2011国民春闘共闘情報
全労連HP

第29号 2011年6月15日

2011年春闘・第4回進ちょく状況調査

今春闘での追上げ顕著

回答引出し6割超 賃上げは前年比若干減


 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇などで構成)は13日、各単産に加盟する全組合を対象とした第4回進ちょく状況調査(最終)を実施しました。要求提出は全体の6割強にとどまったものの、回答引出し・妥結率が前年を大幅に上回るなど、追い上げの成果が表れています。

要求提出、スト権確立状況

 第4回最終調査には、23単産3436組合から報告が寄せられました。

 6月13日現在の要求提出状況は全体で61%と、前年同期の66%をやや下回りました。

 民間単産では、単一組合の郵産労、通信労組に加え、全損保、検数労連、合同繊維が100%提出。全倉運(98%)、映演労連(95%)、出版労連(94%)が9割を超え、日本医労連とJMIUが8割以上の高率で続いています。

 公務単産では、国公労連、特殊法人労連の2単産から報告があり、いずれもほぼすべての単組が要求を提出しています。

 これまでにスト権を確立した組合は1338組合(調査対象組合数の39%)と、前年同期(1729組合・37%)を率で上回りました。前回調査時(5月)の573組合(17%)から大きく伸びていますが、これは震災対応などで集約に手間取っていた単産からの報告が得られたことによるもので、全体として震災発生前の春闘の準備は例年とほぼ同じペースで進んでいたことを示しています。

 単産別では、通信労組、全損保、検数労連、郵産労が前年と同じく100%の単組で確立しているほか、JMIU、自交総連、医労連などが前年同期を上回っています。公務単産では、特殊法人労連が8組合中7組合でスト権を確立しています。

回答引出し状況

 これまでに何らかの回答を引き出したのは1321組合で、要求提出組合の63%に達し、前年同期(1706組合・56%)を7ポイント上回っています。

 単産別では、通信労組と郵産労のすべての組織が早い段階で回答を引き出したほか、全倉運(98%)、生協労連(93%)、民放労連(92%)、出版労連(90%)が9割以上となっています(いずれも要求提出組合数に対する割合)。このほか全印総連、合同繊維、全損保、JMIU、映演労連などが前年を上回るペースで回答を引き出しています。

 回答内容では、出版労連が20組合でベースアップを獲得しているのが注目されます。ベア獲得数が前年同期を上回っているのは、出版労連のほか、民放労連、生協労連、合同繊維、全倉運などです。医労連は最多の30組合でベアを獲得しています(前年同期は35組合)。定昇制度のない経営では、通信労組、出版労連、映演労連などの組合が有額を獲得して奮闘しました。

平均賃上げ額

 全組合を対象とした平均賃上げ額(単純平均=組合ごとの平均)は、4652円(1.71%)で、前年同期(4853円・1.82%)を若干下回りました。

 前年と比較可能な12単産中、賃上げ額が前年同期を上回っているのは、建設関連労連、JMIU、民放労連、化学一般労連、全倉運、出版労連の6単産です。全損保は、大震災で多額の保険金支払いが想定される中、厳しいスタートとなりましたが、前年実績を確保する見通しです。賃上げ率を2%台に乗せているのは、建設関連労連、医労連、民放労連の3単産です。

 産業別では、2010年度に一定の業績回復をみせた製造業関係がおおむねプラス傾向を示しているのに対し、小売・サービス業など消費性向をストレートに反映する業種ではマイナス傾向が色濃く出ており、内需の低迷が春闘のたたかいにも影響を及ぼしていることが見てとれます。

スト実施、妥結状況等

 これまでに何らかの形でストライキを打った組合はのべ205組合(6%)で、前年同期(435組合・9%)からほぼ半減しました。大震災の発生で、多くの組合が予定していたストの中止を余儀なくされたことが影響しています。

 スト実施組合数が前年を上回っているのは医労連で、3月16日の集中回答日の翌17日、全国で救援募金活動とあわせ、ストを含む「いのちまもる統一行動」に立ち上がりました。JMIUの超音波工業支部(東京)が4波にわたるストライキで回答の上積みに成功したほか、通信労組が4月1日、NTT西日本による継続雇用者の遠隔地強制配転に抗議して指名ストを打つなど奮闘しました。

 現在までに妥結したのは705組合(要求提出組合の34%)で、前年同期(714組合・23%)を11ポイント上回りました。回答引出しと妥結状況の対前年比増は、大震災発生という未曽有の状況のもと、多くの組合がストを回避しつつ、職場組合員全員が参加する交渉の配置など、より柔軟な戦術でねばり強くたたかい、積極回答の引出しに奮闘してきたことを物語っています。

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