第25号 2012年4月17日
2012年春闘・制度的諸要求(中間集計(1))
職場要求、国民的課題も前進
国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)はこのほど、今春闘に、おける制度的諸要求(パート等待遇改善、企業内最賃、時短、各種休暇など)の獲得状況をまとめました。4月10日現在、13単産部会のべ380組合から報告が寄せられ、賃上げ要求とあわせた各組織での積極的な取り組みで、非正規の処遇改善、再雇用・定年延長に関する条件改善などの協定化が進んでいます。
●時短関係
時間短縮・休暇・残業関係では、20組合が要求を前進させました。全印総連の職場では「4事業所で月0.7時間」、日本医労連の職場では「1日10分間の所定内労働時間の短縮」を勝ち取っています。休暇関係では、「5日間のボランティア休暇」(全農協労連)、「国民の休日・メーデー・年末年始・5連動日の夏季休暇を新設」(全印総連)、「キャリアリフレッシュ休暇の取得期間拡大」(民放労連)といった制度改善を実現させています。その他、全倉運や出版労連、生協労連、日本医労連の職場でも休日・休暇に関する要求を獲得しています。また、全倉運の職場ではワークライフバランスの実現のため、時間外労働の削減などの推進をはかることが確認され、全農協労連の組合では、「一方的に導入された『1年単位の変形労働時間制』による労働時間の延長を撤回させ、従前の労働時間に戻させた」などディーセントワークの実現に向けた積極的な要求獲得の報告が寄せられています。
●非正規関係
これまでに非正規労働者の正規化を勝ち取った組合は、3組合報告されています(全農協労連1、JMIU2)。非正規の賃上げはJMIU、生協労連、全労連・全国一般、全印総連、出版労連、民放、日本医労連などのべ98組合で獲得しています。生協労連の職場では専門職に月額3,300円、全印総連の職場では有期雇用契約社員に月額2,000円の引上げを実現しています。JMIU(1)、生協労連(3)、全印総連(1)の職場では再雇用者の賃上げを勝ち取りました。
その他の非正規にかかわる要求では、生協労連では多くの職場で期末一時金を獲得し、「一年間の有期契約を期間の定めのない契約に変更」させるなど格差是正に向けた取り組みの前進が伺えます。また、全印総連、出版労連、日本医労連などの職場でも一時金や諸手当を獲得。「有期雇用者のリフレッシュ休暇制度を4日間から5日間へ」(民放労連)、「雇用継続者に週25時間の制度を追加新設」(出版労連)、「介護福祉士の給与に関して介護福祉士資格取得以前のヘルパー業務を前歴評価する」「非正規労働者も病児保育手当1回500円支給」(日本医労連)などの要求を勝ち取っています。
●育児・介護関係
建設関連の組合で「介護・育児などでの有給休暇が2日間取得(時間単位の取得可能)可能」となったのを始め、育児休業関係では、9組合から報告がありました。民放労連の職場では、「育児休業を取得したものに対して、休業の終了の翌月から子が満2歳に達する月まで、育児支援金として月3万円の支給」を新設し、「現行、小学校入学までであった育児時間短縮制度を小学校3年末までとする」(全倉運)、「育児時間短縮を満3歳満了後の年度末までとする」(出版労連、3組合)など多くの職場で育児時間短縮制度の拡充を獲得しています。また、「母性保護について、公的機関のセミナーを含め、学習教育活動に参加できるようにする」「扶養の配偶者を対象に婦人科検診費用補助」「乳がん検査受診費用補助の拡充」(全印総連)など母性保護に関する要求も前進しています。
介護・看護休業関係でも、「5日以内の介護休暇新設」「介護・看護休暇の取得条件拡充」(民放労連)、「介護のための短期休暇制度利用者に賃金・一時金を全額支給する」(出版労連)など、貴重な成果を上げています。
●労災補償・安全衛生
労災補償では、建交労の組合で「事故分担金の過失割合の10%軽減」「労災特別補償上積み」を獲得。安全衛生では、東日本大震災を受け、全農協労連の組合で「全職員に防災グッズの配布」が実施されることとなりました。また、インフルエンザ予防接種費用の補助期間の拡大」(全印総連)「インフルエンザ感染時、3日間の休業補償」(生協労連)「勤務間隔12時間以上への改善検討」(日本医労連)などが報告されています。
●夜勤・雇用継続・退職金・制度政策課題
日本医労連では「夜勤・資格・役職など各種手当の引上げ」を多くの職場で獲得、福岡の組合では「2交替夜勤の2名体制を3名へ改善」させています。建交労、生協労連、出版労連の職場では、雇用継続、雇用延長、雇用者の条件改善を果たしています。退職金の上積みも、建交労、生協労連、全印総連の8組合で獲得されています。
また、全農協労連では山形で「TPP反対のリーフを農協が1,020部以上購入し活用することを確認」。生協労連では「消費税には反対の立場である」「原発に依存しない、持続可能な社会をめざし、原発の廃止を広く市民に呼びかけ、再生可能エネルギーの普及に向け取組む」「TPP問題について、理事会として拙速な交渉参加に反対することを表明し、TPP問題の学習会などに取組む」とした確認を取るなど、職場の要求と国民的課題をかかげる国民春闘共闘の構えが、各組合の取組み・運動により使用者にも一定の理解を得られてきていることが伺えます。