第34号 2011年7月12日
2011年春闘・第7回賃上げ集計
単純平均5389円 前年比増
国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)は12日、今春闘での最終集計となる第7回賃金改定集計をおこないました。全体の単純平均は前年比でプラスを維持し、製造業を中心に『100人未満』の中小組合が大健闘。回答引出し組合の過半数が前年妥結額以上を獲得しています。
第7回最終集計のおもな数値は以下のとおりです。
<回答状況>
|
2011年
|
2010年
|
登録組合数 |
807 |
776 |
回答組合数(有額) |
375(46.5%) |
377(48.6%) |
うち上積み獲得 |
85(22.7%) |
99(26.3%) |
うち前年実績以上 |
201(53.6%) |
187(49.6%) |
うち妥結組合 |
252(67.2%) |
244(64.7%) |
<回答内容>
集計方法など |
2011年 |
2010年 |
(前年比) |
単純平均 |
額(円) |
5,389 |
5,205 |
+184 |
率(%) |
1.83 |
1.74 |
+0.09 |
加重平均 |
額(円) |
5,610 |
5,771 |
▲161 |
率(%) |
1.87 |
1.89 |
▲0.02 |
組合員数(人) |
89,680 |
94,693 |
|
※額または率のみの報告があるため、双方は連動しません。
<集計結果の概要>
最終集計には、別表の24単産部会から報告が寄せられました。
これまでに有額回答を引き出したのは375組合(登録組合の47%)で、前年同期(49%)とほぼ同水準となりました。このうち妥結しているのは252組合(67%)で、前年同期(65%)を上回っています。集中回答日直前に発生した東日本大震災の影響もあり、序盤戦で回答引出しに遅れが生じましたが、大型連休を前後した各単産・単組のとりくみ強化により、後半戦での追い上げはかつてない規模とスピードで進みました。
中小組合が大健闘 過半数が前年実績額以上を獲得
賃上げの単純平均額(一組合あたりの平均)は5389円(1.83%)で、前年比184円増。加重平均(組合員一人あたりの平均)は5610円(1.87%)で、前年比161円減となりました。加重平均が減となっているのは、規模別集計「300〜999人」のマイナスが影響していますが、ここでもほぼ前年水準を維持しています。単純平均の前年比増は、規模別「30人未満」の581円増、「30〜99人」の269円増が大きく全体を引き上げており、今春闘における中小組合の健闘は顕著なものがあります。
産業別では、製造、建設、金融関係が前年比でおおむねプラスを維持する一方、小売業関係は若干減となり、内需が回復しないもとでの消費性向の反映とみることもできます。単産別では、前年(額)と比較可能な23単産部会のうち、プラスが13、マイナスが10となりました。前年実績を大きく上回っているのは、検数労連(1927円=0.81ポイント増)、出版労連(971円=0.32ポイント増)、合同繊維(604円=0.62ポイント増)などとなっています。
前年妥結額以上の回答を引き出した組合は、前回調査時よりさらに増加し、201組合(有額回答数の54%)となりました。前年は最終集計でも回答組合の半数に達しておらず、この面でも前進しています。このうち1000円以上のプラスをかちとっているのは44組合で、JMIUの13組合を筆頭に、出版労連、民放労連が続いています。
初回回答からの上積みは85組合(有額回答数の23%)が獲得。前年同期の99組合(26%)を若干下回りました。回答次数では、日本医労連の組合の第5次を筆頭に、JMIU、地方マスコミ、化学一般労連など15単産部会に加盟する組合が2〜4次の回答を引き出して奮闘しました。
「1万円以上」の賃上げ回答を獲得したのは23組合で、前年の15組合を大きく上回りました。最高額は出版労連の組合で、2万3533円増となっています。
パート等の新時間額 平均1130円
パート・アルバイト等の賃上げは、7単産123組合から報告がありました。時間額の引上げは、101組合の単純平均で9.5円となっています(前年は189組合=14.6円)。
報告数が少ないため、単純な比較はできませんが、新時間額の単純平均は1130円で、前年の1005円を大幅に上回っています。最低賃金の改定に連動した昨秋以降の引上げを考慮に入れれば、今春闘でもかなりの前進を記録したと評価できます。
<参考>
他団体の賃上げ集計結果
●連合の第7回改定集計(平均賃上げ方式・7/4公表)は以下のとおりです。
集計対象 |
集計組合 |
加重平均 |
単純平均 |
組合数 |
人数(万) |
金額 |
率 |
昨年 |
率 |
金額 |
率 |
昨年 |
率 |
全組合 |
4,061 |
185.0 |
4,924 |
1.71 |
4,805 |
1.67 |
3,786 |
1.50 |
3,550 |
1.41 |
中小共闘 |
2,978 |
28.5 |
3,780 |
1.53 |
3,522 |
1.43 |
3,485 |
1.43 |
3,208 |
1.33 |
※中小共闘は規模300人未満
●日本経団連の妥結集計(大手=6/10、中小=6/28現在)は以下のとおりです。
集計対象 |
集計企業 |
加重平均 |
単純平均 |
社数 |
人数 |
金額 |
率 |
昨年 |
率 |
金額 |
率 |
昨年 |
率 |
大手企業 |
112 |
― |
5,842 |
1.85 |
5,886 |
1.86 |
5,379 |
1.78 |
5,383 |
1.76 |
中小企業 |
412 |
― |
4,259 |
1.64 |
3,842 |
1.52 |
3,801 |
1.52 |
3,602 |
1.45 |
※大手企業は原則として東証一部上場、従業員数500人以上。中小は従業員数500人未満