2010国民春闘共闘情報
全労連HP

第 2 号   2009年10月30日

 

野田市の公契約条例を全国に

公共発注の事業こそ、生活できる賃金を

 全労連・春闘共闘が公契約運動交流集会 

 「適正な賃金・労働条件を確保し、官製ワーキングプアをなくそう」。全労連と春闘共闘は10月29日、「公契約運動交流集会」を全労連会館で開きました。11単産・団体29地方から119人が参加し、各単産や地方で本格的に取り組まれつつある公共工事や民間委託、公共調達事業における適正賃金・雇用確保、入札改善、公契約条例の制定などをめぐって討論しました。




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 交流集会は、千葉県野田市で全国初の公契約条例が制定されたり、関係単産ですすむ適正単価・賃金を求める運動の前進、全国的に広がった自治体非常勤職員の賃金・労働条件調査と改善運動などの到達点を交流して、教訓を共有し、いっそうの運動発展をめざして開催されたもの。
 主催者あいさつした小田川義和事務局長は、野田市で制定された公契約条例や、尼崎市で取り組まれた制定運動などを紹介しながら、「政権交代の政治状況も視野に、公契約条例を制定させる時代に入った」と指摘。住民のための公共サービスを守るとともに、安ければよいという一般競争入札を改め、民間委託で働く現場労働者に生計費を保障する賃金を求める運動を呼びかけました(写真)

 東京土建出身の大門実紀史参議院議員(共産)が国会情勢を報告。「公共工事報酬確保法」づくりの経緯を紹介するとともに、地方から条例づくりをすすめる必要性、本当の公契約法は産別労使協定の上にできることを紹介しながら、「がんばれば要求が実現する情勢だ」と強調しました。

 伊藤圭一常任幹事が問題提起。国や自治体が発注する公契約が対GDP比で15%、約75兆円に達し、関連事業に就労する労働者が1000万人、加えて、直接雇用(任用)の非常勤職員が64万人余に達すると紹介。労働者の低賃金、状態悪化はサービスの低下につながると指摘。公契約関連労働者の賃金・労働条件の向上、雇用の安定・継続をはかる運動は、地域の民間賃金にも反映し、組織拡大の条件づくりにつながると強調しました。

 具体的な運動として伊藤氏は、@自治体アンケートとキャラバン(懇談)、A関係業界・市民団体との懇談、B地域各層を含む「公契約推進懇談会」(仮称)の結成、C学習会・シンポの開催、D地方議会議員との懇談・勉強会と意見書採択などをあげ、各々できるところから実行していくことを提起しました。



特別報告&事例紹介。ここまで来た公契約の改善

 特別報告では、単産・地方の典型的な取り組みが披露されました。
自治労連の代表は、公契約海外調査を行い、ロンドン・リヴィングウェイジ(生活保障賃金)の運動を報告。政権交代したブレア政権のもとで、大単産と市民団体が協力して労働党市長を誕生させ、市の政策として公契約関係にある交通、銀行、大学などの受託者に対し時給1512円(購買力レート)以上の支払いを求めていることを紹介しました。

 建交労は、生きがい就労のシルバー人材センターがダンピング入札を行い、高齢者(労働法の適用除外)が最賃以下の時給で使われていると告発。最賃以下を是正させる取り組みなどを紹介しました。福祉保育労は、福祉人材確保のためのアンケート調査を示しながら、福祉の労働者が正規職員でも勤続5年未満では月収15万〜20万円未満で、指定管理者制度などによる入札のたびに労働条件が低下している実態を示し、入札対象から外すべきだと訴えました。

 東京土建国分寺支部は、同市で大詰めを迎えている「公共調達条例」制定にむけた取り組みを紹介。2002年に「公契約条例の制定を求める陳情」を提出して以来、要請行動、公契約キャラバン、事務局レベルでの意見交換などをすすめ、当局との信頼関係を築いてきたと報告し、11月10日開催のシンポジウムへの参加を案内しました。世田谷区職労は、石原都政と連携する区政誕生のもとで、区内主要組合が「公契約ルール」確立をめざす懇談会準備会を発足させ、シンポや懇談会、ワークショップを開催して、建設、介護・福祉、自治体非常勤の待遇改善が必要との合意を広げている。7月のシンポでは、自民党から共産党までの5会派が積極的な発言、対応を示し、条例制定への合意づくりが進んでいることを紹介しました。

 討論・経験交流では、単産・地方の代表ら10名が発言に立ち、問題提起の内容を深めました。主な発言内容は、つぎのとおりです。
@千葉土建野田支部:全国初の公契約条例を制定した、この間の運動と市長の対応、条例の先駆的内容について。

A全労連全国一般:下水道管理、清掃、ガス検針などで、自治体から労働条件引き下げの押し付けや、災害などの賠償請求、一般競争入札による半値受注の実態。反対・改善闘争の特徴。

B建交労千葉地本:UR現場で働くダンプ労働者の単価改善闘争。台引き(1回いくら)の低価格が交通事故の原因だとして発注者と元請けに改善を求め、一律3万6000円を協定させる。

C京都市職労:官製ワーキングプアをなくすために、『めざそう公契約条例』のリーフを作成して職場討議。公契約の内容とともに、Q&Aで市民や自治体職員のメリットも明らかにする。

D大阪労連:市営地下鉄の清掃労働者が一般競争入札のダンピングによって、生活保護を受けて働く実態を告発。市長から「改善」発言を引き出す。野田市条例を見た橋本知事が賛意表明。

E国公労連・全建労:生活関連公共事業推進連絡会議の活動を紹介。公共工事設計労務単価の作り方と、低減傾向の実態を説明。公務員賃金を適用することを提案。

F埼労連:ライフラインを支える公共的業務までを対象とする運動領域拡大の提案。10月のキャラバンから始めて、翌春3月の集中回答日に時給引き上げを求める、地域春闘と連動した運動。

G全印総連:業界と共同してすすめる入札改善と適正単価確立の運動の到達点。最低制限価格を導入させる取り組みについて。

H兵庫・尼崎労連:先行した条例制定の運動が議会で否決された背景は、反対派による「違法キャンペーン」などで一部議員が寝返ったこと。一方で、運動は野田市などに引き継がれる。

Iみえ労連:自治体アンケートの結果を、課題別にワースト、ベストなどの表にして、各自治体に返すことによるリアクション(労働条件の改善)。組織化の芽も見つけて組合づくり。





 




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