%(前年は73%)に改善したが、回答引き出しが48%にとどまり、平均賃上げは5052円で、1.8%。妥結する組合はまだ35%。スト権確立は57%(前年は60%)に伸び悩み、スト実施は前年比大幅減の10%であった。
要求提出組合数は74%。若干の改善
[調査組合数、要求提出数]
最終の調査組合数は24単産の3798組合で、ほとんどが中小労組である。昨年の最終集計(6月末)で全体計は4181組合(26単産)だったが、現時点で要求提出・回答引出し中の全国私教連(約300組合)と外銀連(11組合)は集約できなかった。
要求提出は、計2807組合で全体の74%(前年も73%)となった。4月段階で要求提出が低かった単産が改めて指導したり、100%提出を追求した結果、映演労連が100%、出版労連が95%、全国一般が87%、建設関連労連が62%など14単産で各々3〜50ポイントの改善を図ってきた。
回答引出しは48%。妥結はいまだ35%
[回答引出し、妥結数]
回答引出しは計1826組合で、毎回改善させつつ、ようやく48%(前年は50%)の水準に到達した。遅れている要因は、@経済危機の直撃を受けての「売上げ減少」「赤字決算」などの業績悪化、A中小企業を中心に資金繰りの困難さや、先行き不透明など、B景気悪化や経営事情を悪用したゼロ回答や回答延期などが指摘されている。こうしたなか、5〜6月段階の取りくみで、全損保、建設関連労連、全国一般、映演労連、全農協労連、出版労連などが着実に前進させてきた。
うち妥結または妥結方向に達しているのは1319組合で、いまだ34.7%(前年は33.4%)にすぎない。「妥結・妥結方向」は繊維産労と検数労連の2単産が100%、比較的高率で「全体としてほぼ集約方向」に向かっているのは、JMIU90%、映演労連89%、全倉運と出版労連が81%、化学一般労連69%、合同繊維67%など。このほかの単産では未解決が多くなっている。
ベア獲得は7%、不当回答も。単純平均は5052円
[回答の内容]
回答内容では「ベア獲得」組合数が定昇有りで126組合見られるが、回答引出し数の7%にすぎない(前年は22%)。不誠実回答では「定昇あり・ベアゼロ」が894組合と多く、「定昇カット」は49組合で微増した。また、「定昇なし・ベアゼロ」が216組合に増えたのも特徴である。こうした低額・不当回答は計1167組合(前年は862組合)で、回答数の64%にも達している。
平均賃上げ額については、金額または引き上げ率の報告があった1089組合の単純平均で5052円、1.81%になった。これは前年同期比で33円の減。率でも0.21P減となっている。個別に見ると、対比可能な17単産のすべてがマイナスとなった。こうした中でも、日本医労連が−46円、全農協労連−77円、合同繊維−148円、化学一般労連−275円などは減額幅を圧縮して奮闘した。
スト権確立は57%に後退。実施は10%
[スト権確立、実施数]
スト権を確立したのは計1826組合で、調査計の実質で57%(昨年同期は60%)に後退した。この要因は、要求討議の段階ですでに経済危機の直撃をうけて、春闘どころではないという「情勢負け」が指摘された。こうした実態を重視し、各単産も「ストライキ闘争」の重要性を呼びかけたが、前年を上回ることはできなかった。高率で確立したのは検数労連、通信労組、全損保、郵産労の単一組織が100%で、建交労94%、特殊法人労連89%、JMIU78%など。
うち、ストライキ実施組合数(指名スト含む)はのべ335組合、10%で、昨年(568組合、18%)を大幅に下回った。集中回答翌日の「3・12全国統一行動」後が162組合で、その後、「3月末の回答引き出し統一行動」後に256組合、「4・28第3次統一行動」後に318組合となり、その後は17組合が実施した。産業別にはJMIUが「3・5リレースト」「3・12統一スト」などでのべ120組合・40%、通信労組は全支部が「3・12」に結集して100%、郵産労も全支部が「3・23」に結集して100%、このほか映演労連の58%、出版労連31%などが高率でスト決行して奮闘した。
要求実現へ、たたかったからこその成果も
以上の数値と各単産からの報告を総合すると、春闘の進ちょく状況は6月末の最終段階で「要求提出」の回復が目立ち、「妥結」が微増した。また、「回答引き出し」が後退しているなかで、平均賃上げ額は5052円(前年比33円減)を獲得した。「スト権確立」「スト実施」など闘争面での後退を余儀なくされたが、要求実現へ、たたかったからこその成果が得られたのも09春闘の特徴である。
09春闘/最終・第4回進ちょく状況集計表
2009年6月23日現在 ●国民春闘共闘委員会
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