2011国民春闘共闘情報
全労連HP

2011年国民春闘方針

2011年1月12日
国民春闘共闘委員会

【春闘スローガン】

すべての労働者の賃上げ・雇用確保を
実現しよう 内需主導の景気回復

1 財界、大企業の横暴で拡大し続ける日本経済の「ゆがみ」

 「100年に一度の経済危機」が叫ばれた2008年秋から2年。日本では「派遣切り」に象徴されたような非正規労働者を「調整弁」とする企業経営、行きすぎた外需依存の経済構造、企業の国際競争力強化のためのコストカット競争など、経済危機の原因は放置されているばかりでなく、むしろ企業中心の日本経済の「ゆがみ」は強まっています。「一国覇権主義」を排し、持続可能な経済社会をめざし始めた世界の動きとは異なっています。
 財界・大企業は、雇用の安定や内需拡大の努力よりも、経済危機でより激烈になった国際競争に勝ち残るために、賃金カットと雇用流動化を中心とする人件費削減や下請け企業への犠牲転嫁をより強め、一部の大企業の収益だけが「V字回復」する企業中心主義を強めています。政府に対して、国際競争や円高も口実に、法人税率引き下げや消費税率引き上げ、社会保障改悪、道州制導入などの「小さな政府」づくりの圧力をかけ続けています。
 個別企業の成長や儲けの最大化のみが強調され、労働者・国民の生活や地域経済に対する企業の社会的責任放棄の動きはこれまで以上に露骨です。
これら大企業の身勝手な経営と、年間3万人を超える自殺者、子どもの虐待、孤独死の増加など、世界有数の経済大国とは言えない深刻な社会問題は、無関係ではありません。

2 「政治を変えたい」という国民の願いに反する菅政権

 2010年参議院選挙での敗北もあって、民主党政権は、「構造改革」への回帰を強めています。
 選挙後、法人税率引き下げ、農業、地域経済破壊の「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」などの自由貿易協定への参加、締結促進など、企業サイドに立った政策の具体化をより重視し始めました。また、武器輸出三原則「見直し」や南西諸島での自衛隊増強などを盛り込んだ「防衛計画の大綱」を取りまとめ、軍事大国化と日米軍事同盟強化に向かおうとしています。
 自公政権の政策を引き継ぐ「地域主権改革」や消費税率引き上げ、医療保険制度全般の改悪を進めるなど、09年総選挙時のマニフェスト破りも増えています。
 大企業の成長の応援団に変質して経済の「ゆがみ」拡大に加担し、アメリカ従属の姿勢を強めているのが、菅政権の現状です。

3 すべての労働者の賃上げと雇用安定をめざす2011年春闘

 以上のような経済、政治情勢のもとでたたかう2011年春闘では、「このままでは」の危機感を共有し、「何としても要求前進を」の意思を固めあい、力を集中して局面を変える統一闘争を目的意識的に強めます。要求実現への閉塞感やあきらめを感じている職場と組合員を励まし、要求前進を主体的に勝ち取るためにも、要求討議、交渉、行動への全員参加、地域での共同追求など、「春闘の原点」に立ち返った取り組みの具体化に全力をあげます。
 労働者、国民諸階層との「総対話と共同」を広げるためにも、「100年に一度の経済危機」を引き起こした責任と原因を国民的に明らかにし、是正のための施策を政府に迫り、企業に社会的責任の履行を求める運動を職場と地域の双方で強めます。
 安定した雇用の実現を求めるたたかいと歯止めなき賃下げへの反撃を組織し、雇用の安定と賃上げで内需拡大を求める「共同の取り組み」を職場と地域で追求します。
 すべての労働者の賃金引き上げ、正規雇用の拡大と賃下げなしの労働時間短縮を求める労働者の要求を統一的に掲げ、足並みをそろえて実現を企業に迫る統一闘争を目に見える形で組織します。
 「期間の定めのない直接雇用が当たり前」の社会、時給換算で「1000円」に達しない労働者・年収200万円以下のワーキングプアと長時間過密労働の解消をめざし、果敢にたたかいます。
 貧困と格差の拡大、連鎖に歯止めを打つ政治の実現、雇用の安定と社会保障拡充による「福祉国家」実現に向け、統一地方選挙も視野に入れた共同行動をつくり出すため、力をあわせます。
 すべての労働者の賃金引き上げと雇用の安定、社会保障拡充こそ、持続可能な内需中心の日本経済への道であることを確信に、たたかいを進めましょう。

