(サブ・スローガン)
TPP参加、消費税・庶民増税反対!原発依存のエネルギー政策からの転換を!
「はじめに(2012年春闘をたたかう情勢認識と構えの基本)
(1) 大震災後の状況をふまえ、たたかいを進める
2008年秋の経済危機の影響が残るもとで起きた東日本大震災から10カ月余りが経過した。被災地域では復興事業や放射能除染の遅れが被災者を苦しめ、仮設住宅での孤独死も出始めている。大震災直後にとられた特例措置は相次いで廃止され、失業手当の延長措置の期限切れなども目前となり、雇用、生活不安が一気に表面化している。
最も困難な状態に追い込まれた大震災・原発事故被災者への対策や被災地復興が遅れていることの大本には、大震災を契機に企業など「供給サイド」中心の施策のより一層の強化を求める財界・大企業と、それに従う政府の姿勢がある。
こうした状況をふまえ、(1)大震災を口実にした賃金、雇用、労働条件の改悪を許さず、災害に強い社会をめざすたたかいを被災県と全国で強化すること、(2)「構造改革」回帰に反対する立場から、a)TPP参加など国内産業を無視した自由貿易強行反対のたたかい、b)消費税増税と社会保障改悪に反対するたたかい、c)原発ゼロをめざしたエネルギー政策の転換を求める運動の3課題での国民共同の前進めざすことを中心課題として、2012年春闘をたたかう。
(2) 激化する大企業と労働者、事業者などとの矛盾をふまえた総対話と共同に取り組む
266兆円もの巨額な内部留保、手元流動性資金も60兆円(上場企業)をため込む大企業の金余り状態が明白になっている。
にもかかわらず財界・大企業は、法人税減税と消費税率引き上げ、事業主の社会保障負担の軽減を求め、労働法制の規制緩和などによる儲けの最大化を要望するなど、さらなる高蓄積をめざした身勝手で横暴な姿勢を強めている。
また、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)などの自由貿易拡大を見越した大企業の生産拠点移転が、地域経済と国内雇用に深刻な影響を与えている。
政府が2011年10月に設置した国家戦略会議では財界の要望に沿って、(1)震災復興を大企業の儲けの場とすること、(2)消費税増税と社会保障給付削減を同時に進めて企業負担を軽減すること、(3)農業、医療、環境などを新たな成長分野として市場化や自由貿易を促進することの三点を柱に、「日本再生のための戦略」を取りまとめるとしている。
財界、政府の以上のような動きに対し、原発なくせの運動が草の根から広がり、農業などの第一次産業をはじめ国内型産業や地域経済を犠牲にするTPP参加への反対運動が、幅広い国民共同として前進し始めている。
世界的にも「ウォール街占拠運動」など、一部に富や利益が集中する構造の是正を迫る運動が前進し始めた。
2012年春闘では、このような国内外の運動の変化に呼応し、労働者の切実な要求の前進を妨げている一部大企業に対する批判を強め、諸階層との総対話と共同を前進させ、要求をたたかいで前進させることに力をあわせる。
(3) 「企業の国際競争力より内需拡大を」の世論づくりをめざして取り組む
円高対策を講じても、大企業は関連企業を伴って生産拠点を海外に移転し、地域の経済と雇用に深刻な打撃を与えてきた。
大企業は、東日本大震災の影響や電力供給への不安、円高を口実に、国内での製造と販売に見切りをつけ、アジアを中心とする海外市場重視の経営に舵を切り替えている。
このような経営転換と相まって、「日本労働市場のアジア化」を目的に総人件費抑制や規制緩和の攻撃を財界・大企業が強めてくることは必至である。
2008年度で、GDP(国内総生産)に占める輸出割合は15%で、国内消費58%の4分の1程度しかない。日本は内需中心の経済社会であることを強調し、企業の国際競争力強化より内需拡大が急務であることを強く主張し、財界・大企業の人件費抑制攻撃を跳ねかえすたたかいにつなげる。
(4) 職場と地域で「目に見え音が聞こえる春闘」を作り出し、国民春闘共闘の影響力を拡大する
