2010国民春闘共闘情報
全労連HP

第48号 2010年7月29日

景気の回復は庶民の懐から

7・28最賃・人勧中央行動 全国から2000人以上

 朝から30℃を超える猛暑のなか、「7・28最賃・人勧中央行動」(第5次最賃デー)が東京・霞ヶ関周辺でとりくまれ、全国から2000人以上が参加しました。日比谷野外音楽堂での総決起集会に続き、各省前での要求行動、銀座パレードを展開。「最低賃金を引き上げろ」「マイナス人勧を許すな」などの要求を書き込んだうちわやプラカードを掲げ、暑さを吹き飛ばす元気な声を響かせました。

 

 この行動は、全労連・国民春闘共闘、国民大運動実行委員会が主催したものです。中央最低賃金審議会(厚労省の諮問機関)が今年度の最賃目安額答申を行う直前、また人事院が国家公務員の本俸(基本給)と一時金についてマイナス勧告を行うことが予想されるという重大な情勢の下で行われました。

最賃引上げ公約10年先延ばし≠許すな

 日比谷野外音楽堂での総決起集会は、生協労連・パートの仲間による「最賃ソング」で始まりました。

 主催者あいさつに立った全労連の大黒作治議長(国民春闘共闘代表幹事)は、相次ぐ賃下げと人事院のマイナス勧告、社会保障切り下げが国民から消費購買力を奪い、内需を縮小させ、日本を先進国で唯一「成長の止まった国」にしていると指摘。先の参院選で民主、自民両党が比例票をともに減らす一方、規制緩和と公務員人件費削減を掲げるみんなの党が躍進したことについて、「公共サービスの後退、国土の破壊、貧困と格差が拡大」する危険があるとのべました。また、政府が2020年までに全国最賃平均1000円をめざすとしていることについて、「公約実現10年先延ばしを許さず、行動を強化しよう」と呼びかけました。

写真 全労連公務部会の黒田健司事務局長(国民春闘常任幹事)が情勢報告。「格差と貧困をなくす」「消費税増税反対」「公務員賃金削減を許さず、公共サービスの拡充を求める」3つのたたかいについて提起し、「小泉構造改革の継続を許さず、生活の改善を求める国民的運動を広げよう」と訴えました。

 続いて各団体の代表5人が決意表明。国公労連(中部ブロック)の代表は、マイナス勧告と50歳代後半の労働者の一律賃金カットをもくろむ人事院について、「もはや労働基本権制約の代償機関ではなく、賃金削減の推進機関になり下がった」「そうでしょう?みなさん!」と呼びかけ、会場は「そうだ!」と大きな声で応えました。厚労省が社会保険庁解体に伴い500人を超える職員を分限免職(解雇)したことについて、「労働者全体の問題としてとらえ、闘争団への支援を」と訴えました。

 自治労連の代表は、自治体職場で非正規が増えるとともに、20年働いている正規労働者の賃金が57歳で月額20万円にも満たない実態があることを告発。貧困と格差をなくすため、全体で立ち向かっていこうと呼びかけました。

 全教(都教組)の代表は、公立高校の授業料無償化で入学志願者が公立に殺到し、大量の不合格者が出る一方、私立は定員割れに陥っていることを紹介。私立も含めすべての高校の無償化と少人数学級実現に向けてたたかうとのべました。

 長野からは、大型バス2台を仕立てて60人が集会に参加。壇上に上がった長野公務労組連絡会の代表は、「いま以上の賃下げは絶対に容認できない。人勧は民間にも大きな影響がある。官民一体となってたたかおう」と呼びかけました。

 大阪労連の代表は、最賃1000円実現をめざして、前日に労働局前で1000分間のハンストを決行したこと、ハンストには参加できないが応援するという「サポーターシール」を普及しているとのべました。大阪最低賃金審議会で教職員組合の代表が行った意見陳述の内容を紹介。「学校で『おなかがすいて勉強できへん』と保健室にきた子どもがいた。聞くと母親がトリプルワークをしていることがわかった。生活保護を受けて改善したが、この家庭での保護支給相当額は323万円余り。大阪の最賃時給762円では、1日14時間働かなければならない」という発言が衝撃を与えたと語りました。

 生存権裁判をたたかっている原告団の代表が連帯あいさつ。50年前の朝日訴訟が全国民的な運動となって社会を動かした経験に学び、ともにたたかおうと呼びかけました。最後に、配布されたうちわを掲げ、全員のシュプレヒコールで集会を締めくくりました。

労働者を“ナメたらアカン”

 総決起集会後、各省前に移動して要求行動を展開しました。

 人事院・厚労省前では、「最賃引上げ、公務員賃金改善」を求めて、参加者が道路の両側にあふれました。

 全労連の小田川義和事務局長(国民春闘事務局長)はあいさつで、先進諸国の財政再建・経済立て直しの方向と日本のやり方に大きな違いがあるとのべ、最賃の早期引上げを求めました。50歳代後半の職員に対する賃金切り下げをねらう人事院を批判し、「問題点を世論に訴え、要求実現めざし、たたかいつづけよう」と呼びかけました。

 全労連の伊藤圭一常任幹事(国民春闘常任幹事)が最賃の情勢について報告。最賃の目安小委員会が、使用者側の反対で物別れに終わり、答申が8月にずれ込んだことを紹介。中小企業への支援も行いつつ最賃引上げを実現し、内需主導での景気回復を訴えました。続いて、全労連公務部会の秋山正臣事務局次長が人勧をめぐる情勢について報告。50歳代後半の職員の賃金カットについて「年齢差別以外の何ものでもない。長年仕事をがんばってきた人に対してやっていいことか」と怒りを込めて告発。定年延長問題について、再雇用などでなく正規のまま65歳まで雇用を継続すること、夏季休暇も保障されない非正規の均等待遇実現を求めてたたかおうと呼びかけました。

写真 各団体から4人が決意を表明。埼労連の代表(埼玉土建)は、「建設職人はずっと仕事がなく、自殺を考えている仲間もいる」「いまワンコイン大工というのが増えている。1uあたりの単価が500円に下がり、10時間働いても5000円。これでどうやって子どもを大学に行かせられるのか」とのべ、公契約条例の制定、最賃引上げ、マイナス人勧を許さないたたかいに連帯してとりくむと語りました。

 集会後、厚労省前では100人以上が座り込み行動に入り、リレートークでは13人が発言。大阪労連からは「ナメたらアカン〜♪」という替え歌も披露されました。恒例となっているプラカード作りコンテスト≠ナは、かながわ生協労組など3団体が受賞しました(写真左が受賞作)。このほか財務省、総務省、農水省前などでも同時並行で行動を展開しました。

 この後、参加者はふたたび日比谷公園に集結し、4隊に分かれて銀座パレードへ出発。肌を刺すような西日が照りつける中、「最低賃金を引き上げろ」「マイナス勧告を許すな」「底上げで景気を回復しよう」と、銀座から東京駅界隈の人波に大きな声で訴えました。

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