人事院は9月30日、2011年度の国家公務員一般職の月例給を0.23%引き下げ、ボーナス(期末・勤勉手当)は現行の年間3.95カ月に据え置くよう国会と内閣に勧告しました。月給とボーナスをあわせた平均年間給与のマイナス勧告は3年連続です。この勧告通りに実施された場合、平均月給は39万6824円(平均42.3歳)となります。
一方、今年度給与とは別に、2006〜2010年度にかけて実施した給与構造改革で、給与水準が下がる職員に支給していた「現給保障」を、2013年4月までに全廃する方針を打ち出しました。2013年度から国家公務員の定年を段階的に65歳まで引き上げることに関する意見の申出は、60歳を超えた職員の給与水準について、60歳時点の70%とすることを明記しました。
今後、国会で継続審議となっている「給与臨時特例法案」(向こう3年間、国家公務員給与を役職に応じ5〜10%引き下げるもの)と、人事院勧告のどちらを優先するかの判断が焦点となります。
公務労組連絡会は同日、3年連続となるマイナス人勧に対し、幹事会名で抗議声明を発表。「公務・民間の『賃下げの悪循環』をいっそうすすめる」と厳しく批判し、50歳代を重点とした月例給の引下げと現給保障廃止について、「第一線のベテラン職員を狙い撃ちにしたことは重大」「断じて認められない」としています。職務や職責がまったく変わらなくとも、60歳を境に年収を7割にまで引き下げることについて、「政府・財界がねらう『熟練した労働力を安く使う』政策に人事院が追随・迎合したもの」と指摘。震災復興の財源確保は、公務労働者ら庶民への増税でなく、膨大な内部留保をかかえる大企業に応分の負担を求めること、軍事費など不要不急の予算削減によってまかなうべきと主張。政府に対し、勧告の取り扱いをめぐって労働組合と真摯な交渉をつくすこと、組合との合意なく国会提出を強行した「賃下げ法案」の即時撤回・廃案を求めています。
公務労組連絡会・全労連公務部会は、政府への要請とともに、全国人事委員会連合会(全人連)に対し、マイナス勧告に追随せず、地方公務員や教員の給与改善を求めてとりくみを強めています。