2010国民春闘共闘情報
全労連HP

第 36 号  2010年05月18日

 

 10春闘・制度的諸要求獲得状況(中間集計A) 

非正規の賃上げ獲得数が増加

―育児介護休業、企業内最賃協定など前進―

 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇などで構成)はこのほど、今春闘における制度的諸要求(パート等待遇改善、企業内最賃、時短、各種休暇など)獲得状況の第2回中間集計を行いました。5月14日現在、21単産部会2地方・のべ970組合から報告が寄せられ、パート等非正規労働者の賃上げ獲得数が前年同期の倍に達するなど、厳しい情勢のなかでも貴重な成果をかちとっています。


●パート等賃上げ獲得、正規化・直雇用化も●

 第2回中間集計には、別表の21単産部会2地方から、のべ970組合の要求獲得・前進が報告されました。

 今回の集計結果の特徴の第一は、パート等非正規労働者の賃上げを獲得した組合が262組合に上り、前年同期の130組合から倍増していることです。
 別途行っている賃上げ集計(第5回集計・5/11現在)によれば、パート等の賃上げは、時間額平均(組合ごと単純平均)で前年同期比2.9円マイナスの15.0円となっていますが、獲得数では生協労連、自治労連、日本医労連などが健闘し、多数の賃上げが報告されました。

 医労連では、介護職の処遇改善交付金の適切な活用で非正規の待遇改善を迫るとりくみが強化されており、時給「10円〜20円」の引上げに加え、「80円」「50円」などの大幅な引上げを獲得した組合も報告されています。これは月換算で1万〜1万5000円程度の賃上げに匹敵します。全印総連でも、東京の分会がパート時給150円増を獲得。地方では国労大阪が、契約社員のベアなどをかちとっています。

 賃上げ獲得とあわせ、「調理師2名を臨時・嘱託から正職員化」「正職員と同等の働き方をする非常勤の正規化を合意」(以上医労連)、「正規職員化6人」「請負から法人の直接雇用を実施」(以上福祉保育労)、「認定調査員を市が直接雇用」(自治労連)など、非正規労働者の正規化を含む待遇改善のとりくみが進んでいることも特徴です。

 第二の特徴は、前回に引き続き、育児介護休業法の改正に伴う協定化や、母性保護の要求が前進していることです。休業期間中の有給保障は、出版労連、建交労、全印総連などで協定化が進んでいます。母性保護関係では、「産前産後休暇各10週間」(出版労連)、「妊娠判明時点からの遅出勤務の免除」(医労連)などが報告されています。



●サービス残業の撤廃♀m認、継続雇用70歳まで延長など●

 その他の課題別要求では、全体としての獲得数は前年同期比でやや減少しています。

 時短関係では、「4/1より完全週休2日制へ移行」(全農協労連・単協)、「残業過多、有休・公休とも取れていないことに鑑み、年間休日119日に増」(福保労)、「半日有給休暇取得の回数増(年間20→24回)」(全倉運)などが目立ちます。残業関係では、化学一般労連の組合が「サービス残業の撤廃」を要求し、会社側にきちんと確認させていることは重要です。なお、労基法改正に伴う60時間超の時間外労働の賃金割増(50%)については、現在までのところ、協定化は一部にとどまっています。

 企業内最賃では、建交労の87組合を筆頭に、医労連、生協労連、化学一般労連など159組合から報告が寄せられ、前年同期の128組合を上回っています。医労連や出版労連では、最賃時給を150円〜175円アップさせた組合も出ています。
 初任給・格差是正では、医労連(介護)や福祉保育労などで、処遇改善交付金を使って初任給をアップさせたり、若年層の賃金引上げ、各種手当という形での(若年層への)傾斜配分などが特徴的です。

 労災補償・安全衛生では、化学一般労連の組合が「心の病に関する予防協約書(統一要求)」について一部確認させたほか、「私傷病の特別休暇制度創設」(出版労連)、「職業病検診の隔年実施」(福保労)などが報告されています。
 雇用保障・人員増、定年延長等では、「派遣社員について年間1名を嘱託化」(化学一般労連)、「60歳定年後70歳まで継続雇用期間延長」(福保労)などが注目されます。

 その他の要求でも、医労連が夜勤手当をはじめ各種手当の大幅な増額をかちとっているほか、「雇用延長者の賃金支給を時給制から月額固定制に」(化学一般労連)、「処遇改善交付金対象外職員に2000円の手当支給」(医労連・介護)、「扶養手当について同一世帯から同一生計へ対象拡大」(福保労)など、多彩な成果が報告されています。

 組織別では、前年報告のなかった福祉保育労をはじめ、自治労連(非正規)などから多数の要求前進が報告されました。地方報告では、大阪で非正規を中心に待遇改善を実現させています。
 こうした要求前進の一方、雇止めや賃下げ提案、団交拒否など経営・当局側の不当な対応も報告されており、各組織において引き続きとりくみ強化の努力がはかられています。



(以上)


 
10春闘 パート賃上げ・最賃・時短・諸要求獲得状況(のべ組合数)

(中間集約)

2010年5月14日 集計

国民春闘共闘委員会調べ


単産名 労働時間の短縮関係 パートの待遇 企業内最賃保障 社保負担改善 育休新設改善 介休看休新改 その他母性保護 労災対策 雇用保障 退職金 その他諸要求の前進
所定時間 週休2日 休日休暇 残業関係 他の時短 賃金改善 条件改善 最低賃金 年齢保障 初任格差正 労災補償 安全衛生 人員増 雇用保障 定年延長
全農協労連 連合会                       1                 9 10
 単協   1                                     7 8
建交労 3   3 2 2 10 8 87 13     7 4 1   1 2   4 5 7 159
建設関連労連       1               2 1               4 8
JMIU 1   3 1 5 2               2 4 11 9     3 29 70
化学一般労連       3 7 5   17               3 1 1 1 1 13 52
自交総連         1                     1         4 6
全倉運     1 1               1 1     2         3 9
通信労組             1                             1
郵産労           2                               2
生協労連               20                           20
生協パート           77                               77
全国一般       2 1     1       1             1   13 19
非正規           24                               24
金融労連         1                               2 3
全印総連     4   1 2 8 8       5 5               4 37
出版労連     5 1 8 1 5 4 1 2   11 6 2   3 1   1 2 5 58
民放労連                                           集計中
日本医労連 1 1 3 18     20 22   4     2 5   1 9 1 2   65 154
医労連パート           58 16                   2       1 77
福祉保育労 1 1 3 2 3 9 17     2           2 3 1 2   40 86
自治労連・関連           61 10                             71
特殊法人労連                                           集計中
地方報告・大坂           10 8                             18
地方報告・奈良           1                               1
合 計 21単産2地方 6 3 22 31 29 262 93 159 14 8 0 28 19 10 4 24 27 3 11 11 206 970
09/5/14中間 21単産1地方 11 3 51 58 102 130 88 128 44 22 6 16 8 - 28 81 33 19 95 262 1185


 *パート等の「賃金改善」は、何らかの有額回答(定昇込み)があった組合数
 *「その他母性保護」には、出産休暇等を含む
 *「定年延長」と「退職金」は、今年から分けて掲載
 *単産報告と地方報告で重複する部分については、事務局で確認できる限り省いてある




 
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