団塊の世代がたたかいの第一線から退き始めた2007年から5年を経過し、職場、地域ともに世代交代が進んできている。
国民諸階層との共同を積極的に作り出し、国民春闘共闘委員会、単産・地方組織の統一行動に全組合員参加をめざすことが、国民春闘共闘委員会22年のこの間の運動の教訓である。世代交代が進む今こそ、その教訓を確認して次に引き継ぐことも目的に、2012年春闘の取り組みを具体化する。
全員参加の統一闘争、要求の一致点での共同で局面を変えて要求前進をめざすという「労働運動の原点」を大切にした職場と地域の取り組みを呼びかける。
1 春闘をたたかう上で重視する情勢(特徴的な情勢)
(1) 民主党政権は、大企業中心、アメリカ従属の政治に回帰し、悪政を推進している
ヨーロッパ発の世界同時不況への懸念が高まり、多額の投機マネーが世界経済を危機の淵に追いやっている。日本にも、円高や財政危機、原材料高騰など様々に影響している。
政府は、ギリシャなど南欧の国々の経済危機を財政再建や社会保障改悪の好機と捉えた政府の宣伝や、円高、震災・原発事故なども利用して大企業への支援策強化を求める財界の身勝手を受け入れ、国民いじめの悪政を一気に進めようとしている。
TPP参加への前のめりの対応や、沖縄名護市・辺野古沖への米軍基地建設を急ぐことにも見られるように、アメリカいいなりの動きも一段と強めている。
(2) 2012年通常国会では、財界要望の悪政強行を許さないたたかいが重要になっている
10月に政府が設けた国家戦略会議では、「日本再生」を強調し、財界要望を受け入れ、企業の成長、国際競争力強化を最重視する姿勢での論議が行われている。
2012年通常国会から施策の具体化が順次進められることは必至である。この国の社会の将来を左右しかねない課題も多く、そのことを意識した運動づくりが必要となっている。
野田首相が11月のG20(カンヌ)で消費税増税を「国際公約」し、TPP参加について国内合意もないまま日米首脳会談で合意したように、外圧依存の政権運営を強めていることにも留意したたたかいが求められている。
(3) 震災復興、原発事故対応を先送りする政治の怠慢が、被災者を苦しめている
「東日本大震災復興特区法案」や復興財源確保を口実とする所得税増税案などが臨時国会で成立したが、震災からの復興でも放射能被害対策でも政府の対応は後手に回っている。
被災者の失業の増加、自営業者の二重ローン問題や資金繰り悪化など雇用と仕事をめぐる状況も一段と厳しくなっている。
復興庁の設置が決定され、被災県での復興計画も策定はされたが、市町村での計画立案はこれからであり、津波で壊された生活や経済、行政基盤などの復旧は極めて遅れている。
大量のガレキの処理も、放射能汚染などの問題もあって遅れ、放射能汚染土壌や廃棄物の処理基準や方策が明らかでないことなども経済復興の障害になり始めた。
復興需要で、被災地域の個人消費は一定回復しているが、都市部に集中し、津波被害地域での回復が遅れると言う格差も顕在化し始めている。
(4) TPP参加や、税と社会保障の一体改革が世論を二分化する政治課題となっている
11月の日米首脳会談で野田首相は、TPP参加に向けた協議に入ることを表明した。
TPP参加は、農産物や輸出品の関税問題だけでなく、非関税障壁の撤廃も交渉課題となることを意味する。民間営利企業の参入規制となる公的医療保険制度や、公共調達基準、移民規制、共済制度、労働法制なども見直しを迫られる危険性がある。前進しつつある公契約運動への悪影響も懸念される。
また、政府が2012年通常国会に提出しようとしている「税と社会保障の一体改革」は、消費税率引き上げを最大目的に、社会保障の市場化と受益者負担、応益負担の立場での保険料引き上げと給付削減を進める内容となっている。増税のための社会保障制度改悪強行と言う逆立ちの「改革」が具体化されようとしている。
