第 20 号 2010年03月10日
トヨタの社会的責任を追及
―トップ10企業申入れ行動(その3)―
3月9日、全労連・国民春闘共闘委員会は、5日の大企業いっせい訪問に続き、内部留保額ナンバーワン≠フトヨタ自動車(東京本社)に対し、申入れを行いました。リコール問題で大揺れのトヨタは、申入れは真摯に受けとめる姿勢を示したものの、内部留保の社会的還元と自社の責任については態度を明確にしませんでした。以下、概要を紹介します。
内部留保問題…
「考え方はいろいろある」
申入れには、全労連から岩永政策局長、布施国際局長、高島事務局員、全教から木原中央執行委員、東京地評から永瀬特別幹事が参加し、トヨタ側は担当課長2人が対応しました。
大量リコール
「指摘については承知している」
要請団は冒頭、今回の申入れの趣旨について説明。安全を最優先すべき企業の社会的責任が厳しく問われているなかでの要請であることを重く受けとめ、13兆4026億円に上る内部留保の一部を活用し、期間従業員の正社員化、下請企業の経営と地域経済を守るよう要請しました。また、国際的な問題となっている大量リコールについて、「利益優先、安全軽視の結果ではないか」と追及しました。
これに対しトヨタ側は、「ご心配をおかけしているが、もれなく回収し対応していく」「いかんせん赤字であり、厳しい状況が続いているが、全社一丸となって黒字化めざしてがんばっている」などとのべました。
要請団は「非正規労働者への置き換えで熟練労働者を大事にせず、技術の伝承が十分されていないことが、製品の劣化などを招いたのではないか」と指摘。トヨタ側は「指摘や不安については承知している。製造業はどこでもそうだと思うが、いいものを安く作り、買っていただくというスタンスで活動している」などと答えました。
トヨタが下請部品納品企業に対し一方的な単価切り下げなどを行っていること、すべてのしわ寄せが下請労働者に押しつけられている事実をあげ、公正な取引関係を確立するよう迫ったのに対しては、「社会的責任は企業の大小に関係なくある」「黒字化し税金を納めることで社会的責任は果たせる。黒字化に向けてがんばる」など、大企業として負うべき特別な責任については言及しませんでした。
内部留保
「すべてが現金ではない」
要請団は、赤字のときにも内部留保を取り崩して株主配当を続けながら、一方で派遣切りなど労働者へしわ寄せすることは断じて許されないと厳しく追及。全教が2月に実施した「緊急ホットライン」では、授業料が払えず卒業できない子どもなど、胸を痛める事態が全国に広がっていることをあげ、「従業員へのしわ寄せは家族と子どもに及ぶ。内部留保を雇用確保のために使い、子どもの将来を守ることがトップ企業としての使命ではないか」とのべました。
トヨタ側は、「(内部留保は)すべてが現金ではなく、工場や建物などの固定資産、設備投資に向ける部分もある」「考え方はいろいろあるだろう。子どもの問題は大変だと思うが…」とのべるにとどまりました。
要請団は最後に、トヨタの経営のあり方は日本の『ものづくり』に大きな影響を及ぼすことを自覚し、申入書の趣旨を受けとめ対応していくよう重ねて要請しました。
変化をチャンスに、貧困・格差の解消、内需の拡大を
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国民春闘共闘情報
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