2009国民春闘共闘情報
全労連HP

第 53 号   2009年08月11日

 

 09人勧  過去最大規模の給与引き下げ

一時金含め年間15.4万円の減額

非常勤職員の休暇、任用・勤務形態を見直し

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 人事院は11日、国家公務員の2009年度の給与と超過勤務手当などについて、過去最大規模の給与引き下げとなる勧告・報告を行いました。
 給与勧告は、行政職(一)の平均年間給与で15万4000円(2.4%)も減額する「マイナス勧告」です。具体的には、@官民逆較差が「0.22%、863円」あり、若年層などの一部職員を除き0.2%の月例給引き下げと、自宅に係る住居手当の廃止、A一時金の支給月数を民間と見合うよう0.35月分引き下げる(4.50月→4.15月)というもの。このほか、B月60時間を超える超過勤務について、手当の支給割合を150/100に引き上げる、また手当支給に代えて代休(日又は時間)を導入する、C定年年齢(現行60歳)を、年金支給開始年齢に合わせて、平成25年度から段階的に65歳まで延長するというものです。
 こうした勧告は、深刻な経済不況のもとで、民間大企業が「派遣・期間工切り」やベアゼロ・定昇凍結、一時金の大幅カットを強行してきたことについて、「民間準拠」の名のもとに公務労働者にもこれを押し付けようとする内容です。勧告では景気回復も、公務員の生活改善も望めず、労働基本権制約の「代償措置」としての役割を投げ捨てたものです。

「最賃」と結合、なくせ貧困!働くルール確立へ

 こうした内容について国公労連は、「公務員の生活実態を顧みないばかりか、第一線を支える地方の中堅層に痛みを押し付けるもので、到底容認できない」と表明。公務労組連絡会も「『マイナス勧告』の強行に対し、怒りをもって抗議する」「公務員の労働基本権をただちに回復するよう求める」としています。
 一方、今回の勧告・報告では、非常勤職員の労働条件で、忌引休暇(有給)・病気休暇(無給)の適用拡大、健康診断の実施と、日々雇用職員の任用・勤務形態の見直しが示されました。
 この間、春闘共闘と公務労組連絡会は民間労組との共同と国民共同を重視し、官民・業者や農民など3000人を結集して「7・23中央行動(第5次最賃・人勧デー)」などを取りくみ、最低賃金引き上げと一体で厚労省や人事院への要請を繰り返してきました。「マイナス勧告」が伝えられると、公務職場を中心に人事院総裁あての「緊急FAX要請」にも取り組み、要求の切実さとたたかう決意を示してきました。





 2009年勧告の主な内容

◎ 本年の給与勧告のポイント
  月例給、ボーナスともに引下げ
  〜平均年間給与は△15.4万円(△2.4%)、2003年の平均△16.5万円(△2.6%)に次ぐ大幅な引下げ
@ 公務員給与が民間給与を上回るマイナス較差(△O.22)を解消するため、月例給の引下げ改定 ―俸給月額の引下げ、自宅に係る住居手当の廃止
A 期末・勤勉手当(ボーナス)の引下げ(△0.35月分)
B 超過勤務手当等について、時間外労働の割増賃金率等に関する労働基準法の改正を踏まえた改定
C本年4月からこの改定の実施の日の前日までの期間に係る較差相当分を年間給与でみて解消するため、4月の給与に調整率(△0.24%)を乗じて得た額を、12月期の期末手当で減額調整(俸給月額の引下げ改定のあった者に限る)


◎ 官民給与の比較
 11,100民間事業所の約46万人の個人別給与を実地調査(完了率 87.8%)
 ○官民較差△863円△0.22%〔行政職(一)…現行給与391,770円平均年齢41.5歳〕
  俸給△596円 住居手当△209円 はね返り分(注)△58円
 (注)地域手当など俸給の月額を算定基礎としている諸手当の額が減少することによる分


◎改定の内容
<月例給>
民間給与との較差(マイナス)の大きさ等を考慮し、月例給を引下げ
(1)俸給表
  初任給中心の若年層と医療職(一)を除き、すべての俸給月額について引下げ
  @行政職俸給表(一) 基本的に同率の引下げ(平均改定率△0.2%)とするが、初任給を中心に
   若年層(1級〜3級の一部)は引下げを行わない。7級以上は平均をO.1%上回る引下げ
  A指定職俸給表 行政職俸給表(一)の管理職層の引下げ率(△0.3%)を踏まえた引下げ
  Bその他の俸給表 行政職(一)との均衡を基本に引下げ(医療職(一)等を除く)
     ※給与構造改革の現給保障の額についても、調整率(0.24%)を乗じて得た額に引下げ
(2)住居手当
  自宅に係る住居手当(新築・購人後5年に限り支給、月額2,500円)を廃止


<期末・勤勉手当(ボーナス)>
  民間の支給割合に見合うよう引下げ4.5月分→4.15月分(一般の職員の場合の支給月数)