TPPも「税と社会保障制度の一体改革」も国論を二分する状況にある。そのことは、国民共同がかつてなく広がる可能性をも示しており、実際、TPP反対のたたかいでは、2011年秋の段階でもその萌芽があった。
(5) 大企業は大震災や円高も口実に人件費抑制攻撃をさらに強めている
富が一部の大企業に集中していることが、中小零細企業、第一次産業の停滞や地域経済を疲弊させ、税収減による財政悪化が公務・公共サービスの低下を招き、公務員バッシングの要因となっている。
これらの点は、リーマンショック後の経済危機の際にも確認された。そのことが是正されないまま3.11東日本大震災が発生し、大企業はそれも口実に人件費抑制攻撃をさらに強める姿勢にある。
2011年秋の臨時国会では、労働者派遣法「改正」法案の骨抜き修正が民自公三党で合意され、衆議院厚生労働委員会で可決されたが、その背景には財界の攻撃激化がある。
政府・財界が一体となって人件費抑制を強めている時に一方のナショナルセンター連合は、労働者派遣法「改正」法案の骨抜き修正を黙認した。賃金要求では「定昇相当分(5000円)の確保」の上に「1%の配分」要求を各産別が掲げるよう求める要求案を決定したが、大手民間労組の中には定昇を上回る要求への反対意見すらある。
企業経営を重視した労使の一体化は日本社会の矛盾をさらに深刻にし、労働者の暮らしを危機に追い込む。生活改善要求を真正面に掲げた国民春闘の活性化が強く求められる。
(6) 雇用と年金の連携、非正規労働者の雇用安定などの課題が焦点となってきた
政府は、医師による従業員のメンタルヘルス・チェックを義務付けるなどの労働安全衛生法改正法案を労働政策審議会に諮問した。
国会でたなざらし状態にあった労働者派遣法改正法案は、民自公3党の改悪合意で登録型派遣や製造業派遣の禁止が削除され、衆議院厚生労働委員会で採決が強行されるという逆流が生じた。
その状況変化のもとで、政府は、有期雇用法制の見直しやパート労働法改正法案の検討に着手し、取りまとめを行おうとしている。
財界は労働法制の規制強化への反発を強め、労働法制での新たな規制緩和要求を強めている。
2013年度から被用者年金の支給開始年齢が61歳以降に段階的に引き上げられることに対応した高年齢者雇用安定法や公務員法の改正作業も進められ、通常国会に法案が提出される状況にある。
最低賃金とかかわって、「早期の全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ全国平均で1000円をめざす」とした雇用戦略対話の合意を反故にしようとする財界の動きも強まっている。
一方、日弁連や労働弁護団が、公契約条例制定の意見書を出し、東日本大震災のガレキ処理とかかわって成立した「ガレキ処理特別措置法」で労働者の賃金・労働条件の適正化をはじめとする統一基準が制定されるなど、公契約法・条例制定につながる前進があることも見過ごせない。
(7) 地域主権改革などで国民生活が脅かされ、公務労働者の労働条件が悪化している
通常国会で成立した地域主権改革一括法案に基づく、交付金給付処理や条例改定の動きが進む中、次期通常国会には国の出先機関を地方移管する法案提出が目論まれている。独立行政法人の廃止、統廃合も課題となってきた。
民主党政権は、国家公務員賃金を7.8%引き下げる法案を国会に提出し、人事院勧告の不実施も決定して「人件費20%削減」の公約達成をめざしている。
東日本大震災復興財源確保も口実に、行革リストラの一段の強化を狙っており、2012年通常国会では、行政サービス提供にかかわる国の責任を大幅に後退させ、「小さな政府」をめざす重大法案の提出が相次ぐ危険性が高まっている。
国の人件費削減の動きは、義務教育費国庫負担金などを通じて、地方公務員の賃下げ圧力をも高めている。
国会には、行革リストラの一方で公務員の労働基本権回復の法案も提出されており、2012年春闘では、公務員労働者の労働条件決定システムをめぐる新たな動きへの対応も重要になっている。
(8) 憲法や平和を脅かす動きも急になっている