I 春闘をめぐる情勢の特徴

1 悪化する労働者のくらし、労働条件

(1)唯一日本だけが下がり続ける賃金
 日本の労働者の賃金は、2009年の1年間で23万円(5.5%)も減少したことを政府の統計(国税庁・民間給与実態統計調査)が明らかにしています。
 グローバル経済がより強まり、国際競争が激化した90年代後半以降の状況でも、賃金が伸びていないのは日本の労働者だけであることをOECDの調査が明らかにしています。
 その結果、先の国税庁調査では、年収200万円以下の労働者が1099万人にも達し、15歳から34歳の青年で自立して生活できるのは、正規労働者でも51.6%、非正規労働者では30.3%にしかすぎない状況を厚生労働省の調査が明らかにしています。働いても自活できない青年の増加は、就職浪人やフリーター問題も含め、大きな社会問題です。
 労働者世帯の貯蓄高も大きく減少し、2人以上世帯の22.3%に貯蓄がないという民間シンクタンクの調査結果も出されています。
 賃金の低下と軌を一にして、家計消費支出も日本だけが1997年をピークに減少していることをOECDが明らかにしています。貯蓄に回すべき部分を切り崩しながら家計を守る工夫をしても、なお消費を減らさざるを得ないのが多くの労働者の現状だとの指摘を政府関係機関も行っています。 
 賃金が低下し、国内での消費が減少している日本だけが、経済停滞が続いています。バブル崩壊後の1992年から2009年までのGDP(国内総生産)の伸び率は0.8%で、他の先進国の半分以下の状態です。
 賃下げ、消費の減少、経済成長の停滞、そして賃下げという悪循環が続く限り、労働者・国民のくらしが好転しないことはもはや明らかです。
 欧米先進国でできている賃上げになぜ日本の企業は応えないのか、一部の労働組合はなぜ賃金引き上げ要求さえしないのか、の批判を強めて世論化することが求められています。

(2)非正規労働者の増加と一時金削減で大幅な賃金低下
 日本での賃金低下は、雇用形態、産業、性、企業規模、地域などの賃金決定に影響を与える「要素」での過大な格差が是正されていないこととも結びついています。
 格差が是正されないまま、正規から非正規への置き換えや産業間の雇用の流動化、成果主義人事管理などが強行されたことが影響しています。2000年代に入って、正規労働者の所定内賃金の低下も起きていますが、そのような雇用・人事管理の変化の賃金低下への影響を軽視することはできません。賃金引き上げの要求と一体で均等待遇実現や成果主義賃金制度の是正を迫ることが重要です。1997年から2009年までの間に、非正規労働者が551万人増加する一方で、正規労働者は463万人減少しています。
 産業別平均賃金は、2009年の時点で2.6倍の格差があり、製造業や建設業従事者が減少する一方で、医療、福祉、教育、生活関連の第3次産業従事者が増加するという就業構造の変化も平均賃金の減少に影響していることが想定されます。また、08年以降の状況を見ると、一時金・賞与の減少幅が大きく、年収への業績反映が強まったことも伺えます。
 正規労働者から非正規労働者への置き換えが大規模に進められ、賃金が相対的に低く抑え込まれている第3次産業の雇用が増えた上に、経済危機の影響も口実にした一時金の大幅削減が平均年収の大幅ダウンの主な原因になっていると考えられます。
 2011年春闘では、賃金低下の原因と考えられるこの3点に目を向け、正規労働者と非正規労働者の均等待遇実現、産業間格差の是正、年収ベースでの賃金改善の要求を職場段階から強めることが必要です。

(3)深刻化する労働者の貧困
 2010年10月20日に日本弁護士連合会は「貧困率公表1年を迎えるにあたっての会長談話」を出し、生活保護の母子加算復活などを評価しつつ、男女別、年齢別、就業形態別などの詳細な貧困率調査と、それをもとに具体的期限と目標を定めた貧困削減を求めています。
 失業・生活困窮者に対する生活支援策が貸し付けを基本に制度設計されていることもあり、効果が不十分で、また、生活保護の運用の厳しさも改善されず、職を失った時の生活保障は壊れたままです。賃金低下による貯蓄の減少、雇用の不安定化などが引き続き進行し、ワーキングプアが増加し続けていることも確実です。地域のコミュニティーや家族の崩壊、長期にわたる失業・半失業状態のもとでの「つながり」の希薄化などが、無縁社会と言われる状況をつくり出し、事態をより深刻にしていることが「孤独死」などの事態からも明らかにされてきました。
 このような問題の根深さに目を向けず、財政事情を優先して、生活保護給付期間に期限を設けることなどを求める政令指定都市市長会の制度改悪提案が、10月20日に出されています。
 「非正規切り」や無年金・低年金者の増加など、生活保護給付の増加要因には目を向けず、生活保護費が国・地方自治体の財政を圧迫していることを強調する提案は、国民の生存権保障に責任を負うべき政府の責任が軽視されています。
 「小さな政府」のもっとも深刻な矛盾である貧困への対応さえ投げすて、深刻な貧困の実態を放置し続ける政府への反撃の強化が求められています。

