2010国民春闘共闘情報
全労連HP

第41号 2010年6月3日

10春闘・第4回進ちょく状況調査

中小での有額獲得が増加

―スト実施組合、前年上回る―

 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇などで構成)は6月2日、加盟全単組を対象とした第4回「春闘進ちょく状況」調査(最終調査)を実施しました。ストライキ実施組合が前年から100組合増加し、賃上げ有額回答を引き出した組合も前年実績を大きく上回るなど、厳しい情勢のなかで奮闘してきた成果が表れています。

 第4回調査に報告を寄せたのは、別表の23単産です。

 今回は自治労連から初報告が寄せられ、調査対象組合数は合計で4634組合と、この10年間で最大となりました。

要求提出組合 全体の3分の2

要求提出状況

 今春闘における要求提出状況は、6月2日現在、3040組合(調査組合全体の66%)となっています。調査組合の増加に比例して、提出組合数は前年実績(2807組合)を上回っていますが、率では民間68%、公務48%と、いずれも前年の74%を下回りました。8割以上の単組が要求を提出したのは11単産となっています。

 前回調査(4/30)との比較では、5月連休明けに交渉が本格化する建設関連労連が19ポイント増(43%)、全労連全国一般が7ポイント増(70%)。生協労連も9ポイント増で5割を超えました。業況の著しい悪化で「春闘どころではない」と要求提出すらためらう一部の傾向を、単産を中心とした激励で一定克服してきたことが数字にも表れています。自治労連、全教の提出率はともに4割台ですが、公務労組が民間と並んで春闘に結集し、非正規の労働条件改善を含めてたたかってきたことは重要です。

回答引出し遅れ、妥結はいまだ26%

回答引出し&妥結状況

 これまでに何らかの回答を引き出したのは1706組合(要求提出組合の62%)で、前年同期の1826組合(65%)からはやや遅れています。

 前回調査(4/30)との比較では、全労連全国一般(8%→64%)、化学一般労連(66%→90%)、金融労連(14%→38%)などで引出しが進みました。建設や金融・保険関係では、これから交渉が本格化するところもあります。

 妥結状況は、現時点で714組合(26%)にとどまり、前年実績(1319組合・35%)から遅れています。前年の最終調査実施は6月下旬であり、時期前倒しの影響もありますが、回答引出しの遅れと比べても大幅に低下しています。中小企業の赤字決算など業績の悪化、資金繰りの困難などが影響し、厳しい交渉が続いていることを反映しています。

 前回調査との比較では、化学一般労連(19%→60%)、全農協労連(11%→32%)などで前進しています。生協労連は93%で妥結しています。

有額獲得増、「定昇凍結」「ゼロ回答」は減

回答内容など

 賃上げの回答内容では、「定昇あり」の組合で、引出し数が全体として前年より減少するなか、「ベア獲得」「ベアゼロ」ともに減少しています。いぜんとして「ベアゼロ」が回答引出し組合数(定昇あり)の9割近くを占めており、早々に妥結した大手労組のあおりを受けた形です。こうしたもとで、「定昇凍結」などの不誠実回答が、前年の半数以下となっていることは特徴的です。単産では出版労連の18組合をはじめ、日本医労連などでベア獲得が目立っています。

 「定昇なし」では、有額回答を引き出したのが270組合と、前年より35組合増加。一方、「ゼロ回答」は前年からほぼ半減しました。「ゼロ回答」が回答引出し組合(定昇なし)の3割を占めていることは看過できませんが、業況がいぜんとして好転しないもとでかちとった重要な成果です。単産では、建交労の183組合が有額回答を獲得したのをはじめ、全印総連、出版労連などが健闘しています。

 賃上げ額は、1113組合の単純平均で4853円(1.82%)となりました。前年実績(5052円・1.81%)をやや下回っていますが、前年「ベアゼロ」の組合が今年は有額を獲得して集計に入ったことも一定程度影響しています。前年実績(額)との比較でプラスになっているのは、全農協労連、生協労連、全国一般、金融労連、全印総連、民放労連の6単産です。とくに全農協労連は、900円以上の増(賃上げ率2.62%)となっています。

のべ435組合がスト敢行 前年比100組合増

スト権確立&実施状況

 スト権は、19単産の1729組合(54%)で確立しました。前年同期の1826組合(57%)からはやや低下しています。前年より確立組合が増えているのは、全支部(単組)で確立した通信労組など4単産に加え、全国一般、全倉運、金融労連、映演労連、全農協労連、合同繊維の計10単産となっています。

 これまででストライキ(指名スト含む)を実施したのは、のべ435組合(15%)と、前年から100組合、率でも5ポイント増加しました。単産では、JMIUが「3・11リレースト」を中心に、前年の120組合(40%)から今年は200組合(67%)へと大幅に増加。通信労組、郵産労が全支部で実施したほか、自交総連、映演労連も4月に全国規模の統一ストをうって奮闘しました。

 全体として、要求提出組合が、民間労組の集計でも全体の7割を切っていることは、中小企業を中心に業況が悪化していることや調査時期の関係もありますが、今後に課題を残しています。

 一方、回答引出しと妥結がなかなか進まないもとで、ストライキ実施組合が昨年より増加していることは、提出した要求に対する低額・不当回答にひるむことなく、実力行使を背景に回答の上積みを迫る、ねばり強いたたかいを展開してきたことを物語っています。

 その成果は、定昇制度のない中小組合で有額獲得数が前年より増加していること、これに反比例する形で「ゼロ回答」や「定昇凍結」などの不当回答が減少していることに表れています。そしてこのことは、困難ななかでも要求を提出し、労働組合らしくたたかうことの大切さをも示しているといえます。

 (おわり)

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