野田首相は、沖縄名護市・辺野古沖への米軍新基地建設では、基地用地の埋め立て強化の前提となる環境評価(アセスメント)を年内に沖縄県に提出することを日米首脳会談で表明した。地元住民の意思を無視した日米安保最重視の姿勢は、沖縄県民などとの矛盾を激化させている。
また、野田政権下で政府は、沖縄八重山地区での公民教科書採択にかかわっても不当な介入を強めている。
2 労働者の状況とたたかい
(1) 賃金低下傾向には歯止めがかかっていない
日本の労働者の賃金は1990年代半ばから低下し続けている。原因は賃金格差を解決しないままに非正規労働者への置き換えを進め、あわせて正規の水準を全体として抑えたこと、さらに正規労働者内では業績反映等の賃金個別管理化を進め格差を広げてきたことにある。長期の賃金低下は内需を縮小させデフレ不況の要因となり、それが賃金抑制を招くという悪循環を形成している。これらはOECD(経済協力開発機構)なども指摘するところであるが、状況は現時点でも変わっていない。
国税庁調査によれば、民間労働者の2010年の年収は、平均412万円と前年比で4万円微増となったが、それでも1998年時点に比べれば53万円も低く、改善に転じたとは到底言えない。こうした賃金動向も反映して、労働者世帯の消費支出は10月まで8ヶ月間連続で減少している。
なお、2010年の変化は、年収200万円以下の労働者が前年より1.6ポイント減少し、これが平均賃金を押し上げたことが推測できる。連年の最低賃金引き上げや、賃金底上げの意義を改めて確認できる結果でもある。
(2) 非正規労働者への置き換えの動きはとまっていない
2011年第一四半期の平均で、正規労働者3135万人、非正規労働者1717万人となっており、非正規率は35.4%まで上昇している。2009年には微減した非正規労働者率は、企業収益の改善傾向がはっきりした2010年後半から増加に転じている。労働者を景気の調整弁として扱い、正規から非正規への雇用転換を進める企業の経営姿勢は改まっていない。
2012年3月新卒者の就職内定状況は、前年より僅かに改善しているものの、引き続き氷河期と言われる厳しさが続いている。
2011年10月の完全失業率は4.5%(失業者数288万人)で、前年同期比で0.6P(46万人)低下しているが、対前月比では0.4P上昇し、2011年秋段階での雇用状況悪化が懸念される結果となった。
(3) 長時間・過密労働の実態は放置され、不払い残業も改善していない
労働時間短縮に向かいだしたと言える状況ではなく、過労死ラインをこえて働かされる労働者も減少していない。
厚生労働省が2010年度に監督指導した不払い残業は、1386企業・事業所で前年比165企業の増加となっている。是正金額も123億円(前年比7億円増)もあり、サービス残業が蔓延する事態が続いている。
このような中、9月30日、最高裁判所はニコンに派遣されていた労働者の過労死事件で、派遣元・先両企業の安全配慮義務違反を認定した東京高裁判決を確定させる判決を下した。
(4) 労働者の権利をめぐる裁判闘争では、前進面と厳しさが交錯する状況にある
労働者性を争ったINAXメンテナンス事件、新東京国立劇場事件での最高裁勝利の前進面がある一方で、「派遣切り」とのたたかいでは、正社員としての地位の確認を求めていた福井パナソニック事件の地裁判決が極めて不当な請求棄却の判決を行うなど厳しいたたかいが続いている。
社会保険庁分限解雇撤回闘争とかかわって、人事院がヤミ専従問題での懲戒処分撤回の判定を下し、京都地裁は請求棄却の不当判決を下した。人事院の公平審理を中心に取り組まれているたたかいは、大きな節目を迎えている。
JAL不当解雇撤回闘争では、9月30日に、稲盛会長の証人喚問が行われ、結審間近の状況となっている。
3 主要課題と取り組み
2011年春闘での賃金闘争では、3月11日の東日本大震災とその後の自粛圧力を乗り越え、登録組合ベースで単純平均5,458円(1.83%)と前年並みの到達点となった。
