国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)はこのほど、今春闘における制度的諸要求獲得状況の第2回中間集計をおこないました。大震災で被災した会社からの全員解雇£ハ告を撤回させ、再建に向けて奮闘する宮城県の組合をはじめ、労働組合の本領を発揮するたたかいが全国各地で続いています。
第2回中間集計には、別表の14単産3地方(地方報告=静岡、三重、大阪)から、のべ540組合の要求獲得が報告されました。各組織とも、大震災の被災者救援活動と春闘・夏季闘争のとりくみを並行してすすめていることから、やや集約に手間取っていますが、徐々に獲得報告が増えつつあります。
大震災関連では、宮城県のタクシー会社で、津波により社屋が水没、営業車も損壊し、いったん全員解雇≠ェ告げられたものの、組合(自交総連加盟)との団体交渉の結果、「休業」とし雇用保険を受給。営業再開・職場復帰をめざし、車両確保のために組合が先頭に立って中古車の提供を呼びかけるなど、感動的な報告が寄せられています。
時短関係
時間短縮・休暇・残業関係では、61組合が要求を前進させました。
建交労は、運輸関係の組合で「年間休日92日→113日」「同100日→120日」など、大幅な休日増を実現しています。全印総連の組合は、最長1年間のボランティア休務制度を整備し、基準内賃金の25%支給をかちとりました。映演労連の組合は、これまで3日間だった夏季休暇を5日間に増日。残業関係では、通信労組が多くの支部で月45時間超60時間以内の残業について30%割増(従来は28%)を獲得しています。
その他の時短関係では、建交労の組合が、裁判員制度の施行に伴い、必要日数のすべてを特別休暇の扱いとすることを確認させたほか、全印総連、出版労連などの組合が、昨年の労働基準法の改正にもとづき、年次有給休暇5日分について時間単位取得を可能とする協定を結んでいます。福祉保育労では、複数の組合で、有給休暇の取得状況を経営側の責任で調査し、勤務表作成時に配慮するなど、有休取得率の向上に向けて努力することを確認しました。
非正規関係
これまでに非正規労働者の正規化をかちとった組合は、3組合報告されています(全印総連1、大阪2=郵産労、福祉保育労)。
非正規労働者の賃上げは、のべ161組合が獲得しています。福祉保育労は、群馬県で臨時職員の月給1万円引上げを実現。福祉保育労、全印総連、全労連全国一般、日本医労連などの多くの組合がパート時給10〜40円の引上げを獲得しています。大阪では、複数の自治体労組で、健康保険への加入にともなう時給の補てんをかちとりました。
その他の非正規にかかわる要求では、通信労組が契約社員の月45時間超60時間以内の残業について賃金30%割増、休日労働40%割増を確認させたほか、社員に準ずる「昼食補助」の導入、多項目検診やメンタルヘルス問診の実施、特別手当の支給など、さまざまな要求を一挙に前進させています。このほか、「非正規にも正規並みの慶弔休暇保障」「交通費は正社員と同額を支給」「フルタイムアルバイトに正社員の2分の1の一時金支給」(以上福祉保育労)、「2年目以降の契約社員を住宅補給金の支給対象に」(国労大阪)など、格差是正の要求が前進しています。
育児・介護関係
育児休業関係では、18組合から報告がありました。「3歳までの育児休業・男女とも有給」(建交労)、「育休期間を勤続年数に加算」(全印総連)、「育休期間中・時給30%補助」(出版労連)など、法定を上回る協定化をかちとっています。
介護・看護休業関係でも、前年同期を上回る23組合が前進。「介護休業5日分賃金保障」(建交労)、「介護休業最長1年、平均賃金の25%支給」(全印総連)、「子ども看護休暇・有給で対応」(福保労)など、職場の切実な要求を背景に、法定を上回る貴重な成果をあげています。
労災補償・安全衛生ほか
労災補償では、建交労が多数の運輸関係労組で障害等級への上積みを獲得。安全衛生では、「車内カメラ・6月に10台設置」(自交総連)、「通院休暇=月1日に限り本俸日額の8割支給」(全印総連)、「インフルエンザ予防接種費用について園負担」(福保労)などが目立っています。
母性保護関係では、「生理休暇=月3日まで本俸日額の8割支給」(全印総連)、「乳がん・子宮がん検診を定期健診に位置づけ全額法人負担」(福保労)などが報告されています。人員増では、島根県の福保労の組合が「正規職員3人増」、全国一般の組合も「人員協定の締結」などを実現しています。
これまでに報告を寄せた組織のうち、前年を上回るペースで要求を前進させているのは、通信労組、自交総連、全印総連、検数総連の4単産と、地方では大阪となっています。例年よりやや遅れている非正規関係など、今後の追い上げが期待されるところです。