「貧困・格差の解消、内需拡大」のたたかいを粘り強く

―2010年春闘の第1次集中回答日と統一行動を経ての声明―

 国民春闘共闘委員会が設定した3月17日の第一次集中回答日までに、集計登録組合・791組合のうち110組合に回答が行なわれた。その内容は、単純平均で4995円・1.53%と昨年同時期を額で607円、率で0.03ポイント下回るという厳しいものである。不況の影響から脱しきれない規模100人未満の中小企業での回答が多数を占めているとはいえ、生活悪化に苦しむ労働者の実態が考慮された結果とは言えない。
 そのような理不尽な回答状況に抗議し、翌18日には全国で21万人の組合員がストライキを含む行動に立ち上がった。「貧困・格差の解消、内需拡大のためにも、すべての労働者の賃金引上げを」、「膨大な内部留保の社会還元を」などの要求を掲げた集会、宣伝などが各地で取り組まれ、回答の押上げをめざしてたたかいぬく決意と構えを確認した。

 2010年春闘では、「構造改革」によってつくり出された一部の大企業に富が集中する仕組みの転換を迫ることが、共通する最大の課題となっている。
 09年だけみても、例えば製造業では労働者の賃金が40万円も引き下げられる一方で、エコカー減税やエコポイントなどの政府支援を受けた企業の収益は急速に改善している。
 また、輸出頼みながら生産が回復しているにもかかわらず、製造業大企業は下請けいじめと労働者使い捨ての経営を改めようとしていない。流通、小売などの産業を中心に、安売り競争が激化して「デフレの罠」にはまり、経営危機に追い込まれる企業も増えている。  
 これらの状況を改善し、克服するための共通の取り組みの一つが、大企業がため込んでいる内部留保の異常さを告発し社会的還元を迫る取り組みであることが、ここにきてより明白になった。

 この間、鳩山首相が企業の内部留保への課税強化を国会で答弁するなど、一定の状況をつくり出しはしたが、たたかいはいまだ道半ばである。労働組合がベア要求を行わないという状況もあって、製造業大企業での賃金交渉は「定昇維持」のゼロ回答で「妥結」し、要求前進の障害になろうとしている。
 労働者派遣法改正では、製造業派遣も登録型派遣も「抜け穴つき禁止=vという極めて欺瞞的な法案が提出されようとしており、雇用の安定を求める労働者の要求を十分反映していない状況にある。
 これらの「消極的な」状況が、賃金引上げなど積極的な要求を掲げている国民春闘共闘委員会に結集する単産、単組のたたかいに少なからず影響し、第一次の回答集計の結果となっている。

 要求を真正面に掲げてたたかわなければ、回答を引き出すことはできない。雇用不安と生活悪化の根源には企業の身勝手な経営姿勢があると主張しなければ、要求前進の展望は広がらない。労働者の使い捨てを許さないために、労働法制の抜本改善や最低賃金時給1000円実現を政治に迫らなければ、貧困も格差も一層深刻になる。2010年春闘のこれまでの経過は、それらのことも明らかにした。
 要求前進を阻んでいるものとたたかい、貧困と格差の解消、内需拡大を迫る統一闘争を強めることを全国の職場と地域であらためて意思統一しよう。職場と地域から、要求にもとづく共同を強めよう。
 国民春闘共闘委員会常任幹事会は、単産、単組への支援と激励を強め、2010年春闘の勝利をめざすたたかいの先頭にたつ決意を表明する。

     2010年3月19日

国民春闘共闘委員会・2010年春闘第4回常任幹事会