2010国民春闘共闘情報
全労連HP

第 9 号  2009年12月03日

 

4月1日以降、7つの制度改正に対応を

 12.2制度的要求交流会で学習・討論 

時短、均等待遇…要求実現のチャンスに

 国民春闘共闘委員会は12月2日、「職場の制度的要求交流会」を全労連会館で開催しました。8単産・団体1地方から合計28人が参加し、2010年4月1日以降に施行される法制度の学習と、それに対応した職場でのとりくみ、今年の春闘で得た各単産の成果と教訓などについて交流・討論しました。


 写真  主催者あいさつで小田川事務局長は、現行の法制度は労働者の雇用と生活を守るうえで規制の力が弱いことを指摘。法制度の学習と討論でおたがいの認識を深め、「労働協約締結をはじめ、職場でのたたかいを大きな目線で強めよう」と訴えました。
 春闘共闘事務局より、中島事務局員(全労連賃金部長)が今年の春闘における職場の制度的要求獲得状況と、過去13年間の実績について説明。厳しい情勢のなかでも、均等待遇や時短・休暇制度をはじめ、ここ数年職場での要求獲得が増加傾向にあることを報告しました。
 つづいて、@労働基準法の一部改正法(割増賃金・有給休暇)、A育児・介護休業法の一部改正法をはじめ、B次世代育成支援対策推進法の一部改正法、Cワーク・ライフ・バランス憲章及び行動指針の策定、DILO187号条約「職業上の安全及び健康を促進するための枠組みに関する条約」、E雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金について、F雇用保険法等の一部を改正する法律の概要、G障害者雇用促進法の一部を改正する法律の概要、H新型インフルエンザに関する事業者・職場のQ&A、I高年齢者雇用確保措置の特例期間の終了、J適格退職年金制度の移行促進など、来年4月1日以降に施行される職場制度について担当者から説明を受け、質疑応答では、全労働(国公労連)の古市中執らが一つひとつていねいに答えました。

 特別報告では、5単産の代表が発言しました。
 出版労連の平川書記長は、育児・介護について、アンケートやチェックリストなどを活用した職場のとりくみを紹介。均等待遇については、ねばり強い交渉で非正規社員の賞与を獲得したり、正規化を実現した経験を語り、企業内最賃では教科書共闘が数社にまたがる統一交渉を行うなど、時給1300円をめざす運動を紹介しました。

 化学一般労連の伊藤書記次長は、安全衛生活動に力を入れ、毎年冊子を作成していると報告。企業内最賃では、120組合のうち41組合で協定を結んでいるが、経営側の姿勢を突破し、せめて5割以上の組合での最賃協定締結をめざしていきたいと強調。並行してとりくんでいる産業別最賃協定(現在25組合)も広げたいとのべました。このほか組合員の意識調査では、賃金や雇用保障とともに、若年層ではリフレッシュ休暇などの要求が強いことが紹介されました。

 JMIUの三木書記長は、半数以上の職場で雇用調整助成金の活用により休業補償がなされているが、一時休業は人員削減策の第一歩であり、安易な対応をいましめる必要があると指摘。雇用保障の要求をしっかり行うこと、休業中も職場に出てきて仲間と議論したり、地域の行動に参加するなど、組合の団結をはかることが大事だと強調しました。また、一時休業が提案された職場の組合で、派遣労働者への対応について相談し、休業扱いとして賃金を保障するよう会社を通じて4つの派遣元へ働きかけ実現させるなど、貴重なとりくみを紹介しました。

 国公労連の上田中執は、日々雇用される約12万人の非常勤職員の待遇改善を求めて運動し、07年以降の人事院勧告で、賃金や休暇制度など年々前進させてきたと報告。来年4月からは健康診断が実施される見通しで、「安心して働ける環境をつくるたたかいの正念場だ」とのべました。

 全農協労連の国分委員長は、春闘や秋年末闘争で制度要求を提出し、@人事・雇用問題A安全衛生B賃金格差・諸手当の改善C働くルールなどの成果を紹介。農協の組織統合を機会に賃金体系が複雑化されている実態や、総合職と一般職のコース別人事管理により、女性労働者の大半が一般職に押し込められるなど、男女差別の温床になっているとのべました。また、新潟ではパワハラにあった労働者の退職撤回裁判をたたかい、1審で勝利した経験を語りました。

 討論では、年休の時間単位の取得や「8-7制」など、すでに勝ち取ってきている職場制度について、今回の法改正を機会に逆に後退させられるなどの動きが紹介され、法律はあくまで最低基準であり、協定・協約の締結によって職場の改善をはかること、そのためにも組合幹部を先頭に学習を強めることの大切さが確認されました。



(まとめ)各職場で学習し、とにかく要求提出を

 最後に中島事務局員が、つぎのようにまとめの発言を行い、交流会を終えました。

1.改正される7項目の職場制度の内容については、全労働・古市中執らの説明で理解を深め、焦点の均等待遇などの課題は、各単産の特別報告などで成果を共有できた。本日配布の「資料集」なども参考に、全組織で学習して職場の労働条件を改善していこう。

2.要望のあった「適格退職年金の廃止」にともなう移行先問題は、近く示される確定給付型の内容もふまえ、春闘前段にも研究会を開催したい。

3.討論を通じて、「今回の改正を機に、法定を上回る良い労働条件(労働時間8-7制など)を切り下げる攻撃」があり、役員の世代交代もあって、基本的な学習の必要性が指摘された。労働組合にとって、「必要なのは労働協約をいかに獲得するかだ」という意見も重要である。

4.制度的要求は、賃上げ同様に各職場で要求提出しないことには前進しない。すべての組合が賃上げでも制度問題でも要求提出できるよう、全労連・春闘共闘と各単産がお互いに協力してキメ細かい方針・資料づくりや指導を強めていこう。






 
 変化をチャンスに、貧困・格差の解消、内需の拡大を(案) 




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