2012国民春闘共闘情報
全労連HP

第5号 2011年12月5日

2012年国民春闘討論集会を開催

労組なら、賃上げ要求を


 国民春闘共闘委員会は2日、東京・全日通会館で2012年国民春闘討論集会を開催しました(全労連との共催)。大震災からの復興と原発問題、超円高、TPP交渉参加、消費税増税問題など、労働者国民をめぐる情勢が激動するもと、賃上げ・雇用確保による生活底上げで「安心社会」を実現しようと、熱心な討議がおこなわれました。

 討論集会には、20単産38地方から総勢216人が参加しました。

 大黒作治・国民春闘共闘代表幹事(全労連議長)は主催者あいさつで、大企業の内部留保が257兆円にも増加していると指摘し、中小企業への還元とともに「賃上げ要求をかかげてたたかうことの重要性をみんなで確認しよう」と呼びかけました。TPP(環太平洋連携協定)交渉への参加、沖縄・辺野古への米軍普天間基地の移設、消費税増税などを海外で公約する野田内閣の財界・アメリカ追随は「自公以上」であり、「国民生活との矛盾が広がることは必至」だとのべ、これらに反撃する「一大社会運動」を大きく発展させることを訴えました。

 小田川義和・国民春闘共闘事務局長(全労連事務局長)が2012年国民春闘方針案を提案。来春闘は「構造改革」の再編・強化か、生活と社会基盤を守るのかの分岐点に立つと強調し、雇用・仕事の安定と賃上げ、社会保障拡充による「安心社会をめざす大運動」にとりくむことを提起しました。その課題として、(1)「内需拡大で地域経済守れ」のとりくみ(2)原発依存、エネルギー浪費社会に決別を求めるとりくみ(3)被災者中心、住み続けられる地域社会の復興をめざすとりくみを提案。3月中旬の第1次集中回答日と全国統一行動に向け、統一賃金要求として「だれでも時間額100円以上、月額1万円以上の賃上げ」、到達要求として「時間額1000円、日額7500円、月額16万円以下の労働者をなくす」ことをかかげて、ねばり強くたたかおうと呼びかけました。

 特別報告では、全印総連と東京春闘共闘が発言しました。

 全印総連の大原つくる副委員長は、今年で20回目となる家計調査結果をもとに、「25歳単身」「40歳4人世帯(子2人)」など、モデルごとに必要生計費を独自に算出し、賃金要求基準の決定に役立てていると報告。生活実態をリアルにつかんで組合員に返し、年代ごとの「ライフステージ別要求」で交渉の力にしているとのべました。また、全印総連として、印刷出版関連産業にかかわる「産業政策提言」を発表し、官公需の適正化などを求めて経営者との共同を広げている経験を紹介しました。

 東京春闘共闘の高畠素昭事務局長は、2012春闘のカギは中小業者との共同をいかに広げるかにかかるとのべ、非正規を正規にする運動に本気になってとりくむこと、最賃と公契約適正化の運動を強め、地域から賃金闘争を盛り上げる決意を語りました。

賃上げは内需拡大の“特効薬”

 討論では、23人が発言しました。JMIUの代表は、「国民春闘の中心課題は賃上げだ」と強調。社会の行き詰まりを打開するためには、労働者の賃上げがいちばん効果的だとのべ、正面からとりくもうと訴えました。年末一時金闘争で健闘している生協労連の代表は、「年間4カ月」の一時金回復とともに、パート時給1000円要求について議論し、組合員全員で理事会に要求するとりくみをすすめていくと語りました。医労連の代表は、2012年に診療報酬・介護報酬の同時改定が予定されていることから「大幅賃上げの絶好機だ」と強調。青年組合員向けにストライキのマニュアルもつくりながら、ストを軸に断固たたかっていくとのべました。建交労の代表は、公契約の適正化で大幅な年収増を実現させた経験を紹介。金融円滑化法や雇用調整助成金制度の期限切れが迫っていることに注意を喚起し、制度の改善で雇用労働条件を守ろうと提起しました。

 国公労連の代表は、国会に提出されている公務員賃下げ法案は憲法違反であるだけでなく、625万人の労働者の収入減、年4000億円をこえる税収減につながると指摘。法案の廃案に向け、民間労働者や国民各層と共同して運動を強めていくとのべました。自治労連の代表は、「対話と提言」をもとに日本医師会と懇談するなど共同を広げており、憲法キャラバンとともに組織拡大にとりくむ決意を語りました。大阪の代表は、大阪府知事選・大阪市長選のダブル選挙への全国からの支援に謝意をのべ、連合大阪など広がった共同を確信に、橋下新市長をはじめ維新の会の「独裁」を許さないたたかいに全力をあげる決意を表明。静岡の代表は、「11・26ひまわり集会in浜岡」に4000人が集い、浜岡原発の永久停止・廃炉を求めて“人間の鎖”で包囲し大成功したと報告。昼休みの短時間行動で「(原発事故は)他人事ではない」と、200筆以上の署名が寄せられるなど、状況は大きく変わっており、何としても再稼働は阻止すると語りました。

 小田川事務局長は、まとめの発言で、賃上げこそが内需拡大の中心だという世論を広げることが課題だとのべ、社会的合意をつくるために努力しようと呼びかけました。

 国民春闘方針は、来春1月12日に開催する国民春闘共闘・第1回単産地方代表者会議で決定する予定です。(おわり)

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