中央最低賃金審議会(中賃)は7月27日、2011年度の地域別最低賃金改定の「目安」額を厚生労働大臣に答申しました。中賃は47都道府県を賃金水準や地域の経済実勢(工業生産等)によってA〜Dの4ランクに分けて目安を示しますが、今回はAランク4円、BCD各ランク1円という超低額かつ格差拡大の不当な答申となりました。
また、厚労省が低めに算定した生活保護費よりも最賃が下回っている9都道府県の「生活保護と最低賃金の乖離解消」課題については、4地方は乖離解消を求めたものの、宮城を含む5地方については、単年度での解消を先送りしました。乖離の解消・縮小を求めた神奈川18円、東京16円、北海道13円等も含め、目安どおりに改定されたとすれば、最低賃金は全国加重平均で今より6円増の736円となります。
審議会で、労働者側委員は、今の最賃は生計費水準に到底及ばず、ワーキング・プアが拡大しているとし、「安心・安定が確保された生活」が可能な水準への引上げを求めました。しかし、使用者側は、今年は東日本大震災による経済的打撃と中小零細企業への影響を理由に、最賃引上げは「事業の存続自体を脅かす」と主張。「本来マイナスでもいいくらいだがゼロ円」と最後まで引上げに抵抗しました。
政府は昨年、政労使で構成する「雇用戦略対話」を開催し、「早期に全国最低800円を確保し、2020年までに全国平均1000円を目指す」との合意をまとめ、最賃と中小企業の底上げ戦略を進めるとしていました。もはや国民的合意となった最賃大幅底上げの流れを今回の答申はさえぎり、目標への到達を彼方に追いやるものです。被災地での中小企業をはじめとした経営再建のためにも、最賃引上げで消費を刺激し、経済を好循環に転換させることが緊急に求められているにもかかわらず、大半の地方についてわずか「1円」の引上げなど論外です。
全労連・国民春闘共闘は本日28日、震災復興、公務員賃金改善などの課題とあわせ、不当な目安額答申に抗議し、これを大きく乗りこえる最賃改定を地方最賃審議会に迫るべく、中央行動(第3次最賃デー行動)を実施し、全国から1500人の参加で成功させました。最賃引上げの「たたかいはここから!」全地方でとりくみを強化しましょう!