2010国民春闘共闘情報
全労連HP

第 27 号  2010年04月05日

 

 10春闘・第2回進ちょく状況調査 

スト実施組合、前年を上回る

ベア獲得組合も増、奮闘つづく

 全労連・国民春闘共闘委員会は4月1日、各単産に加盟する全単組を対象とした第2回の「春闘進ちょく状況」調査を実施し、21単産(3970組合)から報告が寄せられました。ストライキを実施した組合数がすでに前年実績を上回り、ベースアップを獲得する組合も前年同期を超過するなど、各組合で低額回答を押し返す奮闘がつづいています。


1.要求提出、スト権確立状況

 今回報告が寄せられたのは、別表の21単産(3970組合)です。
 今春闘において要求を提出した組合は、4月1日現在、2141組合(調査組合全体の55%)となっています。前年同期の2228組合(57%)をやや下回っていますが、前回報告(3月24日現在)から1329組合増加しています。前回の通信労組、全損保、郵産労に加え、今回報告では合同繊維、検数労連が全組合で要求を提出しています。これに全倉運(93%)、映演労連(92%)が続き、出版労連、民放労連が8割以上となっています。

 スト権を確立した組合は1361組合(49%)と、前年同期(1604組合・53%)をやや下回っていますが、前回報告からは大幅に増加しました。
 通信労組、全損保、郵産労、検数労連が全単組で確立し、映演労連も12組合中10組合(83%)で確立しています。全労連全国一般も75%と、前年同期を上回っています。


2.回答引出しの状況

 これまでに回答を引き出したのは815組合(21%)と、前年同期(921組合・23%)よりやや少なくなっています。全倉運(72%)に民放労連(61%)、出版労連(59%)などが続き、いずれも高率でのスト権確立を背景に回答引出しが進んでいます。金融・保険関係は4月以降に交渉が本格化します。

 回答内容では、「定昇あり」「定昇なし」ともにベアを獲得した組合が前年同期を上回っているのが特徴です。とくに「定昇なし」では、建交労の65組合を筆頭に、全印総連(26組合)、出版労連(25組合)などベア獲得が120組合に達し、前年同期(67組合)の2倍近くに上っています。大手労組の多くが「ベアなし・定昇のみ」で妥結した流れを受けて、ベアゼロ回答は「定昇あり」で前年とほぼ同数に上るものの、「定昇なし」では前年の97組合から39組合と大幅に減少しています。「定昇凍結」「定昇なし・賃下げ」の不誠実回答はあわせて11組合報告されていますが、前年同期の29組合から減少しています。

 大企業の業績回復とは裏腹に中小企業での経営悪化が続くなかでも、国民春闘共闘に結集する各組合がベア要求を果敢に掲げ、すべての労働者の生活改善のためにねばり強くたたかっていることを反映しています。
 また、10年ぶりの診療報酬改定も受けて、ストを軸に攻勢的なたたかいを進めている日本医労連が、20組合でベアを獲得していることも注目されます。


3.平均賃上げ額など

 今回は、回答を引き出した815組合中、695組合(85%)に金額または引上げ率での回答がありました。平均賃上げ額は、単純平均(組合ごとの平均)で4976円(1.80%)と、前年からマイナス68円(−0.09P)となっています。

 引上げ率では、全農協労連、民放労連、日本医労連が2%台に乗せています。
 なお、全体でベア獲得数が増加しながら平均賃上げ額が下がっているのは、もともと定昇制度のない中小組合でのベア獲得が大きな割合を占めていることによるものですが、いずれも貴重な成果であることに変わりありません。


4.スト実施、妥結状況など

 3月18日の第1次全国統一行動、24〜26日の回答引出し・追い上げ行動強化ゾーンを軸として、これまでにストライキを実施した組合は349組合となっています。

 これは前年同期(256組合)を上回るばかりか、前年の最終実績(335組合・全体の10%)をすでに超過しています。出足早くとりくみをスタートさせたJMIUの200組合(前年実績=120組合)をはじめ、出版労連(30組合)などが全体をけん引しています。25日に全国で5万人以上が行動に立ちあがった日本医労連は、現在48組合(9.6%)の到達ですが、なお集約中であり、さらに増加することが予想されます。
 妥結状況については、すでに妥結した郵産労のほかは、出版労連(26%)、化学一般労連(14%)など、全体でも5.7%の到達となっています。

 4月14日には自交総連が全国規模でのストライキを構えるほか、16日に映演労連がいっせいストを決定するなど、4月中旬の回答引出し・行動強化ゾーン、「4・21国会集中行動」に向けて、各単産とも正念場を迎えています。





10春 闘 第2回 進 ち ょ く 状 況

2010年4月01日現在 ●国民春闘共闘委員会

単産名 調査組合数 春闘要求 スト権 回答引出し 平均賃上げ スト実施組合 妥結組合
確立数 提出数 組合数
全農協労連 246 99 40% 22 9% 33 13% 28 5575 集約中   1 0.4%
建交労 715 459 64% 459 64% 91 13% 49 2103 5 1% 37 5%
建設関連労連 46 3 7% 0 0% 2 4%     0 0% 2 4%
JMIU 300 227 76% 200 67% 132 44% 132 4329 200 67% 20 7%
化学一般労連 102 74 73% 20 20% 49 48% 49 5190 3 3% 14 14%
合同繊維 6 6 100%     2 33%            
自交総連 339 159 47%     14 4%            
検数労連 2 2 100% 2 100% 4月以降              
全倉運 43 40 93% 15 35% 31 72% 31 4506 0 0% 2 5%
通信労組 30 30 100% 30 100% 集約中       30 100%    
生協労連 173 72 42% 集約中   61 35% 39 3146 1 1%    
全国一般 400 250 63% 300 75% 19 5% 16 4592 4 1% 0 0%
全損保 12 12 100% 12 100% 4月以降              
全印総連 129 66 51% 19 15% 47 36% 34 4484 9 7% 1 1%
民放労連 128 106 83% 47 37% 78 61% 78 7034 14 11% 10 8%
出版労連 114 98 86% 44 46% 67 59% 64 5937 30 26% 30 26%
映演労連 12 11 92% 10 83% 4月中旬以降              
日本医労連 500 350 70% 176 35% 175 35% 175 5466 48 10% 1 0.2%
福祉保育労 615 72 12% 集約中   9 1%            
全教 53 集約中   集約中   集約中              
郵産労 5 5 100% 5 100% 5 100%     5 100% 5 100%
報告計・21単産 3970 2141 55% 1361 49% 815 21% 695 4976 349 13% 123 5.7%
前年4/02 計・24単産 3938 2228 57% 1604 53% 921 23% 663 5044 256 8% 145 3.7%


(注)、@,各項目における「率」について…「集約中」の単産については、分母から単組数を除いてあります。
    A,「平均賃上げ額」は、加盟全単組を対象とした単純平均(組合ごとの平均)額です。




 
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