2 改善しない雇用状況とその悪影響の広がり

 2010年9月の完全失業率は5.0%で、高止まりしています。失業率の高止まりは、失業期間1年以上の完全失業者が増加しているように、就労の困難さにもつながっています。
 有効求人倍率も0.55倍に低迷したままです。このこともあって、9月末時点で、2011年3月の高校新卒者の就職内定率は40.6%、大学新卒者の就職内定率は57.6%と過去最低の数字で、「就職氷河期」状態となっています。失業の長期化が15〜34歳の青年層で顕著なことも含め、青年層での雇用状況の悪化はとりわけ深刻です。
 政府は、補正予算に先立つ2010年度予算予備費支出でも、「雇用の基盤づくり」として新卒者雇用対策などを計上しました。しかし、雇用の量と人材不足産業での就労条件整備及び公的就労の場の創出など、実効性ある対策には手をつけていません。また、事業仕分け「第3弾」で企業負担にかかわる「雇用保険特会2事業」の大部分を廃止対象とするなど、チグハグな政策運営に終始しています。
 厚生労働省の「非正規労働者の雇い止め等の状況」に関する9月報告でも新たな「非正規切り」が明らかになっており、期間工やパートなどを中心に雇い止め、中途解雇は止まっていません。
 毎月勤労統計調査では、パートタイム労働者が増える一方で正規労働者が減少するという「非正規への切り替え」も止んでいません。正規雇用が当たり前の状況をつくる施策として注目された日本郵政株式会社での「非正規社員から正規社員への登用試験」は、3万4134人の応募に対し、合格者が8438人にとどまるという不十分な結果です。
 正規労働者の長時間過密労働の強制と、生産調整にらみ、人件費削減のための非正規労働者への置き換えという企業の経営姿勢はまったく改まっていません。そのことが人手不足と過密労働をより深刻にし、メンタル不全の増加や職場でのハラスメント増加の一因にもなっています。
 経済危機や円高などが起きるたびに、非正規労働者が増える「非正規労働中心の社会」への危機感を高め、「期間の定めのない直接雇用」が当たり前の社会をめざした取り組みを、職場と地域の双方で強める必要があります。労働者派遣法改正法案が国会で審議され、有期雇用の規制強化方向での論議を政府が開始し、パート労働法の改正時期を迎えている現状に見あった運動が求められます。

3 拡大しない国内需要、回復しない景気

 日本の経済成長は、1990年代以降、名目GDP(国内総生産)は500兆円程度で推移し、2009年、2010年は大幅に減少しました。国内の生産規模が20年近く拡大せず、リーマンショックの影響を2010年前半でも克服できていません。
 GDPの伸び率を見ても、1997年と2007年の比較で日本は0.4%増にとどまり、先進国でも異常なデフレ状態です。
 GDPを押し上げているのは、輸出入と民間企業設備投資で、家計消費、民間住宅などはいずれもマイナスのままです。2000年代に入って顕著になった外需中心の経済成長という「ゆがんだ」構造は改められていません。そのことが、内需型産業や中小下請け企業の経営困難に直接的に結びついています。
 経済産業省の工業統計調査(2009年速報)では、製造業の事業所数(従業員10人以上)は前年比7.1%減と3年連続で減少し、1950年以降最大の減少率であったことを明らかにしています。経済危機が、中小零細の製造業に大きく影響しています。同時に、建設、サービス業などでも倒産・廃業が増えており、内需後退の影響が強まっています。
 一方で、日本経済新聞の調査では、2010年7〜9月期の上場企業の連結決算は、経常利益が前年同期比で80%増加し、全体の半数が増収増益となっています。新興国への輸出の拡大と国内でのリストラ「合理化」の効果で、自動車、電機などでの回復がとくに鮮明です。
 このことにも見られるように、一部の大企業は、自らがつくり出した内需の脆弱さに見切りをつけて外需中心の経営に軸足を移し、国内でのコストカットをさらに強めています。このことが、国内の需要をさらに冷え込ませることは必至です。

4 史上空前のカネあまり状態の大企業

 給与総額を9兆円も減少させた09年に、資本金10億円以上の大企業は、内部留保を233兆円から244兆円に積み上げ、いますぐ使える手元資金も52兆円に膨張させました。「空前のカネあまり」状況です。
 上場企業は株主配当を回復させ、2010年4〜9月期の中間配当は前年同期比18%増の2兆円強と巨額です。役員にも大盤振る舞いで、報酬1億円以上の役員は、日産のカルロス・ゴーン社長を筆頭に280人に上っています。「下請け単価の3割カット」(トヨタ)のような徹底した「いじめ」や、法人税減税や社会保険料負担を声高に主張する状況にはありません。
 このような状況には、菅首相でさえ「(企業の内部留保を)労働分配に回すべきだ」(2010年10月25日・参議院予算委員会)と答弁せざるを得なくなっています。
 財界は、「他国より法人税が高い」から減税をと主張しますが、企業が負担する社会保障負担の低さには一切口をつぐんでいます。また、「資本金1000万円以下の中小企業では76%、資本金10億円以上の大企業でも49%が赤字」で、結局、史上空前の「カネあまり」状態の一部大企業にしか減税効果が及ばないという事実も隠しています。
 これらの点だけを見ても、法人税減税をはじめとする財界・大企業の要望に政府が応えても、雇用拡大や賃金引き上げに回る状況ではありません。
 加えて、円高も口実に、工場や事業の海外移転を加速させ、中小下請け企業にも同時移転を求めるなど、国内の雇用や地域経済を顧みない身勝手な経営姿勢を強めています。政府も新成長戦略などで、そのような身勝手な経営を後押ししていることも問題です。
 大企業、とくに輸出型製造業の大企業に、正規雇用拡大や下請けいじめの是正、税・社会保障での応分の負担を迫る世論を高めることは、春闘勝利の展望を切り開くものです。

