2010国民春闘共闘情報
全労連HP

第 33 号  2010年04月30日

 

 10春闘・第3回進ちょく状況調査 

中小での賃上げ獲得進む

 
  国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇などで構成)は4月28日、加盟全単組を対象とした第3回「春闘進ちょく状況」調査を実施しました。昨年にも増して厳しい春闘のなか、定昇制度をもたない中小組合での賃上げ獲得が前年より著しく増加するなど、後半戦に向けて重要な前進面を切り開きつつあります。
 


要求提出、いまだ6割強

 要求提出状況 

 第3回調査に報告を寄せたのは、別表の21単産・4072組合です。

 今春闘における要求提出状況は、4月28日現在、2509組合(調査組合全体の62%)となっています。例年、「決算・予算待ち」等の事情から、要求提出が4月以降にずれこむ組合もありますが、前年同期が2617組合(67%)、2年前の同期が2830組合(70%)だったことと比較すれば、やや遅れている状況です。学習を中心に出足早くとりくみをスタートさせた組合も多くある一方で、ことさらに経営状況の悪化を強調する経営側の宣伝に押され、一部には要求提出自体をためらう傾向も指摘されており、こうした組合では、単産を中心に激励のとりくみが進められています。

 全単組で要求を提出しているのは、単一組合の通信労組、郵産労をはじめ、合同繊維、検数労連、全損保の5単産です。これに映演労連、全倉運、民放労連、金融労連、出版労連が8割以上の高率でつづいています。



「定昇なし」組合での有額獲得が急増

 回答引出し状況 

 これまでに回答を引き出したのは1199組合で、要求提出組合数の48%となっています。前年同期の1315組合(50%)、2年前の1541組合(54%)と比べてもやや低下しており、厳しい状況を反映しています。

 要求を提出したすべての組合で回答を引き出しているのは、通信労組、郵産労、検数労連、全倉運、全教の5単産です。このほか民放労連、出版労連、生協労連、全印総連が8割以上となっています。建設関連労連、金融労連、映演労連でも、4月下旬の追上げのとりくみのなかで回答が出始めています。

 賃上げの回答内容では、「定昇あり」の組合で、引出し数が全体として減少するなか、「ベア獲得」「ベアゼロ」ともに減少していますが、いぜんとして「ベアゼロ」が589組合と、回答引出し組合数(「定昇あり」)の88%を占めています。これは前年同期の86%とほぼ同水準に上っています。一方、「定昇凍結」などの不誠実回答が、前年の24組合から今年は18組合に減少していることも注目されます。単産別にみても、いずれも「定昇のみ」が圧倒的ですが、化学一般労連、出版労連、日本医労連などでベア獲得が目立っています。

 「定昇なし」では、金額・率など何らかの有額回答をかちとった組合が222組合と、前年同期の17組合から急増しています。対照的に、「ゼロ回答=賃上げなし」は、前年同期の163組合から今年は68組合へと激減しています。賃下げ回答は、前年同期の11組合に対し、今年は1組合が報告されているのみです。単産では、前回と同じく建交労のほか、出版労連、全印総連などが全体をけん引しています。


 平均賃上げ額など 

 賃上げ額は、回答を引き出した904組合の単純平均(組合ごとの平均)で、月額4877円(1.82%)と、前年同期とほぼ同額になっています。
 引上げ率では、全農協労連、建設関連労連、日本医労連が2%台に乗せています。建交労は、平均賃上げ額こそ高くないものの、有額獲得数が前回(4/1現在)の65組合から、今回は124組合へと大きく伸ばしていることは見逃せません。



自交、映演、民放などスト実施増

 スト実施、妥結状況など 

 スト権は、17単産の1634組合(51%)で確立しています。前年同期の1647組合(49%)を率で上回っていますが、2年前の1806組合(57%)からはやや後退しています。単産では、4月16日に統一ストをうった映演労連(83%で確立)などが注目されます。

 スト実施状況は、これまでのべ430組合(14%)が実施し、前年同期の318組合(9%)を大きく上回っています。「タクシー大幅減車」などを求めて4月14日に全国で3100人が行動に立ちあがり、マスコミにも大きく報道された自交総連や、映演労連などが新たに加わっています。民放労連も前回までの14組合から25組合へとスト実施が増加し、あわせて回答引出し数も大幅に伸ばしています。

 これまでに妥結したのは338組合と、全体の13%にとどまっています(前年同期は432組合・17%)。郵産労、検数労連が全単組(支部)で妥結したほか、全倉運、出版労連、建設関連労連などで進んでいます。

 全体として、スト実施数を除けば、いずれの項目も前年と同水準か、やや下回る状況にあります。こうした厳しいたたかいのなか、中小組合で賃上げの有額獲得数が増加し、別途発表している賃上げ集計でも、中小の奮闘によって底上げがはかられてきていることは、全体を励ますものです。

 各単産では、引き続き5月連休明けの回答引出しと決着をめざし、「5・19中央行動」「5・28決起集会(仮称)」などを節目に、最賃・人勧をはじめ、夏季闘争に向けた態勢を確立しつつあります。





10春 闘 第3回 進 ち ょ く 状 況

2010年4月30日現在 ●国民春闘共闘委員会

単産名 調査組合数 春闘要求 スト権 回答引出し 平均賃上げ スト実施組合 妥結組合
確立数 提出数 組合数
全農協労連 246 123 50% 22 9% 75 61% 28 6088 集約中   14 11%
建交労 711 491 69% 491 69% 177 36% 123 2811 5 1% 85 17%
建設関連労連 46 11 24% 0 0% 7 64% 6 6995 0 0% 6 55%
JMIU 300 227 76% 200 67% 132 58% 132 4329 200 67% 20 9%
化学一般労連 102 74 73% 20 20% 49 66% 49 5190 3 3% 14 19%
合同繊維 6 6 100%     2 33%            
自交総連 339 220 65% 210 62% 16 7%     55 16% 5 2%
検数労連 2 2 100% 2 100% 2 100%         2 100%
全倉運 43 39 91% 14 33% 39 100% 39 4394 0 0% 25 64%
通信労組 30 30 100% 30 100% 30 100%     31 103%    
生協労連 173 72 42% 集約中   61 85% 39 3146 1 1%    
全国一般 400 250 63% 300 75% 19 8% 16 4592 4 1% 0 0%
金融労連 80 66 83% 8 10% 9 14% 6 5221 0 0% 1 2%
全損保 13 13 100% 13 2 15%       0 0% 0 0%
全印総連 129 70 54% 19 15% 56 80% 34 3904 9 7% 6 9%
民放労連 128 113 88% 50 39% 100 88% 100 6608 25 20% 35 31%
出版労連 134 107 80% 44 46% 94 88% 85 5750 30 22% 64 60%
映演労連 12 11 92% 10 83% 5 45%     6 50% 0 0%
日本医労連 500 353 71% 196 39% 247 70% 247 5441 56 11% 20 6%
福祉保育労 620 205 33%     51 25%         36 18%
郵産労 5 5 100% 5 100% 5 100%     5 100% 5 100%
全教 53 21 40%     21 100%            
報告計・21単産 4072 2509 62% 1634 51% 1199 48% 904 4877 430 14% 338 13%
前年5/08 計・24単産 3925 2617 67% 1647 49% 1315 50% 864 4883 318 9% 432 17%


(注)、@,各項目における「率」について…「集約中」の単産については、分母から単組数を除いてあります。
    A,「平均賃上げ額」は、加盟全単組を対象とした単純平均(組合ごとの平均)額です。
    B,「スト実施組合数」は、のべ数で掲載しています。




 
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