このような2011年春闘結果について次のように総括している。
(1)厳しい経営の下でのたたかいでも、要求に執着して、たたかうエネルギーを引き出す運動面での工夫が成功すれば、労使関係を変え要求と組織を前進させられる。
(2)産業全体が厳しい状況にある産別では、職場内のたたかいに加えて、産業政策・制度闘争に力を注ぎ、経営を取り巻く環境を改善させている。
(3)この間の賃上げが厳しい背景として非正規・未組織労働者の低賃金が影響していることを分析し、賃金底上げ、法定最賃・公契約の取り組みと賃上げを一体でたたかう組織が増えている。
(4)職場内のたたかいを前進させるためにも地域に打ってでる取り組みを重視して取り組む組織が増えている。
(5)内部留保の高蓄積を「配分の不公平」として争点化する状況は、以前より強まり、取り組みへの確信が広がってきた。
これらの5点と既述した情勢等もふまえ、取り組みの重点課題を確認し、職場と地域で2012年国民春闘に結集して前進をめざして力を寄せ合う。
(1) 大震災による雇用悪化をゆるさず、雇用安定と仕事の確保をめざす
2011年秋以降、大震災などの影響が表面化し、雇用状況が一段と悪化して、要求前進にも影響していることをふまえ、安定雇用の実現要求を重視する。
「ディーセントワーク署名」も武器に、労働者派遣法の抜本改正、有期雇用規制の強化、正規と非正規の均等待遇を拡充するパート労働法改正への要求反映を求め、政府と国会に向けた取り組みをあらためて強める。
これらの課題での取り組みの節目を2月10日の中央行動におき、諸行動を配置する。また、4月以降の中央行動の課題に位置付けるとともに、中央行動と連携した全国的な取り組みを具体化する。
1月17日(火)に、中央段階では「春闘闘争宣言」・経団連包囲行動を配置する。この日を集中日に、各地での経営者団体要請行動などに取り組む。
(2) 生計費原則の賃金・所得確保をめざす
1) 職場、産別、地域が力をあわせ、賃金改善をめざした統一闘争を強める。
2011年春闘での到達点や総括、情勢もふまえ、全交渉単位で、(1)春闘討論集会の開催など要求論議を強める、(2)2月中に要求を提出する、(3)実力行使体制を背景に交渉を強化して集中回答日に回答を引き出す、ことの意思統一を職場段階から進める。
要求組織、交渉、行動での産別統一を重視し、全員参加や切実な要求を持つ当事者を先頭に立てた取り組みを徹底して追求する。
一方的な公務員労働者の賃金引き下げを許さないたたかいを官民一体で進める。
2) 国民春闘共闘委員会の統一賃金要求目標としては、アンケート結果をふまえ「誰でも時間額100円以上、月額1万円以上の賃金引き上げ」の水準引き上げと「時間額1000円、日額7500円、月額16万円」の最低基準達成の二つを掲げる。この統一要求目標も参考に、各単産は、「すべての労働者の賃金引き上げで内需拡大を」の立場に立った積極的な要求実現のたたかいに取り組む。
3) 3月中旬を第1次集中回答日とし、2月中には要求書を提出し、3月上旬の交渉日設定をするなど、産別統一行動の強化をはかる。
3月8日に「春闘決起中央行動」を配置し、集中回答日直前のたたかいを意思統一する。
要求実現を勝ち取るため、第1次集中回答日の翌日にストライキなどの実力行使体制を構えて交渉を強める。
第1次集中回答日の翌日を中心に、3月13日の重税反対行動日からの間を「『99%』のための安心社会めざす総行動」とし、春闘期の重点要求を掲げて「50万人以上」が実力行使、宣伝、集会、要請行動などに立ち上がり、地域で「目に見え音が聞こえる春闘」状況を作り出す。
4) 「賃上げこそ内需拡大、震災復興の鍵」の世論を高めるため、総対話に取り組む。
「全国一律最低賃金・時給1,000円実現の運動」として、労働組合、中小零細企業・事業者、業界団体などを対象にした訪問、要請行動を全組織で具体化する。
