2012国民春闘共闘情報
全労連HP

第18号 2012年3月15日

2012年春闘・第1回賃上げ集計

回答引出し16.1%
単純平均で5,073円

 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)は15日、前日の集中回答を受け、2012春闘における第1回目の賃金改定集計を行いました。加重平均額で前年同期の水準を上回っています。

<回答状況>

2012年 2011年 2010年
登録組合数 801 810 791
回答組合数 129(16.1%) 102(12.6%) 110(13.9%)
妥結組合数 11(1.4%) 6(0.7%) 14(1.8%)

<回答内容>
集計方法&対象 2012年 2011年 (前年比) 2010年
単純平均 額(円) 5,073 5,161 −88 4,995
率(%) 1.67 1.67 ±0.00 1.53
加重平均 額(円) 4,894 4,868 +26 5,311
率(%) 1.64 1.59 +0.05 1.39
組合員数(人) 39,258 23,415
22,645
※額または率のみの報告があるため、双方は連動しません。

<集計結果の概要>

大震災から1年……ほぼ前年同様の回答水準

 3月14日の統一回答指定日を受けた第1回集計には、別表の13単産・部会から報告をいただきました。3/15時点で有額回答を引き出したのは、登録組合801組織中の129組合で、11組合が妥結しました。回答引出し率は16.1%で、昨年(102組合)、一昨年(110組合)を上回っています。

 単純平均(一組合あたりの平均)は5,073円で前年比88円減、加重平均(組合員一人あたりの平均)は4,894円で前年比26円増となっています。金額明示のある128組織について、それぞれ前年の妥結額と比較すると、前年実績を上回る回答を引出した組織は42組合(前年は40組合)、同額は13組合(前年は16組合)、下回った組織は73組合となっています。平均額と各組織の対前年の傾向からみて、第1次回答の水準は、ほぼ昨年並みといえそうです。

 単産別では、報告を寄せた12組織中、前年同期比でプラスとなった単産・部会は6、マイナスは6です。1万円以上の回答を引き出した組織は8組合(昨年12組合)で、単産では出版労連5組合、JMIU2組合、全農協労連1組合となっています。

 規模別では、「30〜99人」と「1000人以上」の組合でプラス傾向となっています。

“賃金デフレ”を打破するたたかいを!

 第1回集計の特徴としては、(1)昨年に比べて回答引出し率は高い、(2)第1次回答の水準は、ほぼ昨年同様、(3)業種による違いよりも個別組合ごとの違いが大きい、といった点があげられます。

 言うまでもなく、昨年同時期の回答は、集中回答日の直前に東日本大震災が発生し、未曽有の困難のなかでの回答引き出しでした。

 あの時点に比べれば、現在の経済状況は、かなり展望がもてるものとなっているはずです。遅れてはいるものの震災からの復興の局面にあり、ギリシャ・ショックは危機的状況を回避し、円高も落ち着き、株価も上がっています。本来であれば賃金デフレからの脱却が進むべき場面といえます。

 ところが、私たちが直面しているのは、まさに“労働者の権利破壊”が横行する社会状況です。国会では公務員に対する不当賃下げが一方的に強行され、業績好調で莫大な内部留保をもつ大企業を前に、大手労働組合はベースアップ要求を掲げず、一発妥結の回答はベアどころか定期昇給の凍結・見直しにも踏み込まれる状況です。

 賃金デフレが社会におよぼす深刻な弊害が明らかな中にあってもなお、労働組合が要求を自粛し、使用者は賃金抑制をして当然という空気が色濃くあることに十分警戒し、団結を強め、旺盛な取り組みで、誠意ある回答の引出し、上積みをたたかいとる必要があります。

各単産の回答状況(概況)

○建交労:賃金回答を引出したのは35組織です。うち有額回答は30組織、妥結16組織。13組織が前年実績を突破し、12が前年同額。平均では前年を上回っています。有額回答の全国平均は1,613円(前年+151円)。妥結額の平均は1,829円(前年+995円)です。

○JMIU:13日までに89支部分会が有額回答を引き出しています。支部分会平均(単純平均)4,859円(+1.77%)、組合員平均(加重平均)4968円(+1.79%)となっています。前年同期との比較では、支部分会平均が343円減、組合員平均231円減。前年同期を上回ったのは35支部(回答引出し数の42%)、前年同額もしくは下回ったところが49支部(58%)となっています(3/13春闘情報No.3速報版より)。

○日本医労連:回答引出しは90単組で、妥結単組はまだありません。ベースアップ・定期昇給・手当(所定内)を合計した回答平均は5,251円、2.00%です。うち、ベアを勝ち取ったのは7単組(平均額315円・率0.35%)、定昇のみは61単組、定昇+手当は8単組、ベア+定昇+手当は1単組の到達です(3/15回答速報No.7より)。

○出版労連:賃上げ要求への回答を引出したのは50組織、うち、妥結+妥結方向は3組織です(引き出し状況は一昨年時とほぼ同様)。単組平均5,375円(40組織)、35歳モデル賃金要求の平均7,142円(25組織)です。有額回答40組織のうち、1万円台の回答も3組織あります。前年を上回ったのは25%、同額30%、下回ったのは45%で平均額は対前年比−483円となっています。非正規の要求では賃上げ・一時金とも回答引出しはまだ、1単組です(3/14速報No.1より)

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