本日の単産・地方代表者会議の目的は、2011年国民春闘での到達点をふまえて、中間的な総括を行い、延長国会での被災地の要求実現、消費税の引き上げと社会保障の大改悪に反対するたたかいに向けた意思統一を図ることです。
2011年春闘は、「すべての労働者の賃上げ・雇用確保を 実現しよう、内需主導の景気回復」をスローガンに、すべての労働組合が対企業、政府、自治体当局に要求を提出して3月17日を最大のヤマ場に回答を迫ることをめざしました。2月段階では、「目に見え、音が聞こえる」行動で国民的なたたかいに発展させ、各地方・地域で積極的な学習会や自治体キャラバンなどを早くから準備しました。
しかし、3・11の東日本大震災で、多くの組織で交渉や行動は中断せざるを得なくなりました。賃上げ交渉は、4月に入って集中的な追い上げを図り、非常事態の中でも4・14中央行動を成功させ、単純平均で5,458円(1・89%)と前年比で137円上回る結果となりました。また、非正規・パートなどの賃上げは時給平均で9・2円。昨年の14・88円に及ばなかったように見えますが、この数値の傾向は2009年以降続いています。最賃が連続で二ケタ引き上げられて是正するところもあり、年間での引き上げ額など調査方法の検討が必要だと思います。
政府はこの間、不当にも国家公務員の賃金カットを閣議決定しました。国公労連・全労連公務部会は、賃下げの理由を財政事情や復興財源に求めることの不当性、公務・民間のすべての労働者への否定的影響、国内消費への悪影響、労働基本権制約のもとでの不当性を追及し、マスコミにも一定の影響を与えてきました。連合・公務員共闘が早々と「賃金カットやむなし」と態度表明したこととの違いを際立たせています。大震災被災者の救援、復旧活動では国公、地公、教職員の皆さんがたの献身的な姿に国民の共感が寄せられています。国民の間では、医療・介護の後退、地方自治の崩壊と過疎化の進行など「構造改革」の矛盾のしわ寄せが国民生活に押し付けられていることを実感し、改めて公務・公共サービスの重要性が認識されています。
さて、大震災から110日たちましたが、死者・行方不明が2万2810名、いまだに多くの方々が避難生活を強いられ、福島第一原発事故による放射能汚染は収束の目途も立っていません。被災地では仮設住宅の建設が始まりましたが、コミュニティを大切にしたいという地元住民の願いには程遠く、早期の復旧に向けて、夏休み中のボランティアを積極的に組織していただきたいと思います。
被災者や国民は、一刻も早い復旧を願っているのに、国会は延長されても空白が続き、大政翼賛会ばりの大連立含みで動き、「死に体」とはいえ菅内閣は、「税と社会保障の一体改革」という青写真を下敷きに消費税の引き上げと年金支給開始年齢の引き上げなど社会保障制度の大改悪を進めようとしています。
菅内閣に対して、破綻した「構造改革」回帰を止め、被災者の生活再建を土台にした早期の復旧・復興、全国各地で大震災の深刻な影響を受けている中小企業への援助、雇用の確保に政治の力の発揮を求めたいと思います。
大震災からの復興や原発問題にからんで、今後の日本社会のあり様が大きく問われようとしています。世界中から「フクシマからの警告」が注視され、国民世論も原発の「縮小・廃止」が80%以上も占めているのに、菅内閣と財界は「安全神話」にしがみつき、大震災からの復興を通じた「震災特需」で大企業中心の利益を追求し、農林漁業への企業の参入、消費税の引き上げなどを目論んでいます。
私たちは、大企業中心社会を転換するために、雇用の確保、働くルールの確立、まともな賃金と最低賃金の大幅引き上げ、社会保障の拡充を求めるために全力をあげるものであります。
本日の代表者会議で、被災地の声を反映した早期復旧、「原発ゼロ」・自然エネルギー社会への転換、公務員賃金削減反対など、要求前進に向けたたたかいについて積極的な討議をお願いします。