09春闘・闘争宣言
すでに始まっている09春闘、労働者はその初戦でたたかいを前進させている。
トヨタ、キャノン、ソニーなどの製造業大企業が、外需縮小と円高による企業収益悪化を口実に、派遣労働者や期間工を相次いで雇止めにした。政府調査でも、09年3月までに8万5000人もの雇用が奪われるという深刻さである。
この横暴に、それまで沈黙していた非正規労働者が、労働組合に結集してたたかいに立ち上がり、大企業の足元を揺るがし、国民からの連帯を呼び起こし、政治を動かしはじめた。年末から年明けに取り組まれた「年越し派遣村」への社会的な注目と支援の広がり、取り組みの成果は、そのようなたたかいの集中点である。
2000年代初頭の景気回復期に大企業が巨額な内部留保や経常利益を倍化できたのは、労働者の3人に1人にまで増加させた非正規労働者に依存した経営の結果である。大企業が無一文の労働者を師走の寒空に追い出しても、「苦渋の選択」と開き直ることができるのは、労働者派遣法改悪をはじめとした労働者保護の規制緩和を進めた政治に原因がある。住むところもない労働者に手を差し伸べられないまでに社会保障を後退させた「構造改革」や、マネーゲームに明け暮れるカジノ経済をあおった新自由主義と決別しなければ、労働者も中小零細業者も、農漁民も明日の希望が見えない。
そのような主張に共感が広がり、大企業中心の経済社会からの転換、アメリカ追従の経済社会からの転換を求める国民世論がかつてなく高まっている。国民春闘共闘委員会に結集する労働組合と労働者が粘り強く主張し、たたかい続けた成果である。
09年春闘では、この成果を確信に、貧困・生活危機突破の大運動をさらに発展させ、「かえるぞ大企業中心社会」の世論を大きくするために奮闘しよう。
財界・大企業は、彼らの09春闘方針で、古びた「労使一丸」を持ち出し、未曾有の経済危機を労働者に忍従を迫ることで乗り切る姿勢を強めている。また、財界は、「派遣切り」を契機に強まった大企業批判をかわすため、雇用安定を名目とする「ワークシェアリング」の大合唱をはじめた。
国民春闘共闘委員会が主張する、雇用の安定、長時間労働の是正、生活できる賃金の確保、均等待遇の実現などは、本当のワークシェアリングを実現する要の課題である。しかし、財界の主張にその視点はなく、雇用の安定を口実に賃金抑制と非正規雇用増を狙うという従来の立場に立っていることは明らかであり、かつての轍を踏まない注意が必要である。
その点で、個別企業の経営者が、90年代半ばの経常利益の水準で「我慢」し、巨額にのぼる内部留保の一部を取り崩す「勇気」を持てば、雇用の維持と賃金の底上げなどによる内需中心の経済社会に転換することは可能との主張と宣伝を強める必要がある。「誰でも月額1万円、時給100円以上」の統一要求目標額に確信を持ち、「雇用も賃金も働くルール確立も」の要求を高く掲げ、統一闘争を軸に、産別・企業での労使交渉に粘り強く、労働組合らしくたたかおう。
09年春闘を積極的な要求をかかげて攻勢的にたたかい、変革の第一歩をふみだす歴史的な09春闘の勝利をめざして全力でたたかおう。
2009年1月14日
国民春闘共闘委員会 第1回単産・地方代表者会議
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