世論変えた。雇用闘争の継続を
経済危機下の賃上げなど善戦
国民春闘共闘 第2回代表者会議で春闘総括
国民春闘共闘委員会は6月26日、東京・全労連会館で第2回単産・地方代表者会議をひらき、「09年春闘の中間的総括(案)」について討議、確認しました。討論では15単産・地方の代表がきびしかった賃金・一時金のたたかいや、雇用確保の取り組みなど成果と教訓を報告。夏季闘争で、最低賃金1000円以上、公務員賃金改善、労働者派遣法の抜本改正のために奮闘しあうことを確認しました。
「内部留保を使って賃上げも雇用も」が世論に
代表者会議には22単産・団体・9地方の代表ら63人が参加しました(写真)。
代表幹事あいさつで大黒作治全労連議長は、経済危機が深刻化した昨年秋以降、「大企業中心社会」を変えていくうえで、世論の重要な変化があったと指摘。失業が高止まりするなか、「雇用を守るたたかいはこれからも続く」と強調しました。
09春闘については、「『230兆円もある内部留保を使って賃上げも雇用も』の訴えが大きな世論になった。同時に『外需頼みはだめ、内需への転換が必要』という世論が作りだされたことも重要だ」と指摘しました。
大企業が非正規労働者の雇用を大量に打ち切ったことについて、トヨタやキヤノン、パナソニックなどでは株主配当が1000億円を超えている述べ、「年収300万円の派遣労働者を5000人雇うには150億円あればできる。人の首より株の方が重いというのか」と批判。「(株主重視をすすめた)新自由主義の破たんは明らかだが、まだ死んではいない。失業率が高止まりするなか、雇用を守るたたかいはこれからも続く」と強調しました。
小田川義和事務局長が「09年春闘の中間的総括について(案)」を提案。1月の代表者会議で決定した「09年春闘方針」を振り返りながら、この間のたたかいによって勝ち取ってきた雇用確保や賃金引き上げなど到達点を紹介し、議論を深め合いたい論点・課題を示しました。
統一して実現をめざした課題での到達点については、つぎのように紹介しました。
@雇用破壊に反対する取り組みが前進したこと。
「派遣切り」で寮・社宅等の追い出しにあった労働者が、雇用の安定を求めて自ら立ち上がり、労働組合に結集する事例が増加した。そのたたかいを支える取りくみもかつてなく前進した。
A雇用を守るたたかいが政府を動かしたこと。
「年越し派遣村」など生活・労働相談の取り組みが全国各地に広がり、厚生労働省などが住宅あっせん、雇用調整金の支給、職業訓練と貸付制度、中途契約解除について派遣先企業の責任明確化通達などを実施した。労働者派遣法の抜本改正を迫る取り組みの共同が広がった。
B賃金抑制をはね返す粘り強い取り組みを展開したこと。
雇用破壊も賃下げもという財界の攻撃が強まるもとで、国民春闘共闘の組合が平均賃上げでは前年比減額ながら、最小限にとどめ、他団体の集計結果を上回るなど、粘り強くたたかった。
C地域での取り組みも前進し、公契約運動では新たな到達点が生まれたこと。
2月下旬から、地域総行動などの取り組みが旺盛に展開された。3月下旬を中心に北海道、大阪などで大規模な集会が取り組まれ、社会的にアピールした。尼崎市の公契約条例案の内容にかかわる質問主意書に対し、政府は「問題なし」の積極的な回答をおこなった
D「構造改革」の矛盾を追及する国民共同の取り組みで政治を動かしたこと。
野党4党共同で「介護労働者の人材確保に関する特別措置法」が提出され、政府は介護福祉士などの給与改定への助成金措置を講じた。同様に「タクシー適正化・活性化法案」も可決・成立した。
E改憲反対の共同の取り組みを進めたこと。
在日米軍のグアム移転経費負担、「海賊対処法」の審議強行、北朝鮮のミサイル発射や核実験などの動きに合わせた国会行動や、憲法集会などの成功に尽力した。
小田川事務局長はつぎに、公務員の09夏季一時金に不当な攻撃が加えられた問題を紹介し、全労連公務部会のたたかい、国民春闘共闘の民間単産の申入れ行動などを紹介し、中間的な総括としました。
そのうえで、「09春闘の中間総括もふまえて議論を深めたい論点・課題」について、@国民春闘共闘規模での取り組み・運動課題はどのようなものが考えられるか、A2010年春闘に生かす要求課題・運動は何が考えられるか、B最低賃金引き上げのたたかいを強化するにはどのような取り組みが必要か、……E統一行動の配置をどのように考えるかなど8項目の論点と課題を紹介し、論議を呼びかけました。
事務局長は最後に、「09年夏季闘争の強化について」を提案。@夏季一時金の追求、A最低賃金「1000円」の実現をめざす全国でのたたかい、B09年人事院勧告での公務員賃金改善を迫る取り組み、C労働者・国民生活重視の2010年予算を求める取りくみを、各々強化する方針を提案しました。
厳しかった賃上げ、雇用・失業対策で奮闘
官民・地方の15名が発言。総括案を補強
討論には12単産・3地方の代表が発言に立ちました。
賃上げ、夏季一時金のたたかい(生協労連、民放労連、検数労連、出版労連、化学一般労連、愛知)をはじめ、公務員賃金、公務・公共サービス問題(自治労連)や、パート・臨時職員など非正規労働者の賃上げ(生協労連)、年金の引き上げと制度改善のたたかい(年金者組合)が報告されました。
また、働くルール・子育て支援などの制度的要求の取り組み(全労連女性部、自治労連、大阪)最低賃金闘争の強化、委員の公正任命、産別最賃の引上げ(生協労連、検数労連、出版労連、全労連青年部、大阪、)について報告がありました。さらに、リストラ反対、雇用確保、非正規の正社員化や、労働者派遣法の改正問題(民放労連、検数労連、通信労組、化学一般労連、自交総連、自治労連、全教、全労連青年部、東京、愛知、大阪)、憲法・9条を守る取り組み(生協労連、自治労連、全教)の報告があり、各々総括案を補強しました。(各代表の発言要旨は「確定版」で紹介します)
貧困・生活危機突破の大運動で、変えるぞ大企業中心社会