5 公約違反をくり返す民主党政権

(1)労働者、国民の願いに背を向ける菅内閣
 菅民主党内閣は、政権がめざす方向も、山積する内外の課題に真正面から取り組む政治の意思も明確にしないまま、09年総選挙でのマニフェスト破りを繰り返しています。
 参議院選挙で国民の批判を浴びた消費税率引き上げについても、社会保障改革と一体での与野党間論議を呼びかけ、後期高齢者医療制度廃止を医療制度改悪にすり替え、公共調達受託企業からの企業献金の再開を決定し、「武器輸出三原則」解禁を含む「防衛計画の大綱見直し」を進めています。一方で、公務員バッシングを伴う、公務公共サービスの切り下げや規制緩和、民営化の施策を強めています。
 政府は、TPPへの参加を突如表明しました。TPPが完全実施されると、政府試算でも、農業や関連産業を中心に340万人の雇用が失われ、GDPを7.9兆円減少させるという悪影響は検証されないまま、自動車、電気製品の国際競争力の維持のみが重視されるという異常な動きです。また、日本のTPP参加について、経団連と連合が一致して求めていることも重大です。
 沖縄県名護市・辺野古沖への米軍・普天間基地移設の日米合意(2010年5月)も節目に、民主党政権が旧来の自公政治さえ容易に決定できなかったような大企業中心、対米従属の施策が次々に進められる状況です。

(2)急ピッチで進む「地域主権改革」
 国の財政再建を中心的な目的に、国民への行政サービス実施責任を地方自治体に押し付ける地域主権改革が、6月22日の地域主権戦略大綱にもとづき、急ピッチで進められています。
 自公政権時の「地方分権」を引き継ぐ地域主権改革では、(1)国の社会保障実施などにかかわる責任を出先機関廃止などで投げすて、地域間格差の拡大や社会保障サービスの低下、国民負担増などを招き、自治体機能そのものも弱体化させること、(2)道州制を明確に視野に、自治体のさらなる広域化と改編により身近な住民サービスが切りすてられ、「限界集落」などの問題がより深刻化すること、などが懸念されます。
 当面、「補助金の一括交付金化」や、保育など行政サービスの最低基準を定める「義務付け・枠付けの廃止」、国の出先機関廃止と事務、権限の自治体移譲などが、当面の課題とされています。また、医療制度改革ともかかわって、国民健康保険の都道府県単位統合など、財政上の理由による国民健康保険の広域化もねらわれ、保育制度を介護保険制度のような「買うサービス」に変質させるとともに「幼保一体化」を強行しようとする子ども・子育て新システムの具体化も急ピッチで進められています。さらに、関西広域連合のスタートや、構造改革特区を活用した国基準を下回る福祉基準の設定など、国主導の改革とは異なる動きが強まっていることには注意が必要です。
 このような地域主権改革の強行は、社会保障サービスの最低基準引き下げと同時に「サービスの商品化」を加速させ、上乗せサービスなどでの国民負担増などを伴うことは、先行した介護保険制度の現状からも明らかです。また、そのような社会保障サービスの商品化が、営利企業の参入を促進し、従事する労働者の労働条件低下、官製ワーキングプアを増加させる危険性もあります。
 地域主権改革が、これまでの公務リストラ以上に、国民生活に悪影響を及ぼし、社会生活に不可欠な公共サービスを形骸化させて、安心・安全なくらしを奪う危険性があることを訴え、反対世論を地域から高めることが求められています。

(3)労働者、国民要求とかかわる2011年春の政治課題
 その一つは、税制です。消費税率引き上げ論議を内在しながら、法人税率引き下げとその財源確保として証券優遇税制見直しや所得税の累進課税再強化などが課題となっています。
 二つに、財政状況の厳しさともかかわって、地域主権改革による公共サービス切りすて、公務員人件費削減などの公務リストラの強行がねらわれています。
 とりわけ、補助金統合による「一括交付金」への切り替えや「義務付け」廃止などは、深刻な地方財政をさらに悪化させ、行政サービス切りすてを加速する危険性を伴っています。また、「地域主権改革」の名による国の出先機関の整理・廃止の動きも重大な段階に至っています。
 なお、政府は、通常国会に公務員賃金引き下げ法案の提出もねらっています。
 三つに、後期高齢者医療制度廃止を口実にした医療保険制度の改悪、とくに保険者機能を都道府県に集約するという国民健康保険の広域化の動きが強まっていることです。また、介護保険制度の「見直し」も課題となっています。このような社会保障制度改悪と「地域主権改革」の最終目的でもある道州制論議とが、都道府県主導で進み始めていることは、これまでにない特徴点です。
 四つに、在日米軍への「思いやり予算」について、恒久化の方向がねらわれ、米軍基地撤去、軍事費削減を求める国民世論との矛盾を深めています。
 五つに、そのような改悪、基準引き下げ、国民負担増の動きの一方で、教員配置基準の見直しなど、子どもの貧困対策、教育条件整備などの分野では、たたかいを反映した前進的な動きも出ています。
 六つに、参議院での憲法審査会設置のための規定づくりや衆議院比例定数削減など、改憲、民主主義軽視の策動が強まっていることも見すごせません。
 七つに、急浮上してきたTPP参加の論議が6月をめどに進められることへの対応も求められます。