    6 月 期   12 月 期  
本年度 期末手当  1.25月(支給済み)  1.25月
    勤勉手当  0.7月(支給済み)  0.7月
22年度 期末手当  1.5月(現行1.6月)  1.5月
    勤勉手当  0.7月(現行0.75月)  0.7月

       ※本年5月の勧告で凍結した6月期の支給月数分(0.2月分)は引下げ分の一部に充当

[実施時期]
公布日の属する月の翌月の初日(公布日が月の初日であるときは、その日)


〈超過勤務手当等〉
労働基準法の改正を踏まえ、月60時間を超える 超過勤務(日曜日又はこれに相当する日の勤務を除く。)に係る超過勤務手当の支給割合を100分の150に引き上げ、また、当該支給割合と本来の支給割合との差額分の支給に代えて、代替休(日又は時間)を指定することができる制度を新設
[実施時期]
   平成22年4月1日


◎給与構造改革

◎高齢期の雇用問題〜65歳定年制の実現に向けて〜


 

 

公務労働者の生活を破壊し、景気回復の願いに

背をむけた「マイナス勧告」に抗議する(声明)

2009年8月11日・公務労組連絡会幹事会

1、人事院は8月11日、国会と内閣に対して、一般職国家公務員の給与改定などに関する勧告および報告をおこなった。  勧告は、「マイナス0.22%、863円」とする官民逆較差にもとづき、若年層など一部の職員をのぞいて月例給を平均で0.2%(管理職層は0.3%)引き下げることや、一時金の0.35月引き下げ、自宅に係る住居手当廃止などを内容としている。
 4年ぶりの月例給引き下げと一時金の大幅削減をあわせて、年収ベースでは15万4000円も減額する「マイナス勧告」の強行に対し、怒りをもって抗議するものである。
 一方、非常勤職員の労働条件では、休暇制度の改善、任用・勤務形態の見直しが示され、これらを実行に移し、着実に改善をはかっていくことを強く求める。

2、昨年来、世界経済が急速に悪化し、日本でも「派遣切り・期間工切り」など大量の首切りが強行された。09春闘での民間の賃金交渉も、大手・中小ともに、ベアゼロや定期昇給凍結、大幅なボーナス削減など厳しい結果となった。
 「派遣切り」や賃下げは、膨大な内部留保を溜め込みながらも、労働者の犠牲で経済危機を乗り切ろうとする大企業の横暴がもたらしたものにほかならない。
 こうした財界・大企業の論理を、「民間準拠」の名のもとに公務労働者に一方的に押しつけ、公務・公共サービスを第一線で支える職員には賃下げをせまり、景気回復を求める声にも応えようとしない勧告は、労働基本権制約の「代償措置」としての役割を投げ捨てたものである。あらためて、公務員の労働基本権をただちに回復するよう求めるものである。

3、完全失業率は5%を超えてさらに増え続けている。定額給付金、エコ減税など消費拡大をねらった諸施策は結局、景気回復には結びつかず、労働者の賃上げで個人消費を暖めることこそ不況打開の道筋である。
 公務労組連絡会は、「最低賃金・人事院勧告」を一体にした国民共同のたたかいに全力をあげた。怒りを込めた「職場連判状」や団体署名を人事院に提出し、「7・23中央行動」には、不況打開を求める業者や農民など幅広い諸団体との共同がひろがった。「マイナス勧告」が伝えられるなかで緊急に取り組んだ人事院総裁への「緊急要請FAX」は、短期間に1300通を越えた。
 不当な賃下げ勧告は強行されたが、仲間たちの怒りに依拠した運動の前進、「なくせ貧困!」の国民的な共同のひろがりは、今後の運動へとつながる貴重な財産となった。

4、人事院勧告とともに改善をめざしてきた最低賃金は、35都道府県で改定を見送る目安額答申が先月29日に強行された。「生活保護との整合性」を示した改正最低賃金法に違反し、経営側の主張を認めて、目安額の大幅改定を見送った答申はきわめて不当であり、認めることができない。当面する地域最低賃金の改善とともに、「時給1,000円」の全国一律最低賃金の実現を求めて引き続きたたかいを強めていく。

5、総選挙をひかえて、悪政の限りを続けてきた自公政権を終わらせる期待が、いま国民の間に日ごとに高まっている。
 新しい政権が、不況打開、労働者の生活改善を求める声にどのように応えるのか、「構造改革」による公務員定員削減をやめ、公務・公共サービスの拡充を求める国民の願いにどう応えるのか、そのことが選挙後の新しい政治情勢のなかで鋭く問われることとなる。
 来るべき秋のたたかいは、国民の声で政治を動かせる条件がひろがるもと、公務労働者をはじめ正規・非正規すべての労働者の生活・労働条件改善、公務員の労働基本権回復、国民本位の行財政・教育を勝ち取るために全力で奮闘する決意である。

 (以 上)  

 


 
 貧困・生活危機突破の大運動で、変えるぞ大企業中心社会 




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