国民春闘共闘委員会
2010年度・第2回単産・地方代表者会議
大黒作治代表幹事・開会あいさつ(全文)

2010年6月23日

 国民春闘共闘委員会常任幹事会を代表して開会のあいさつを申しあげます。
 本日の会議は、主に2010年春闘の中間総括及び夏季闘争強化の意思統一のためにお集まりいただきました。

 まず第1に、2010年春闘の結果はどうだったのかについてであります。自公政権が退場し、民主党を中心とした連立政権のもとでの初めての春闘でした。私たちは、「変化をチャンスに 貧困・格差の解消、内需拡大を」のスローガンのもとに、賃上げ要求として「月額1万円以上、時間額100円以上の引き上げ、最低賃金時間額1000円以上」を掲げ、すべての職場・単組で要求書を提出し、ストライキを含む実力行使を設定して、3月中に回答を引き出し、4月中には解決を図る、闘争体制はすべての組合が確立することを意思統一して闘いに挑みました。
 重点課題として、(1)解雇、失業に反対し、「雇用守れ、仕事よこせの運動」として、労働者派遣法の抜本的な改正、地域総行動の重視、大規模な県民集会など目に見え、音の聞こえる春闘の展開、(2)生計費原則に基づく賃金・所得の確保、(3)最低賃金1000円を軸とするナショナル・ミニマム、社会保障の整備・拡充、公契約法・条例の制定などを掲げました。
 春闘共闘全体の集計では、単純平均5321円の引き上げで昨年よりプラス38円、加重平均5820円で昨年よりマイナス44円となっています。非正規・パートの賃金改善は、180組合の単純平均で14.9円、1.43%の引き上げで昨年よりマイナス4.7円となっています。
 連合の大手単産がベアゼロ、賃金カーブの維持しか目標とせず、財界もベアは論外、定昇凍結といった賃金削減攻撃が強まり、大手の業績回復はあっても中小への波及効果が進まないという厳しい環境の中での闘いでした。企業の存続さえ見通しがつかない、定昇の制度化もない民間中小が多く集まる国民春闘共闘委員会としては、全体としては健闘してきたと思います。
 同時に、「春闘流れ解散か」とマスコミに揶揄される中で、3月17日の回答集中日、18日の統一行動への50万人参加を目標とした集中した取り組みについては、18日への参加が21万人にとどまったものの、4月中旬の自交総連の2時間ストを含む統一行動など「流れ解散はさせない」という決意は全体として受け止められました。しかし、すべての単産・地方に浸透させるまでには至らず、統一闘争に向けて取り組みを集中させる意義を改めて深めていただきたいと思います。

 第2に、解雇、失業に反対し、雇用守れ、仕事よこせ、労働者派遣法の抜本改正を求めた取り組みであります。この間の自動車・電機など輸出大企業のV字型といわれる業績回復が、下請単価切り下げによるコスト削減によって行われ、外需依存への回帰が明らかになっています。中小下請け企業や購買力低下に伴う建設産業・サービス業などの倒産・解雇は依然深刻な状態が続いています。そのもとで、大企業の内部留保の社会的還元、「貧困と格差」の解消を国民的世論へと高めることは、今後も重要な課題です。
 「内部留保を還元せよ」との世論に、財界は「すぐに取り崩して換金できるものではない」と言い訳しましたが、多額の株主配当や海外での投資が明らかになるなど、言い訳との矛盾が広がり始めたといえます。
 大企業の横暴な支配、下請け単価の切り下げを止めさせ、内部留保の取り崩しや「貧困と格差」の解消、労働者派遣法の抜本改正、最低賃金の大幅引き上げ、公契約運動の推進などによる内需主導の経済への転換は、時間はかかっても国民的運動に継続・発展させるべき課題です。大企業中心社会の転換こそ生活改善の道筋です。

 第3に、政権交代の問題であります。民主党政権は、大企業の内部留保や賃上げ問題について財界への要請も行わず、結局労使交渉任せにしてしまいました。
 前鳩山内閣は8カ月余りで退陣に追い込まれ、普天間基地問題での公約違反、「政治とカネ」への国民的批判にけじめをつけるためと語りましたが、菅政権になっても変わらない「日米合意」優先の姿勢は世論への逆行であり、「政治とカネ」も国民の前には何一つ明らかにされておらず、これらの問題は全く解決していません。
 民主党政権は結局、財界の主張する「国際競争力」の呪縛から脱却できず、菅首相自ら選挙を前にして「消費税の10%引き上げ、法人税の引き下げ」を言い出しています。
 消費税が導入されて22年、この間に国民が納めた消費税は224兆円。法人3税の減税の総額は205兆円。政府は集めた税金を社会的弱者に再配分する機能を放棄し、大企業の減税の穴埋めに消費税が使われ、ほとんど同じ額が大企業の内部留保としてため込まれた、これが実態であります。
 一方で、134万を超える生活保護世帯、派遣労働者400万人、4月の失業者は356万人、1067万人の人たちが「ワーキングプア」で生活苦にあえいでいます。
 この現実を直視し、賃金の底上げ、最賃の大幅引き上げ、労働者派遣法の抜本改正、後期高齢者医療制度の廃止や最低保障年金制度の確立など社会保障の拡充、公契約運動による地方経済の再生など、私たちが春闘で掲げた課題は、参議院選挙の争点でもあります。
 夏季闘争については、最賃の大幅引き上げの実現、マイナス人勧は許さないという立場で7月7日、28日の中央行動を成功させていきたいと思います。

 参議院選挙をはさんで、秋から年末にかけて普天間問題も消費税問題も国民的課題として浮上せざるをえません。民主党内閣は、「抑止力」「競争力」を論じると思いますが、下手をすると「連合」もまじえた「政労使」、日本共産党を除いた「消費税引き上げ大連立」になりかねません。
 それに反撃するためには、アメリカいいなり、財界の横暴な支配から脱却する政治への転換を求める闘いを、国民的に発展させるしかありません。
 本日の代表者会議が春闘の総括と夏季闘争に向けた意思統一を図ること、明日公示される参議院選挙での奮闘を誓い合う場となることを期待して開会の挨拶といたします。

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