6 情勢変化をつくり出す地域からの共同

 政府の、米軍普天間基地の辺野古沖移設決定の撤回と県外移設を求める決議を、10月15日名護市議会が採択しました。9月の市議会議員選挙で、基地反対派が多数を占めたことが直接的には影響していますが、辺野古沖が建設予定地となって以降のねばり強いたたかい、とくに2010年4月の県民集会に示された県民の総意が決議に反映しています。この流れ、普天間基地無条件撤去、県内移設反対の県民世論は、沖縄県知事選挙に向けた伊波洋一氏の革新統一での立候補にも集約され、世論と大義に根ざした地域からの共同のたたかいが国政を動かすことを示すものです。
 また、政府のTPP交渉参加に反対する行動では、農民連などと全国農業協同組合中央会(全中)・JAの共同が全国各地で前進し、短期間のうちに共同が広がっています。全労連の地域組織が、農協の集会に参加を求められる事例も生まれました。
 アンケートなどを携えた中小企業訪問活動などが広がり始め、地域経済活性化や雇用創出をめざす共同も生まれてきています。
 千葉県野田市で、2009年9月議会で公契約条例が制定されたことも契機に、各自治体段階での共同や取り組みも前進しています。これらは、地域経済の深刻な実情に根ざし、大企業中心の経済政策の継続、強行に反対する共同の前進です。
 各地で病院施設の病床統廃合や地方独立行政法人化などの「合理化」提案に対し、住民要求を組織し、署名運動などの共同を広げて計画を断念させる成果も生まれています。
 生活労働相談活動を定例、恒常化し、生活困難に陥った労働者を支援するネットワークを、市民団体、行政との間でつくり出し、評価と信頼を勝ち取り、組織化にも好影響が出てきている事例も生まれています。
 さらに、2010年秋の取り組みでも確認できるように、「総対話と共同」が広がり、要求の一致点でのたたかいは、単産段階でも前進し始めています。
 08年年末からの「非正規切り」にあい、企業の雇用責任を追及してたたかいに立ち上がっていた争議での勝利的和解や、外国人研修制度のもとでの「奴隷労働」を告発していた中国人労働者の勝利判決確定など、たたかえば要求が前進することが実証され続けています。
 大企業中心、対米従属の政治、経済の矛盾が集中している地域で、要求にもとづく身近な共同を前進させることは、春闘で掲げる諸課題での要求前進の展望につながっています。とりわけ、大企業の横暴に苦しめられている農漁民、中小商工業者、中小零細企業の労働者、経営者などとの要求一致点での「総対話と共同」は、春闘期の重要課題です。

II 2011年春闘で実現をめざす重点課題

1 すべての労働者の賃金引き上げと雇用の安定を追求

(1)すべての労働者の賃上げを
(1) 労働者の賃金(年収)は、97年をピークに減少し続け、08年、09年は正規労働者の所定内賃金も大きなマイナスとなり、2010年春闘でもその流れを押しとどめた単産は多くありません。このような連続した賃下げが内需を冷え込ませて、景気回復を遅らせる「負のスパイラル」の元凶となっています。
 その点の意思統一を深め、要求を掲げなければ賃金・生活改善を経営者・当局に迫ることもできないという「当たり前の事実」を再確認して、すべての労働者の賃上げ要求を組織し、「誰でも時間額100円以上、月額1万円以上の賃金引き上げ」の実現をめざしてたたかいます。

(2) 08年年末以降、不況による業績悪化も口実に、一時金が大幅に削減され、年収ベースでの所得低下がより大きくなっています。2010年夏の段階では、一時金引き下げの止まった段階でしかありません。企業収益が経済危機以前の状態に急回復している現状もふまえ、各単産は年収の低下に歯止めを打ち、改善を迫る要求を確立します。

(2)到達点に立って最賃闘争の前進を
(1) 「最低賃金時給1000円」が政府の雇用戦略対話での「政労使」の合意となり、2010年も全国平均で17円の引き上げ、最高額の東京、神奈川では800円を超えるという最低賃金改善闘争の到達点に立ち、要求の早期実現のたたかいを職場から強めます。
 各単産はすべての労働者を対象にした「時給1000円以上、日額7500円以上、月額160000円以上」実現の要求を組織し、最低賃金協約締結を含めて最低賃金引き上げ要求を職場から強めます。この取り組みも背景に、最低賃金法改正などによる要求実現の政府要求署名などに取り組みます。
(2) この間取り組んできた「最低生計費調査」の結果もふまえた初任給改善と、「青年が自立できる賃金」の実現を重視します。

(3)正規雇用と均等待遇実現を職場段階から積極的に
(1) 深刻な過重労働や長時間労働の改善を求める人員確保要求を強め、賃金低下の一因である非正規労働者の「期間の定めのない直接雇用」への転換要求を組織し、職場の取り組みと制度改善運動を強めます。
(2) 「同じ仕事には同じ賃金が当たり前」の要求組織を強め、雇用形態、性などによる賃金格差の是正、均等待遇実現を求める職場の取り組みと制度改善運動を進めます。

