第 22 号 2010年03月16日
10春闘アンケート
約3分の2が生活「苦しい」
―なんとしても賃上げで生活改善を―
全労連・国民春闘共闘委員会はこのたび、2010年春闘「働く仲間の要求アンケート」の第3次(最終)集約を行いました。このアンケートには、正規労働者17万3731人、パート等労働者5万4934人、合計22万8665人(昨年は18万6395人)から回答が寄せられました。アンケート回収・集約にご協力いただいた各単産、地方共闘組織のご奮闘にあらためて感謝いたします。以下、結果の特徴を紹介します。
1.働くみんなの要求アンケート結果(正規労働者)
(1)約3分の2が生活「苦しい」
生活実感については、「かなり苦しい」「やや苦しい」が合わせて64.3%(昨年65.2%)と、昨年より微減したものの、いぜんとして圧倒的多数を占めています。
単産別では、「苦しい」層が自交総連で87.9%、検数労連で84.1%と8割超。このほか、全労連全国一般、通信労組、JMIU、建交労が7割を超えるなど、製造・運輸・通信関係で高率となっています。
大企業の業績回復が労働者にほとんど「恩恵」を与えていないことがうかがえます。
(2)賃上げ要求、平均2万6022円に
賃上げ要求額は、月額「1万円」が最多で全体の4分の1(25.4%)を占めました。ついで「3万円」16.8%、「2万円」14.2%となっています。「5万円」を要求する層も11.4%を占めるなど、全労連・国民春闘共闘が統一要求として掲げた「1万円以上」を要求する労働者は全体の86%に上ります。
加重平均(組合員一人当たりの平均)は2万6022円(昨年2万6658円)、組合ごとの単純平均は2万5930円(昨年2万6793円)と、昨年に比べ微減という結果でした。
産業別では、タクシーの規制強化実現へ奮闘した自交総連が、昨年を3573円上回る平均3万8705円、公務では全教が昨年より2575円多い平均2万6551円となりました。
(3)最低生活保障要求が上位に…制度政策要求
政府に対する制度政策要求(16項目から5つ選択)では、「医療・介護・保育・生活保護等の改悪阻止と制度改善」が52.9%でトップ。A「年金改善・最低保障年金制度の確立」(46.5%)、B「最賃大幅引上げ、全国一律最賃制度の確立」(37.6%)と、ナショナルミニマム(国民の最低生活保障)を求める声がトップ3を占めました。
このほかC「消費税など庶民増税反対」、D「派遣法抜本改正、安定雇用の実現」、E「長時間労働根絶、安全衛生強化、メンタル対策」が続き、政府が進める政策に対する批判や職場の切実な状況がストレートに表れる結果となりました。
2.パートで働くみんなの要求アンケート結果
(1)生活「苦しい」68.2%に
パートなど非正規労働者のアンケートでは、生活が「かなり苦しい」26.5%、「やや苦しい」41.7%と、合わせて68.2%に上りました。正規労働者の割合(64.3%)を上回る数字で、さらに切実な労働条件におかれていることを示しています。
(2)賃上げ要求、平均時給124円に
時間額の賃上げ要求では、昨年同様「100円」が最多で18.8%、「50円」が14.6%で続いています。平均時給賃上げ要求額は124円と、昨年(122円)を若干上回りました。「200円以上」を要求する層も16.3%を占めており、時給引上げ要求は切実さを増しています。
(3)職場の不満…「賃金が安い」「正社員との格差」が多数
「職場の不満」(13項目から3つ選択)では、「賃金が安い」が33.5%でトップ、A「正社員との賃金・労働条件の格差」(23.8%)、B「正社員で働きたい」(14.6%)の順となりました。いずれも、正規労働者と同等の仕事をしながら差別的な待遇を受けている実態が反映しています。
C「同僚・上司との人間関係」、D「雇用契約が更新されないのではないか」、E「職場や仕事がなくなるのではないか」がそれぞれ1割を超えて上位に続くなど、雇用とともに精神的にも不安を抱える深刻な状態におかれています。
全体として、2008年秋に始まった世界経済危機以降、大企業が業績を回復し、内部留保を積み増す一方で、労働者の生活実態はほとんど改善していないことが明らかになりました。
この春闘で、大企業に対し内部留保を労働者と下請け中小企業に還元させ、賃上げと雇用確保をかちとり、国民の消費購買力を高めることで不況打開をはかるたたかいの重要性があらためて浮き彫りになったといえます。
変化をチャンスに、貧困・格差の解消、内需の拡大を
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国民春闘共闘情報
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