第20号 2012年3月21日
2012年春闘・第1回進ちょく状況調査
ストを背景に交渉進む
国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)は19日、各単産に加盟する全単組を対象とした第1回の「春闘進ちょく状況」調査を実施し、12単産(2193組合)から報告が寄せられました。
1.要求提出状況
これまでに報告が寄せられたのは、別表の12単産。交渉単位数では2193組合となります。このうち、現段階で要求提出が確認できた組合は1119組合(51.0%)です。今のところは過半数をわずかに超えたという集約状況ですが、2010年、11年同期に比べると、要求提出率はわずかながら増えています。
これを単産別にみると、2組合4部会で集団交渉を行う検数労連をはじめ、全損保、合同繊維が100%、これにJMIUが77.6%(前年同期71.7%)の高率で続いています。
2.スト権確立状況
スト権を確立したのは1023組合(46.6%)です。今の段階では、厳密な比較はできませんが、一昨年、昨年同期に比べて高い水準です。スト権を100%確立しているのは検数労連、全損保、合同繊維で、これに建交労78.9%、JMIU73.5%が続いています。
3.回答引出し状況
要求提出した組合のうち、回答を引出したのは470組合(42.0%)です。昨年同期(532組合、41.4%)とほぼ同じですが、一昨年同期(257組合、31.7%)に比べると大幅に増加しています。
回答引出し率の高い単産は、出版労連(77.1%)、生協労連(76.7%)、全印総連(62.3%)、民放労連(60.2%)などです。
4.回答の内容
回答内容について、<定昇制度あり>の職場からみていくと、「ベア獲得」の26組合に対し、「ベアゼロ」(定昇のみ)回答が122組合と大きく上回り、「定昇凍結・カット」も2組合報告されています。前年同期と比較しても、「ベアゼロ」は30組合増えています。経営状況の厳しさよりも、民間大手の“定昇維持”相場が、使用者側の姿勢に影響を与えている可能性もあり、今後の上積み交渉に力を注ぐ必要があります。
一方、<定昇制度なし>のところでは、「有額獲得」引き出しが74組合、「ゼロ回答」が15組合となっています。ゼロ回答が多いことに注意が必要ですが、「有額獲得」組合は、昨年同期の14組合、一昨年の20組合に比べて大きく上回っており、春闘全体を牽引する重要なリード役となっています。「有額獲得」組合は、単産別では、建交労(32組合)、出版労連(23組合)、全印総連(17組合)で多くみられます。
5.平均賃上げ額・率と妥結状況
回答があった470組合のうち、額または率の提示があったのは412組合です。平均賃上げ額は、単純平均(組合ごとの平均)で5,163円(1.88%)で、昨年同期(4,750円、1.64%)を金額で413円、率で0.24ポイント上回っています。2010年同期(5,574円、1.70%)との比較では、額は411円下回っていますが、賃上げ率では0.18ポイント上回っています。
まだ、全体の回答状況が出そろわない中ではありますが、民放労連(平均8,048円、2.29%)、日本医労連(平均5,246円、1.98%)、全印総連(平均5,103円)が、昨年を上回る賃上げ回答を引き出しており、全国の仲間を励ましています。
なお、この段階で妥結、もしくは妥結方向との報告があがっているのは42組合です。この水準は、昨年(12組合)、一昨年(20組合)同期に比べると多いといえます。
6.スト実施状況
スト実施状況は、3月8日にJMIUが100支部(昨年70支部)で、全国統一行動日の3月15日には日本医労連が70組合で決行したのをはじめ、全農協労連、建交労、生協労連、全印総連、民放労連、出版労連で計190組合(支部・分会)が敢行しました。
今春闘方針では、たたかう構えの強化とストライキの意義について、あらためて確認をしましたが、ストライキを決行した組合は、昨年(136組合)、一昨年(67組合)同期に比べ大幅に増えています。
厳しい回答状況ではありますが、ストライキを背景に、誠意ある積極的な回答を求めてたたかう、仲間の奮闘ぶりがうかがえます。