(4)人事評価による賃下げや解雇までも出始めた「成果主義」の是正を
 厚生労働省の調査でも、業績評価制度がある企業で「うまくいっている」とするのは23%にすぎませんが、そのもとで、評価による賃金・処遇格差の拡大のみならず、賃下げや解雇までもが評価にもとづく「制度」を強行した企業で出始めています。
 成果主義の導入、強化に反対し、公正処遇を求める取り組みを強めます。

2 労働時間短縮などによるすべての労働者に働きやすい職場を追求

(1)目標をもって実効性ある労働時間短縮を
 30〜40歳代の正規労働者では20%以上が週60時間以上働き、正規労働者の年間総実労働時間が2000時間を超えて減少していない状況をふまえた労働時間短縮要求を組織します。
 各単産は、所定外労働時間規制強化による週60時間以上労働の根絶、サービス残業の全廃、年次有給休暇の完全取得などの具体的な要求を確立し、取り組みを具体化します。

(2)労働安全衛生運動を強化し、労働災害の予防、メンタルヘルス対策の具体化を
 過重なノルマの強制や成果主義、複雑な職場の人間関係とハラスメント、貧困などによるメンタル不全が日に日に深刻になっています。精神的なストレスに起因する労災申請も増加の一途です。労働局への相談でも、セクシュアルハラスメント件数は高い割合で推移し、「いじめ・嫌がらせ」の相談件数は急増しています。自殺やうつ病などによる休業等で、09年1年間で2.7兆円の経済的損失が発生したという試算を政府が公表するほど深刻な状況です。
 そのことから、労働安全衛生運動を強め、職場点検活動やアンケートなどをもとに、メンタルヘルスケアの充実など、すべての労働者の働く条件整備の要求を強めます。

(3)制度を職場にいかす協約闘争強化を
 政府調査でも、労働組合の9割がなんらかの労働協約をもっています。しかし、「労働協約はあるがパート労働者には適用されない」とする割合が55%であるように、見直しの検討が必要な点も少なくありません。
 また、制度改正に伴い、例えば2011年4月からは、次世代育成支援対策推進法にもとづく「行動計画」の策定が101人以上規模の企業に求められ、2013年から被用者年金報酬比例部分の支給開始年齢が引き上げられることに対応した60歳代前半の雇用確保が求められています。
 これらの点から、各組織での労働協約締結、改定要求を積極的に組織して取り組みます。

(4)すべての労働者に働きやすい職場を
 病気療養中でも働かざるを得ない労働者や、リハビリ中の労働者、精神的、肉体的な障害をもつ労働者、外国人労働者など、さまざまなハンディをもつ労働者も人間らしく働ける条件、環境づくりの要求組織を強め、「合理的配慮措置」も含めた条件整備を追求します。

3 最賃闘争、公契約適正化運動を前進させ「地場賃金相場」引き上げを追求

(1)要求前進の条件を広げて「全国一律時給1000円以上」の最賃基準確立を
 「地域から時給1000円以下の労働者をなくそう」の要求スローガンを掲げ、地域最賃引き上げの要求運動の前進をめざします。
 要求前進、実現ともかかわる「中小企業支援策」の拡充要求とあわせた「最賃1000円実現署名」も武器に、「時給1000円」への地域での共同の取り組み前進をめざします。
 最低賃金審議会委員の公正任命を政府に迫る取り組みを強めます。

(2)公契約条例制定を全国で
 千葉県野田市に続き、東京都国分寺市や神奈川県川崎市等で公契約条例制定の動きが強まってきました。また、東京都新宿区では、公契約の行政「指針」が設けられ、委託先会社の労働条件に行政のチェックが入るようになりました。全国的にも、公契約条例などの制定の動きは広がっており、それらの先進例も参考に、公契約条例制定の要求と共同を地域から組織するため力をあわせます。
 地域総行動での位置づけや、関係団体との懇談会開催などを重視します。

(3)官製ワーキングプアの解消で「地場賃金相場」の底上げを
 コストカットが優先され、最低賃金ギリギリで働く公務職場の非常勤職員が少なくないことから、官製ワーキングプアの課題を低賃金労働者の解消、地域での地場賃金相場の引き上げの取り組みに位置づけます。
 自治体非常勤職員などの賃金引き上げを求める自治体要請(要求)行動を全地方組織で具体化します。

4 「雇用守れ、仕事よこせ」の声を組織し「安定した良質な雇用」を追求

(1)政府、自治体による公的就労の場の確保を
 雇用創出基金事業や地域雇用開発助成金、再就職支援策などの有効活用による公的就労も含めた雇用の場の拡大、「雇用と仕事の提供」を自治体に求める要求運動を強めます。
 その際、「新たな公共」の名によるチープレイバーづくりに反対し、均等待遇原則にもとづく処遇確保を追求します。
 なお、国鉄闘争の全面解決を求め、「1047名」の雇用確保にかかわる政府責任追及を強めます。社会保険庁職員の分限解雇撤回のたたかいをはじめ、すべての解雇争議の勝利解決に向け、支援と共闘を強めます。日本航空による不当解雇撤回のたたかいを、労働者全体の課題として支援します。

