第9号 2011年1月14日
仲間への“共感”を力に
第1回単産・地方代表者会議 満場一致で2011年春闘方針を確立
国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)は12日、全労連会館ホールで第1回単産・地方代表者会議を開催し、満場一致で2011年春闘方針を採択しました。すべての労働者の賃上げと雇用確保、内需主導での景気回復をめざし、構えを崩さず春闘をたたかいぬこうと意思統一しました。
代表者会議には、24単産団体9地方から87人が参加しました。
開会あいさつをした大黒作治代表幹事(全労連議長)は、12年間で労働者の賃金(年収)が62万円も下がる一方で、大企業の内部留保は244兆円にも膨れ上がったことを指摘。財界・大企業の横暴な支配の流れを止めない限り、悪政と生活苦から逃れられないとして、賃上げと雇用確保、最賃引上げ、地域経済活性化に向けて、中央・地方で共同を広げる国民的なたたかいを発展させようと呼びかけました。
「2011年国民春闘方針案」を提案した小田川義和事務局長(全労連事務局長)は、賃上げと雇用の安定の追求、最賃闘争、公契約適正化運動の前進とあわせて、TPP(環太平洋連携協定)参加反対、労働者派遣法の抜本改正、「地域主権改革」に反対する運動の強化を提起。「誰でも時給100円以上、月額1万円以上」の賃金引上げ目標を掲げ、春闘の集中回答日を3月16日とし、翌17日を統一行動日に設定して全力でたたかおうと呼びかけました。
仲間の悩みを“わがこと”として
討論では、各組織の代表12人が発言しました。
JMIUの代表は、長野で新しく加入した組合が年末一時金「3カ月」の要求を掲げてたたかい、満額回答をかちとった経験を紹介。地域春闘を盛り上げていくために「お互いの要求や悩みへの共感≠ェ大切だ」と強調しました。民放労連の代表は「2001年から続く賃下げは放送の質の低下につながる」とのべ、出版労連の代表は「経営実態を明らかにさせ、建設的な提案ができる力を身につけたい」と発言しました。
生協労連は、昨年、条件付きながら「最賃時給1000円をめざす」という政労使合意がなされたことについて、運動が確実に広がっていることの表れだと強調し、「全単組で時給1000円を要求しよう」と提起し議論中だと語りました。建交労の代表は「(春闘の)キーワードは『全組合員参加』だ」とのべ、トラックなどの大企業職場で組織化が広がりつつある経験を語りました。
埼労連の代表は「職場でも地域でも、多数派をつくっていくことが課題だ」と強調。
当日の12日朝からラジオスポット宣伝を開始している大阪労連の代表は、「国際競争力というなら、まず国際労働基準を職場に適用せよ」という要求が共感を呼んでいること、とりわけ「(労働者の)生の声を経営者に届けることが大事だ」と強調しました。
国公労連の代表は「労働基本権回復をすべての労働者にかかわる課題としてたたかう」と語り、自治労連の代表は「非正規職員の雇用安定、均等待遇の実現を求めてたたかう」と表明。全教の代表は、春闘アンケートで「生活が苦しい」と答えた組合員が初めて6割を超えたことを紹介し、今春闘を「わがこと春闘」として、地域・職場からたたかう決意を語りました。昨年に続いて3月に統一ストを構える日本医労連の代表は、「看護師増員、夜勤改善に向けてたたかう」とのべました。
討論のまとめで、小田川事務局長は、年末に急速な勢いで日航労働者への支援の輪が広がったことを引きながら、「労働者の団結と共感する力は捨てたものではない」とのべ、たたかう構えを崩さず困難に立ち向かい、春闘を前進させていこうと呼びかけました。討論終了後、「2011年春闘方針」と「春闘闘争宣言」を満場の拍手で採択しました。
代表者会議終了後、会場を移して、全労連・国民春闘共闘が共同で「新春旗開き」を開催。アメリカUE(電気無線機械労組)のロビン国際局長や、ILO駐日事務所の林次長、日本共産党の志位委員長が次々とあいさつ。不当解雇撤回へ向けてたたかう航空労組連の近村一也議長の決意表明を兼ねたあいさつには、会場から大きな激励と連帯の拍手が沸き起こりました。また、この日は代表者会議に先立ち、京都大学大学院教授の岡田知弘氏が「民主党成長戦略下の『地域主権改革』・TPP路線と地域経済」と題して講演しました。(おわり)