2012国民春闘共闘情報
全労連HP

第23号 2012年4月3日

2012年春闘・第2回進ちょく状況調査

粘り強い交渉で回答上積み

 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)は3月30日、各単産に加盟する全単組を対象とした第2回目の「春闘進ちょく状況」調査を実施し、18単産(2714組合)から報告が寄せられました。

1.要求提出状況
 これまでに報告が寄せられたのは、別表の18単産。交渉単位数では2714組合となります。このうち、3月31日段階で要求提出が確認できた組合は1699組合(62.6%)で、第1回調査(3月19日)の1119組合から580増えています。2010年同期(51.3%)、11年同期(51.5%)に比べると、要求提出率は10ポイント強上回っています。
 要求提出100%の単産は、第1回調査の検数労連、全損保、合同繊維に、通信労組、郵産労が加わりました。これに全倉運(95.2%)、出版労連(90.7%)が9割台で続き、以下、JMIU(79.4%)、全労連・全国一般(75.0%)、民放労連(71.2%)、特殊法人労連(70.0%)が7割台、建交労(62.7%)、日本医労連(59.1%)、映演労連(57.9%)、全員総連(50.9%)が5割台となっています。第1回調査比では、日本医労連(15.1ポイント)、全農協労連(13.1ポイント)、建設関連(8.9ポイント)、建交労(5.9ポイント)、生協労連(5.4ポイント)、全印総連(3.6ポイント)など各組織で要求提出率が上がっています。

2.ストライキ権確立状況
 スト権を確立したのは1541組合(56.8%)で、第1回調査から518組合・10.2ポイント増えました。東日本大震災の影響でスト権確立を見送らざるを得なかった昨年同期(537組合、17.8%)に比べれば大幅増、一昨年同期と比べても22.5ポイント高い水準となっています。春闘再生・再構築を合言葉に、たたかう構えを強めようと意思統一をはかってきた表れです。
 全単組でのスト権確立は、検数労連、全損保、郵産労、通信労組が達成。これに全労連・全国一般(87.5%)、建交労(77.8%)、映演労連(73.7%)、JMIU(73.5%)が高率で続いています。

3.回答引出し状況
 要求提出した組合のうち、回答を引出したのは741組合(43.6%)で、前回調査から271組合増えました。ただし、昨年同期(713組合、45.9%)よりも要求提出組合が増えているにもかかわらず、回答引出し率は低下しています。ここにも、今春闘の使用者側の厳しい対応が示されています。
 回答引出し率の高い単産は、単一組合の郵産労と通信労組(各100%)、出版労連(81.8%)、民放労連(80.9%)です。生協労連、全印総連、JMIUも6割を超える組合が回答を引き出しています。
 第1回調査との比較では、日本医労連(54組合)、建交労(49組合)、JMIU(27組合)、民放労連(22組合)で回答引出しが増えており、ストライキを背景にした積極的な取り組み状況がうかがえます。

4.回答の内容
 回答内容について、<定昇制度あり>の職場からみていくと、「ベア獲得」の36組合に対し、「ベアゼロ」(定昇のみ)回答が385組合と大きく上回り、「定昇凍結・カット」も9組合報告されています。<定昇制度なし>のところでは、「有額獲得」引き出しが84組合ありますが、「ゼロ回答」も48組合となっています。
 「ベアゼロ・定昇のみ」や「ゼロ回答」が目立つ結果は、2009年、10年のリーマンショックの影響下での春闘を彷彿とさせるほどです。大震災や国際的な経済環境の変化を理由に、業績が良くても「定昇のみ」とする財界の方針が使用者の間に広がり、春闘共闘の仲間たちも、その影響下でのたたかいを強いられていることがうかがえます。
 しかし、それでもたたかって成果をあげている仲間は少なくありません。ベア獲得組合は、出版労連で15組合、日本医労連13組合、民放労連5組合、生協労連2組合、合同繊維1組合となっています。また、定昇制度がない中、「有額獲得」した組合も、建交労では32組合、出版労連で25組合、全印総連で24組合あります。

5.平均賃上げ額・率と妥結状況
 回答があった741組合のうち、額または率の提示があったのは659組合です。平均賃上げ額は、単純平均(組合ごとの平均)で5,021円(1.92%)で、前回調査(5,163円、1.88%)から金額で142円減ながら率では0.04ポイント増となっています。昨年同期(4,954円、1.69%)と比べても、金額で67円、率で0.23ポイント上回り、一昨年同期(4,976円、1.80%)との比較でも、額で45円、賃上げ率では0.12ポイント上回っています。
 引上げ率では、全農協労連、建設関連労連、合同繊維、民放労連、日本医労連が2%台に乗せています。前回調査から建交労(平均157円増)、JMIU(平均331円増)、生協労連(平均282円増)などで平均額の増加が確認されています。JMIUの42支部で回答を上積みさせるなど、粘り強い交渉によって成果をあげています。
 また、郵政の職場では、連合加盟組合がベア要求を見送る中、非正規社員の均等待遇を求める郵産労の運動により、月給制契約社員全員に対して一律月額2,000円の賃上げを勝ち取っています。
 なお、この段階で妥結、もしくは妥結方向との報告があがっているのは105組合です。この水準は昨年同期(47組合)よりは多くなっていますが、一昨年同期(123組合)より減っています。

6.スト実施状況
 ストライキを決行したのは235組合です。前回調査では、3月8日のJMIU、3月15日の日本医労連、全農協労連、建交労、生協労連、全印総連、民放労連、出版労連のスト決行を紹介しましたが、通信労組も3.15統一行動において36都道府県の115事業所で343人の組合員がストライキを実施しました(各事業所で始業時から10時まで、持ち株会社前では正午まで)。また、郵産労は3月19日に10拠点18職場でストを敢行し、郵政ユニオンと共に本社前のスト決行集会を成功させています。スト実施状況については集約中の組織も多く、4月11日〜13日のゾーンでの第2次全国統一行動や映演労連で17日に産別統一ストライキが予定されており、今後増加することが予測されます。

 各単産ともこれからが正念場となり、建設関係、交通運輸、金融保険、映画演劇産業の単産や福祉保育労など多くの中小労組は、これから交渉が本格化します。超円高は解消され、欧州経済危機は遠のき、アメリカの景気先行きは安心感が広がっています。国内では大震災からの復興需要もあるなど、経営を取り巻く環境はリーマンショック時よりも明らかに良好です。ここで賃上げの判断をし、労働者の要求にこたえることや、消費税増税などという愚策を政府に実施させないことこそが、最善の経営判断・最良の投資であることを、使用者に理解してもらわなければなりません。団結を強め、4月11日〜13日の第2次全国統一行動ゾーンを中心に積極的な行動・交渉を展開していきましょう。

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