(2)雇用保険給付期間の延長、職業訓練制度の拡充など積極的雇用対策の拡充を
 「ハローワーク前アンケート」結果なども活用し、失業期間の長期化や失業率の高止まり状況に対応した制度と運用の改善を政府、自治体に迫ります。
 当面の要求として、失業時の生活保障、職業訓練の充実と訓練期間中の所得保障、生活保護など生活困窮者対策強化を求め、共同のネットワークづくりや生活・労働相談なども背景に、政府・自治体への追及を強めます。

(3)雇用維持にかかわる企業の社会的責任を
 大企業の巨額な内部留保や異常な手元資金積み増し状況を告発しつつ、雇用確保のための大企業の責任追及を強めます。
 とりわけ、深刻な新卒者の就職難の状況もふまえ、自治体、経営者団体などに積極採用を求め、要求行動を組織します。
 また、国内雇用や中小零細下請け企業・事業や地域経済への大打撃を顧みず、企業収益確保のみを目的に行われる大企業の工場・事業の海外移転の強行に反対し、共同を地域から追求します。

(4)雇用に悪影響を及ぼす自由貿易拡大に反対
 340万人もの雇用喪失の試算が出され、地域経済に深刻な被害を与える「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」などに反対し、共同の取り組みを強めます。
地域総行動での自治体要請の課題に、TPP参加反対を位置づけるとともに、全国連鎖の行動などの具体化をはかります。

5 雇用の安定と社会保障拡充による「福祉国家」をめざし、制度要求の実現を追求

(1)労働者派遣法の抜本改正、有期雇用規制強化を
 製造業派遣全面禁止など労働者派遣法の抜本改正を迫る取り組みを引き続き強めます。
 また、有期雇用制度の見直しも審議会での論議が具体化される段階を迎えることから、差別・選別の人事管理の温床づくりを許さず、有期雇用を一時的・臨時的業務に限定するなどの不安定雇用規制の強化となる制度実現を政府に迫ります。

(2)「パート労働法」改正などによる「同じ仕事には同じ賃金」の制度規制を
 雇用形態や性による不合理な差別賃金の解消をめざし、労働基準法や労働契約法、「パート労働法」などに均等待遇原則の明記、「同じ仕事には同じ賃金」の制度規制を追求します。また、新たな差別人事管理の温床となる「多様で柔軟な働き方」に向けた規制緩和には反対の立場で取り組みます。
 「公契約法」の制定を求めて取り組みます。
 進められている第3次男女共同参画基本計画策定に対応します。

(3)公共サービス切りすて、公務リストラの「地域主権改革」に反対
 労働者、国民の安全・安心に直接影響する公共サービスを営利化し国民負担を高める公務リストラや、生存権保障とかかわる国の責任放棄によるナショナルミニマムの空洞化、地域間格差の拡大を招く「地域主権改革」反対の運動を強めます。
 自治体要請行動や地元選出国会議員要請などを強め、統一地方選挙での争点の一つに押し上げるための宣伝行動などを全国で取り組みます。
 国家公務員総人件費20%削減など、公務員労働者の労働条件改悪への反撃を強めます。公務員労働者の労働基本権回復など、権利確立要求と運動を進め、取り組んでいる署名集約を強めます。

(4)医療、介護保険、保育制度の改悪に反対し改善を
 医療費本人負担の軽減を追求し、秋から取り組んでいる署名の集約を進めます。
 後期高齢者医療制度の廃止を口実にした医療保険制度改悪に反対し、署名や政府、国会要請行動に取り組みます。
 介護保険制度の改悪、負担増反対、改善の取り組みを強めます。
 子ども・子育て新システムの強行に反対し、現行制度による保育制度拡充を求め国会行動などを強めます。
 2011年度政府予算での社会保障費の拡充要求を強めます。

(5)最低保障年金制度など最低生活保障制度の拡充を
 最低保障年金制度の早期実現を求め、対政府、国会要請行動などに取り組みます。無年金障害者など無年金者や低年金者に対する生活保障を緊急に充実するよう政府への追及を強めます。

(6)教育費無償化や無利子奨学金拡充・給付型奨学金実現など教育権を保障する制度の拡充を
 子どもの貧困の深刻さの解消を求め、「教育を受ける権利」の実現、子どもをもつ世帯での可処分所得の拡充を求めて取り組みを強めます。

(7)法人税率引き下げに断固反対し、大企業・大金持ち優遇税制の撤廃を
 「カネあまり」状態にある大企業中心の減税効果しか生まず、財源確保のための消費税率引き上げに直結しかねない法人税率引き下げに反対します。
 消費税率引き上げには反対の立場で取り組みを継続します。

6 新たな改憲策動、日米安保体制の強化を許さず平和・民主主義の前進を追求

(1)沖縄県民の総意や国民の反対を無視して進められる日米軍事同盟強化、軍事大国化に反対
 尖閣諸島や北方四島などの領土問題も口実に、日米安保体制強化や自衛隊の「離島配備」などの動きが強まっていることから、それらの動きに対する反対運動の組織に、各団体と共同して取り組みます。
 また、「武器輸出三原則」見直しを含む「防衛計画の大綱」決定に反対し、運動を組織します。
 「3・1ビキニデー」行動、2011年国民平和大行進、2011年原水爆禁止世界大会に結集します。

