2011国民春闘共闘情報
全労連HP

第5号 2010年11月30日

2011年国民春闘討論集会を開催

目に見え、音が聞こえる春闘を


 全労連・国民春闘共闘委員会は11月25〜26日、静岡県熱海市で2011年国民春闘討論集会を開催しました。賃上げ・雇用拡大による内需主導での不況打開にむけ、労働者が国民的たたかいの先頭に立とうと、熱心な討議が行われました。

 集会には、22単産37地方から230人が参加しました。
 主催者あいさつした国民春闘共闘の大黒作治代表幹事(全労連議長)は、大企業が抱える244兆円の内部留保について「いくらため込んでも、日本経済の成長には何の役にも立たない」と批判。すべての労働者の賃上げによる景気回復や、「雇用守れ」などの要求実現をめざすたたかいの発展を呼びかけました。賃金の底上げや地域経済の再生に向けたとりくみなどで、あらゆる団体との共同を追求し、「目に見え、音が聞こえる春闘で地域ぐるみのたたかいに発展させることが重要だ」と強調しました。
 小田川義和事務局長(全労連事務局長)が春闘方針案を提案。労働者の賃金がこの1年間で5.5%も低下したことにふれ、経済危機が引き起こされた責任と原因を明らかにし、政府に是正のための施策を迫り、企業に社会的責任を果たすよう求める運動を職場と地域で進めようと呼びかけました。過去最高規模の要求アンケートを集約して職場討議にいかし、あくまで全組合での要求提出を追求すること、たたかいの節目となる中央行動・統一行動への結集を強めることを強調しました。

日航乗員組合など4団体が特別報告

 特別報告として4団体の代表が発言しました。
 日本航空乗員組合(航空労組連絡会加盟)の三星宗弘書記長は、会社再建中の日本航空が、当初の人員削減目標を上回る希望退職を募りながら、整理解雇をちらつかせて個別に退職を迫っている実態を告発。「国民の安心安全を守るため全力でたたかう決意だ」とのべ、満場の激励の拍手に包まれました。
 全商連の今井誠運動政策局長は、求められる中小企業政策、仕事おこし・地域を元気にする運動について報告。「最賃が上がるのはいいことだが、中小企業支援とあわせて行うべき」「内需拡大でこそ、中小企業が活性化し、経済を元気にする」とのべました。
 農民連の真嶋良孝副会長は、政府が参加に前向きの姿勢を見せているTPP(環太平洋経済連携協定)によって、農業ばかりか日本経済全体が大打撃を受けると警告。「農業経営の形態を問わず、持続可能な方法を模索することが大事だ」と強調しました。
 東京土建の白滝誠書記次長は、公契約運動とリフォーム助成の現状について報告。「公契約条例は制定されればそれでよいわけではなく、労使で交渉し協定を結ぶこと。これを車の両輪としてやっていくことが大切だ」と強調。秋田県で行われている住宅のリフォーム助成制度は15倍以上の経済波及効果を発揮しており、住民と建設業者の双方から喜ばれていることを紹介。この動きをさらに広げていくために奮闘するとのべました。

要求を出してこそ、展望が拓ける

 春闘方針案をめぐっては、2日間で37人が発言しました。
 「2011年春闘を『春闘再生』元年に!」のスローガンを打ち出しているJMIUは、厳しい情勢の中でも要求を出すことの大切さを強調。「要求を出さなくても会社の経営が上向くわけではない。反対に要求を出さなければ、会社の展望も見えてこない」とのべ、地域での交流、統一行動への連帯を呼びかけました。神奈川の代表は統一行動に「万難を排して結集する」「最賃署名にも全力をあげる」と決意を表明。生協労連は最賃闘争について「『本当に1000円を要求できるのか』という声もあるが、生協の中でもきちんと要求していくことが《最賃1000円時代》を切り開いていく」と強調。職場で使える学習資料もつくってとりくみを強めると語りました。
 TPPをめぐっては、全農協労連をはじめ、北海道、秋田、東京の代表が発言。「財界と連合が(TPP参加に)賛成しているなか、全労連・春闘共闘が打って出るチャンス。組織拡大にも奮闘しよう」(全農協労連)、「一部の農業県、地域の問題でなく、大きな国民的運動に発展させていくべき」(北海道)と語りました。
 地域主権改革については、「人もカネもないなかで、責任だけが地方に押し付けられる。これで住民の安心安全が守れるか」(国公労連)、「国民から生存権を奪い、地方自治を崩壊させるもの。いっせい地方選での民主的自治体建設に全力をあげる」(自治労連)などの発言がありました。
 「就職内定率は氷河期≠さらに下回る57%。子どもの貧困と格差も深刻だ。社会保障制度の抜本的改善を」(全教)、「09年度1年間で県内の1割を超える企業が廃業。自動車関連2000社を対象に調査を実施したが、予想以上に深刻だ」(愛知)、「府内に本社がある大企業118社の内部留保を調べ、ビクトリーマップを作成。小企業が雇用を増やす一方で、大きな企業が減らしている。中小企業にも理解されるスローガンの提起を」(大阪)など、各地での多彩なとりくみ状況が交流されました。討論終了後、小田川事務局長がまとめの発言を行い、伊藤潤一代表幹事(東京春闘代表委員)の音頭で「団結ガンバロー」を三唱。2日間にわたる日程を終えました。

(おわり)

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