2010国民春闘共闘情報
全労連HP

第 18 号  2010年03月08日

 

大企業は内部留保を還元せよ

―春闘共闘、トップ10企業へ社会的責任を迫る―

 全労連・国民春闘共闘委員会は、3月4日の中央行動(霞が関総行動)に続く翌5日、今春闘のとりくみの一環として、内部留保額トップ10の大企業に対し申入れ行動を開始しました。この日は、日産自動車、ソニー、三菱東京UFJフィナンシャルグループ、本田技研工業、キヤノンの5社をいっせいに訪問。日本電信電話(NTT)、NTTドコモ、パナソニック、東京電力の4社は申入れ自体を拒否しました。トヨタ自動車は9日に申入れを予定。順次、内容について紹介します。




 ソニー株式会社 

申入書は「社内で精査する」

 各企業に対する申入書の内容は基本的に共通しており、ため込んだ内部留保を活用して、
@労働者の雇用確保、労働条件の改善、品質管理や人権擁護などのCSR(企業の社会的責任)を果たすこと、
A関連子会社や下請け各社に対し、下請代金法など法律を遵守し、適正な代金・単価を保障すること、
B日本の大企業はEU諸国と比べても税・社会保障負担が低いことから、憲法の精神にもとづいて応分の負担をすること
などを求めています。

 ソニーへの申入れには、全労連から柴田真佐子副議長、今井常任幹事、東京春闘共闘から影山事務局次長が参加し、ソニー側は社員部労政企画グループの2名が対応しました。

 全労連の代表らは、企業側に申入れ書を手渡したうえで、国民春闘共闘の試算によれば、ソニーの内部留保額は国内第10位の3兆5500億円に上ることを指摘。ソニーの正規従業員17万2000人に対する月額1万円の賃上げに必要な額は約310億円、内部留保のわずか0.87%を取り崩すだけで実現できることを強調しました。また、内部留保の1%で、年収300万円の労働者1万2000人の雇用増につながることなどを示し、応分の社会的責任を果たすよう求めました。

 ソニー側は、「申入れをちょうだいし、社内で精査し適切な対応があればしていきたい」「CSRについては、他社に引けを取らない、業界ナンバーワンの企業としてとりくんでいきたい」などとのべました。
 また、今春闘での対応にかんしては、経営状況について「08、09年は相当厳しい状況で、現在回復途上にある」「春闘については、これから要求が出て協議となる」とのべるにとどまりました。
 このほか、中国やインドなどから研修の契約をし、仕事の希望があれば継続していること、「(男女差別につながる)総合職などのコース別人事はおこなっていない」「以前から学歴や性別にかかわりなく昇進するシステムを採用している」などとのべました。



 日産自動車株式会社 

「いっさいお答えできない」

 日産自動車への申入れには、全労連・柴田副議長、神奈川労連・水谷議長、JMIU日産自動車支部の阿部委員長が参加し、日産側は渉外部の担当者ら2名が対応しました。

 代表らは、日産自動車の内部留保額は国内第9位の3兆7000億円に上ることを指摘。日産自動車の正規・非正規の従業員約17万人余りに対し、月額1万円の賃上げを行うのに必要な原資は約300億円で、内部留保のわずか0.81%にすぎないと強調しました。
 また、内部留保の1%を取り崩すだけで、年収300万円の労働者1万2300人の雇用増が可能になることを示し、内部留保の還元で庶民の懐を温め、景気の回復をはかるために、大企業としての責任を果たすよう求めました。

 これに対し日産側は、申入書を受け取るのみで、一切の回答を拒否。申入れの内容を社内で十分検討するよう求めたのに対しても、「扱いについてお答えできない」とのべるなど、不当な態度に終始しました。






 
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