第23号 2011年5月16日
2011年春闘・第5回賃上げ集計
単純平均5440円 中小が健闘
国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)は12日、今春闘における第5回目の賃金改定集計をおこないました。単純平均で前年同期比プラスを維持し、とくに中小組合が健闘しています。
第5回集計のおもな数値は以下のとおりです。
<回答状況>
|
2011年
|
2010年
|
登録組合数 |
810 |
789 |
回答組合数 |
290(35.8%) |
314(39.8%) |
うち上積み獲得 |
68(23.4%) |
84(26.8%) |
うち前年実績以上 |
160(55.2%) |
160(51.0%) |
うち妥結組合 |
139(47.9%) |
133(42.4%) |
<回答内容>
集計方法&対象
|
2011年 |
2010年 |
(前年比) |
単純平均 |
額(円)
|
5,440
|
5,361
|
+79
|
率(%)
|
1.82
|
1.74
|
+0.08
|
加重平均 |
額(円)
|
5,503
|
5,791
|
▲288
|
率(%)
|
1.82
|
1.87
|
▲0.05
|
組合員数(人) |
74,102
|
83,603
|
|
※額または率のみの報告があるため、双方は必ずしも連動しません。
<集計結果の概要>
第5回集計には、別表の22単産部会から報告が寄せられました。今回新たに報告があったのは検数労連で、このほか全農協労連、民放労連、日本医労連などが新規の回答数を伸ばしています。これまでに有額回答を引き出したのは290組合(36%)で、前年同期(40%)より若干遅れていますが、妥結は139組合(48%)に達し、前年同期(42%)を上回っています。連休前の決着をめざし、多くの単組が回答引出し・上積みの努力を強めたことが数字に表れています。
単純平均、前年を上回る 中小組合が健闘
賃上げの単純平均額(一組合あたりの平均)は5440円(1.82%)で、前年同期比79円増。加重平均(組合員一人あたりの平均)は5503円(1.82%)で、前年同期比288円減。加重平均が減となっているのは、規模別集計「300〜999人」のマイナスが影響したもので、「300人未満」はいずれのカテゴリでも前年比増を示しています。
産業別では、製造、運輸・流通関係が引き続き前年同期比でプラス傾向を示す一方、医療を含むサービス業関係はほぼ横ばいとなっています。
単産別では、前年同期と比較可能な21単産部会のうち、プラスが13、マイナス7と、プラスをかちとっている組織が多くなっています(全証労協は前年と同額)。検数労連は大震災の影響で回答が遅れていましたが、前年同期比1927円プラスの大幅増額を引き出しました。リーマン・ショック後に輸出入額が大きく落ち込んだものの、2010年度に一定回復し、収益も改善したことが今春闘のたたかいに反映しています。民放労連と医労連は前年同期比マイナスとなっていますが、回答引出し・上積みの増加とともに、それぞれ平均額を引き上げて奮闘しています。
前年妥結額以上の回答を引き出しているのは160組合で、回答引出し組合の55%に達し、前年同期(51%)を上回っています。このうち1000円以上の増をかちとっているのは33組合で、JMIU、出版労連、民放労連が多数を占めています。
初回からの上積みは68組合が獲得しました(前年同期は84組合)。回答次数では、医労連の組合の第5次を筆頭に、JMIU、建交労、地方マスコミなどが2〜4次の回答を引き出しています。有額以外の回答≠ヘ、「定昇のみ・ベアゼロ」(額・率不明)が64組合、「定昇凍結」「賃上げゼロ」が21組合、回答延期も9組合報告されています。
パート等時給引上げ 平均8.2円
パート・アルバイト等の賃上げは、生協労連、医労連など5単産102組合から報告がありました。時間額の引上げは、89組合の単純平均で8.2円(前年同期は170組合=15.0円)。生協労連と全国一般が前年同期比で若干増となっています。
企業内最賃の改定は、生協労連など3単産から報告がありました。時間額では、47組合の単純平均で818円と、前回集計時から変化していません。
パート等非正規労働者の回答引出し状況は、いぜんとして前年同期の半分程度にとどまっており、春闘後半戦での克服すべき課題となっています。
<参考> 他団体の賃上げ集計結果
●連合の第5回回答集計(平均賃上げ方式・5/12公表)は以下のとおりです。
集計対象
|
集計組合
|
加重平均
|
単純平均
|
組合数
|
人数(万)
|
金額
|
率
|
昨年
|
率
|
金額
|
率
|
昨年
|
率
|
全組合
|
2,501
|
151.6
|
5,070
|
1.75
|
4,973
|
1.71
|
4,307
|
1.66
|
3,937
|
1.53
|
中小共闘
|
1,616
|
16.9
|
4,198
|
1.66
|
4,010
|
1.59
|
4,050
|
1.62
|
3,841
|
1.55
|
※中小共闘は、規模300人未満
●日本経団連の回答集計(大手=4/20、中小=4/27現在)は以下のとおりです。
集計対象 |
集計企業 |
加重平均 |
単純平均 |
社数 |
人数 |
金額 |
率 |
昨年 |
率 |
金額 |
率 |
昨年 |
率 |
大手企業 |
66
|
―
|
5,814
|
1.82
|
5,838
|
1.81
|
5,238
|
1.75
|
5,237
|
1.73
|
中小企業 |
122
|
―
|
3,884
|
1.48
|
4,028
|
1.54
|
3,709
|
1.45
|
3,716
|
1.46
|
※大手企業は原則として東証一部上場、従業員数500人以上。中小は従業員数500人未満