(2)軍事費の聖域化を許さず、新たな「在日米軍駐留経費負担特別協定」締結に反対
 「GDP比1%」の軍事費確保や米軍への思いやり予算、在日米軍基地再編費用負担などを別枠とする軍事費増の動きが出ています。世界的な流れにも逆行するこのような動きに反対し、国民生活関連予算の拡充を求めます。
 2011年3月末に期限切れとなる「特別協定」の廃止要求と運動を強めます。

(3)衆議院比例定数削減など新たな改憲策動に反対し、憲法の全面実現を求める
 衆議院比例定数削減案の取りまとめは遅れていますが、菅政権はそれを断念したわけではありません。定数削減に反対するとともに、「一票の格差」是正など公正な民意反映の選挙制度実現を求めて取り組みます。
 憲法審査会の具体化など、明文改憲につながる動きには強く反対します。

III 要求実現をめざす統一闘争の強化

1 要求確立・組織の取り組みを職場と地域の双方で強化

(1)過去最高規模の要求アンケートを集約し、要求討議に反映させます。また、企業内での「働くルール」遵守の状況を職場段階からチェックする「企業点検行動(仮称)」を具体化し、要求討議に活かします。
 可能な単産・地方組織では、生計費視点で要求の土台を固める点で効果のある「最低生計費シミュレーション」や「最低生計費試算調査」、「最賃・標準生計費生活体験」などに取り組みます。
 要求確立の取り組みなどを通じた未組織・未結集労働者への働きかけを強めます。

(2)討論集会、職場学習会組織を強化し、全員参加で要求論議を進めます。

(3)すべての地域組織での討論集会開催を呼びかけ、単産の協力で成功をめざします。

2 地域総行動や団体要請行動、地域での宣伝行動などを集中的に配置し、「目に見え音が聞こえる春闘」状況を

(1)「賃上げと雇用確保による地域経済活性化」の要求スローガンを掲げて、事業者団体、労働組合・労働者訪問などを2月に集中的に実施します。
 この取り組みとあわせ、「地域経済活性化ポスター」貼り出し要請や、中小企業アンケートなどの取り組みによる「総対話と共同」を前進させます。
 「最賃1000円実現署名」への賛同を求める取り組みを具体化します。中央・地方の最低賃金審議委員の公正任命を求め、各地で候補の擁立と推薦行動に取り組みます。

(2)単産の地域行動への参加、実施を呼びかけるとともに、単産が関係する団体との共同追求の取り組みをこの時期に集中させます。
 これらの取り組みは、2月の「ディーセントワークデー」(毎月第3金曜日)を軸に、2月中旬から3月上旬の取り組みとして具体化を追求します。

(3)予定される統一地方選挙での労働者要求前進とも結合し、春闘決起のための労働者・都道府県民・住民集会などの開催をめざします。

3 自治体要請行動を全国的に展開

 自治体、関連職場の非正規労働者の時給引き上げ、公契約条例制定、最低賃金引き上げを求める決議採択、公的就労の実現などを求め、地域総行動期間を中心に自治体要請行動の具体化を全国でめざします。
 労働者課題での地元選出の国会議員要請行動を繰り返し実施し、要求の実現を迫ります。

4 大企業包囲行動を実施

 大企業の内部留保蓄積構造を批判し、法人税率引き下げなどの身勝手さを追及する「大企業包囲」行動を1月中旬から2月初旬の取り組みとして具体化します(1月14日の経団連包囲行動、2月のトヨタ総行動などと、1月段階のディーセントワークデーでの位置づけを検討する)。
 巨額な内部留保をため込んでいる大企業に、関連企業も含めた「すべての労働者の時給1000円以上実現」の即時実施を求める要請を行います。
 工場・事業の海外移転計画をもつ大企業への要請行動を地域段階から組織します。

5 中央行動を効果的に配置し、全組織からの結集を追求

(1)予算審議ともかかわる制度政策要求の実現、前進を求め、労働者と諸団体で取り組む「2・10中央行動」と、第1次集中回答日前に賃上げなどの要求実現に向けて決起する中央行動(3・3)を配置します。

(2)国会審議の動向なども見つつ、4月後半もしくは5月半ばの時期に制度要求実現の行動配置を検討します。

6 官民、単産・地方の力を総結集する集中回答日、統一行動日を設定

(1)すべての交渉単位での要求提出の上に、3月16日に第1次集中回答日を配置し、すべての職場で交渉に取り組み、その翌日に「ストライキをはじめとする全員結集・参加の行動」を配置します。この日に、各地域では「1日総行動(集会、一斉退勤行動、宣伝、要請行動など)」の具体化をはかり、全国で50万人の行動参加をめざします。
 集中回答日に向け、地方組織などが単産交渉にも参加する「対角線交渉」にも取り組み、要求前進のために力をあわせます。
 3月11日の重税反対行動とも呼応して、統一行動の成功をめざします。

(2)4月中旬に統一行動を配置し、要求前進に向け、ねばり強く取り組みます。

以 上

国民春闘共闘情報