第1号 2010年10月29日
2011年度年次総会を開催
賃上げ・雇用確保の風を吹かせよう
国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)は10月27日、全労連会館で2011年度年次総会を開催しました。総会には21単産団体5地方から68人が参加。賃上げ・内需拡大で景気の回復をめざすことを柱にした2011年春闘構想(案)を満場の拍手で採択しました。
開会あいさつで大黒作治代表幹事(全労連議長)は、菅内閣について「国民生活が第一」から大型公共事業優先へと変貌する姿勢が明確になっていると批判。労働者派遣法の実効ある改正をかちとり、今国会での成立をめざそうと呼びかけました。急激な円高について「内需主導に転換しない限り、際限なく負のスパイラルが続く」と強調。2009年の民間企業労働者の平均給与が前年比で23万7000円も下がり、全体の給与総額も約30兆円減少したと指摘し、すべての労働者の賃上げに向けてねばり強くたたかっていきたいと語りました(あいさつ全文は別掲)。
小田川義和事務局長(全労連事務局長)が2011年春闘の構想案を提案。重視する要求課題として、(1)すべての労働者の賃金引上げと雇用の安定、(2)労働時間短縮など働き続けられる条件の整備、(3)最賃闘争、公契約運動と結んだナショナルミニマムの確立、(4)「雇用守れ、仕事よこせ」の要求の組織、(5)雇用の安定と社会保障拡充による制度改善などを提起し、「目に見え、音が聞こえる春闘」状況をつくり出そうと呼びかけました。
討論では、15人が発言しました。
JMIUの代表は、労働者の減収に歯止めがかからないなか、2011年春闘を春闘再生元年≠ニしたいと発言。どんなに困難があっても賃上げを真正面に掲げてたたかうこと、団体交渉を攻勢的に進めるには企業の枠を超えた団結、統一闘争が大事であること、春闘が前進してこそ貧困も格差もなくせること、春闘のたたかいは労働者自身の成長の場でもあることなどを重点としてあげました。
生協労連の代表は、パートをはじめすべての労働者の賃上げをめざし、経営が厳しい中でも徹底してベア要求にこだわること、とくに時給1000円以上を職場で全員の要求として掲げ、どうやって実現するか経営者に考えさせることが大事だと強調しました。建交労は、「財界・政府は国民の動向をいちばん恐れている。国民が大同団結してたたかえば展望は開ける。共同を広げよう」と呼びかけました。映演労連は、正規労働者を中心とした従来型組合と、個人加盟のフリーユニオンとの間には春闘のとらえ方に違いがあるとのべ、「個人加盟の組合員は争議をやるためだけに組合に加入したのではない。彼らの要求をくみあげる基本的なことからとりくんでいきたい」とのべました。
埼玉の代表は、「政府・財界による労働者の分断攻撃をどう打ち破っていくか」と問題提起し、組織労働者が少なくても未組織の要求を取り上げて運動すること、そのためには、単産の組織労働者も含めて地域に出ていくことが大事だと力説しました。
「怒りだけでなく、仕事への誇りややりがいを語れるとりくみを重視したい」(自治労連)、「高齢層のさらなる賃下げにつながる人勧をこのまま通すわけにはいかない。公務が果たすべき役割をもっと打ち出していく」(国公労連)、「秋に全国縦断キャラバン行動を実施する。今年はすでに昨年を上回る3000人が組合に加入」(日本医労連)、「中小出版社では会社存続への懸念から賃上げ要求をためらう傾向もある。賃金とは何か、学習し、組合をつくり直すことが大事だ」(出版労連)などの発言が続きました。
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訴える航空連の近村議長 |
討論のまとめで小田川事務局長は、春闘構想を深める積極的な意見が出されたことに感謝しつつ、「春闘再構築のためには、まず要求を出さなければスタートを切れない。要求提出率が全体の7割を切るという状況は絶対に克服しなければならない課題だ」と強調。意見を受けとめ、11月の国民春闘討論集会をへて春闘方針として練り上げていくとのべました。
総会には、航空労組連絡会から近村一也議長が参加。近村氏は、日本航空から乗務予定がブランクとなった「スケジュール表」を受け取り、みずからも退職を迫られているとのべ、会社再建中の日本航空による退職強要を許さないたたかいへの連帯と協力を訴えました。
総会は、この訴えを受けて、特別決議「日航労働者の雇用と人権、国民のいのちを守るために連帯してたたかおう」を満場一致で採択しました。