行動では、「地域の中小企業の振興と労働条件改善への賛同署名」(仮称)や、二つの署名(ディーセントワーク署名と社会保障拡充署名)への協力を要請し、一致する要求での共同を追求する。共同の取り組みの一つとして、「『99%』のための安心社会をめざす総行動」への参加を働きかける。
組織内の取り組みとして、政府あての「時給1000円実現署名」に取り組む。
5) 被災地域での低賃金雇用を許さず、公務関連職場での安定した良質な雇用を実現する課題としても、公契約法・条例の制定や公契約適正化に向けた入札制度改革を位置付け、取り組みを強める。この課題での対政府・自治体への取り組みを、2月中旬の地域総行動の中核の課題に位置付ける。
(3) 労働時間短縮など良質な雇用の実現をめざす
1) 長時間過密労働の是正を求め、必要な要員確保による労働時間短縮をせまる取り組みを強める。
また、サービス残業の根絶をせまる取り組みを強める。
労働時間短縮に向けた協約締結闘争を強化する。
震災復興を口実に強まっている労働時間の規制緩和に反対し、政府追求を強める。
家族的責任を負う労働者の労働時間短縮、休暇・休業制度、次世代育成支援策などの職場への定着に取り組む。
2) 過酷な原発事故被害の状況もふまえ、労働安全衛生基準の改善に取り組む。
電離放射線障害防止規則などの安全基準の順守を求め、安易な規制緩和に反対する。ILO174号条約(大規模産業災害防止条約・未批准)なども参考に、福島原発事故処理等にかかわる労働安全衛生基準の確立要求を強めるとともに、政府に対し必要予算の確保を迫り、東京電力に対する賠償責任追求の運動を強める。
3) 雇用と年金の「すき間」を生じさせないため、働く権利を前提とした生活できる高齢者雇用の実現、退職する権利が保障される年金制度を追求する。
高年齢者雇用安定法改正などによる賃下げ、労働条件改悪、選別なき「雇用と年金の連携」の制度化と、運用具体化を求める取り組みを強める。法案作成、審議段階での政府、国会要請行動を組織する。
4) 公務員労働者の労働基本権の着実な前進、公務労働者の不当解雇の規制など、権利課題での取り組みを進める。
リストラ「合理化」による権利侵害を許さず、NTT11万人リストラ闘争、国鉄闘争の全面解決、社会保険庁の分限解雇撤回闘争、日本航空不当解雇撤回闘争などすべての争議の勝利解決をめざす。
労働委員会・労働側委員の公正任命実現など労働委員会民主化の取り組みを強める。
教育の自由や教育公務員の権利を侵害する大阪府教育基本条例案の成立に反対し、全国的な取り組みを進める。
(4) 「税と社会保障一体改革」反対などでの共同の取り組み前進をめざす
1) 社会保障闘争、増税反対闘争を賃金・所得確保のたたかいとして取り組む。
社会保障、教育などでの「国の責任」を徹底して追及し、要求の一致点での共闘前進をめざす。2月10日の中央行動の主要課題に位置付けて取り組む。
「社会保障拡充署名」を活用し、職場内外での学習、宣伝、共同の拡大を追求する。「子ども子育て新システム導入反対署名」を継続する。
年金給付引き下げなどの社会保障改悪の具体化に反対し、国会行動などに取り組む。
3月中旬の「『99%』のための安心社会めざす総行動」の課題に位置付け、宣伝、集会など世論にアピールする運動の具体化をはかる。
4月以降の法案審議ともかかわって、重要段階での国会行動などを具体化し、国民負担増、所得減反対の取り組みを粘り強く進める。
健康保険組合、協会けんぽ、共済組合の被用者保険の保険料引き上げに反対し、国庫負担増を求める団体要請署名行動を春闘前段に取り組む。
2) 庶民増税、消費税率引き上げに反対し、法人税減税など大企業優遇の是正を求める運動を進める。
大震災復興財源確保を口実にした所得税・住民税増税と法人税率5%減税という逆立ちに抗議し、大企業、大金持ち優遇税制の廃止やキャピタルゲイン課税強化の税制改革などの要求を対置し、「応能負担原則にたった税制」実現の運動を展開する。
税制における大企業優遇の実態を告発して応能負担を求め、庶民増税の労働者への影響を明らかにするため、国民春闘共闘委員会ホームページを活用した「フェアタックスキャンペーン」の開設を検討する。税制改善を求める「新聞投書」などを呼びかける。
庶民増税・消費税率引き上げに反対する一斉宣伝行動を具体化する。
3) TPP参加反対、公害、地球温暖化課題、食料を守る運動などで諸団体との連携と共同を強める。
TPP参加に反対する共同の前進に奮闘する。署名、宣伝、集会、職場・地域での「TPP学習会」を組織する。
4) 原発ゼロをめざす取り組みとも連携し、再生可能な自然エネルギーへの転換を求め、温暖化ガス削減を求める運動を強める。温暖化ガス排出規制にかかわる財界のまきかえしを許さないためにも、CO2の測定運動や公害裁判早期解決の運動への支援を強める。
5) 子ども手当廃止の「三党合意」や高校授業料無償化の廃止に反対する取り組みを進める。給付型奨学金制度の実現など、子どもの貧困対策の拡充を求めて取り組む。
(5) 改憲策動を許さず、核兵器廃絶、安保破棄をめざす
1) 国会の憲法審査会の動向を注視し、その暴走を許さないため適宜行動を配置するなど、憲法改悪反対の取り組みを連携して進める。
小選挙区制の廃止、衆議院比例定数削減反対の署名を推進し、民意切り捨ての議会定数削減に反対する取り組みを進める。
2) 沖縄県民の意思を無視して進められる辺野古沖への米軍基地建設を許さないため、「普天間基地無条件撤去を求める連帯行動」を全国的に取り組む。
4 春闘期から「安心社会をめざす大運動」に取り組む
労働者の状態悪化と政府・財界の攻撃が全面的となっていることをふまえ、2012年春闘を通して、次の三つの課題での取り組みを総合的に展開する。
(1) 第一の課題に、「内需拡大で地域経済守れ」の要求課題での取り組みを位置付ける
大震災、電力不足、円高、自由貿易拡大などを口実とする労働者、中小零細企業・事業者、農漁民への政府・財界の攻撃に、職場・地域から反撃するため、「内需拡大で地域経済守れ」の要求課題をかかげた総対話と共同に全組織が取り組む。
賃金引き上げのたたかいを相互に激励し、ディーセントワーク署名、社会保障拡充署名の二つの署名への賛同、協力要請を国民春闘共闘委員会未加盟組合に行う。
また、二つの署名と「地域の中小企業の振興と労働条件改善への賛同署名」を携え、中小零細企業・事業者、事業者団体への懇談の行動を各組織が目標を持って進める。
「『99%』のための安心社会めざす総行動」を大運動の大きな節目に位置付け、総対話と共同の成果を結集させる。
(2) 第二の課題として、「原発依存、エネルギー浪費社会に決別を求める取り組み」を全国で展開する
原発ゼロの早期決断を政府に迫り、休止中原発の再稼働に反対する「原発ゼロ請願署名運動」、宣伝行動、自治体要請行動を全国で取り組む。
原発立地県・自治体及び周辺自治体に対し、休止中原発の再稼働に反対する要請行動に取り組む。
「原発をなくす全国連絡会」に参加し、「原発ゼロ署名」も活用し、諸団体と共同した取り組みを進める。
再生可能エネルギー開発による雇用拡大、産業育成と、24時間型社会の規制を求めるキャンペーン運動、宣伝行動などの具体化を関連単組と共同して進める。
福島原発事故によるすべての被ばく者援護、除染などの対策強化を求める要求運動に取り組む。政府と東京電力による全面賠償を求めて取り組む。
原発ゼロをめざす共同の取り組みを前進させ、大震災からの早期復興の課題と合わせ、集会、宣伝行動などに取り組む「なくせ原発!震災・原発事故からの復興を!3.11全国一斉行動」(仮称)を成功をめざす。
(3) 第三の課題として、被災者中心、住み続ける地域社会の復興をめざす「震災復興の取り組み」を位置付け、被災地域の組織再建、雇用確保、被災地支援に取り組む
被災地の早期復興をめざす取り組みに連帯し、全国運動を組織する。被災者の生活再建や事業再建への国の財政支援や、地域経済再生のための積極的施策を求めて取り組む。
東日本大震災労働者対策本部や、全国災害対策連絡会などの取り組みと連携し、被災地域の運動に連帯した取り組みを進める。