国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)は25日、2012春闘における第4回目の賃金改定集計を行いました。回答引出し率は、35.5%まであがってきました。
<回答状況>
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2012年 |
2011年 |
2010年 |
登録組合数 |
795 |
810 |
790 |
回答組合数 |
282(35.5%) |
253(31.2%) |
287(36.3%) |
うち上積み獲得 |
64(22.7%) |
49(19.4%) |
80(27.9%) |
うち前年実績以上 |
142(50.4%) |
138(54.5%) |
146(50.9%) |
うち妥結組合数 |
126(44.7%) |
102(40.3%) |
110(38.3%) |
<回答内容>
集計方法&対象 |
2012年 |
2011年 |
(前年比) |
2010年 |
単純平均 |
額(円) |
5,316 |
5,448 |
−132 |
5,401 |
率(%) |
1.78 |
1.80 |
−0.02 |
1.74 |
加重平均 |
額(円) |
5,419 |
5,557 |
―138 |
5,788 |
率(%) |
1.82 |
1.80 |
+0.02 |
1.87 |
組合員数(人) |
72,896 |
65,448 |
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77,538 |
*額または率のみの報告があるため、双方は連動しません。
<集計結果の概要>
有額回答引出し率36%
第4回集計には、別表の22単産部会から報告が寄せられました。今回新たに加わったのは、建交労(建設)、全労連・全国一般(卸売・小売業)の2単産部会です。
登録795組合のうち、これまでに有額回答を引き出したのは282組合35.5%です。第3回集計(4月13日時点:259組合32.2%)から23組合3.3ポイント増えました。初回集計(3月15日)からの回答引出し状況の推移は、2010年と同様の傾向となっています。
単純平均5,316円1.78%……前回集計よりややダウン
賃上げ回答の水準は、単純平均(一組合あたりの平均)で5,316 円(1.78%)、加重平均(組合員一人あたりの平均)で5,419円(1.82%)となっています。新しい回答報告が加わる中、水準は額・率ともにやや低下し、第3回集計に比べて単純平均ではマイナス58円・0.03ポイント減、加重平均はマイナス21円・0.02ポイント減となっています。
23%が上積み回答を獲得
とはいえ、初回回答から上積み回答を引き出す努力は、例年を上回るペースで行なわれています。その結果、JMIU、地方マスコミ、検数労連、化学一般労連、建交労・運輸、全倉運、出版労連、日本医労連、建設関連、民放労連、地方登録の組合など64組合22.7%が、数次にわたる交渉の末に上積みを勝ち取っています。この奮闘は、前年同期の49組合(19.4%)を上回っています。
38%が前年妥結額を突破
今回の回答を2011年の同期比でみると、単純平均ではマイナス132円・0.02ポイント減、加重平均ではマイナス138円・0.02ポイント増となります。2010年同期比では、単純平均でマイナス85円・0.04ポイント増、加重平均でマイナス369円・0.05ポイント減となります。平均値でみた回答水準は、2010年をやや下回っています。
しかしながら、前年水準を乗り越えた仲間も少なくありません。前年実績より高い回答を引き出した組織は106組合37.6%(2011年同期98組合、2010年同期113組合)、同額回答の組織は36組合12.8%(同40組合、同33組合)あります。
また、1万円以上の回答を引き出した組織も19組合6.7%(出版労連12組合、JMIU4組合、民放労連2組合、全農協労連1組合)あります。前回集計以降、出版労連で2組合増えています。
このように高い回答を引き出した組合を中心に妥結が進んでいます。すでに妥結した組合は126組合(妥結率44.7%)で、昨年(102組合・4.4ポイント増)、一昨年(110組合・6.4ポイント増)より妥結率は5ポイント前後高く、早期に解決する傾向がみられます。
単産部会別・規模別の傾向
単産部会別では、2011年との同期比較が可能な21組織のうち、単純平均金額で前年比プラスとなった単産部会は11、マイナスは10です。
震災前年の2010年同期と比べると(比較対象は21組織)、プラスとなった単産部会は9、マイナスは12です。プラス組合は、検数労連(2010年同期比2,147円増)、民放労連(同1,533円増)、出版労連(同1,000円増)、建交労・製造(同1,000円増)などです。
規模別では、軒並み厳しい状況が続いていますが、「30〜99人」の組合では、2011年同期比170円増、10年同期比319円増と、全体を牽引する回答を引き出しています。
パート賃上げ平均9.1円…二桁まであと一歩!
パート・アルバイト等の賃上げは、前回集計から11組合増え、7単産120 組合が引上げを獲得しています。出版労連(3組合)から新たに報告が寄せられ、生協労連(前回より4組合増)、日本医労連(4組合増)で獲得数を増加させています。これは昨年同期(5単産88組合)を上回っていますが、一昨年同期(11単産218組合)に比べるとまだ、報告が少ない状況です。
時間額の引上げは単純平均で9.1円(0.52%)です。前回調査の8.8円(0.42%)から0.3 円(0.10ポイント)増加し、集計を重ねるごとに増加しています。新たに報告が寄せられた出版労連の職場では2.0%、日本医労連は埼玉で時間額50円の引上げを獲得しています。
企業内最低賃金の改定は7単産40組合から報告が寄せられました。時間額(換算)1000円を超える最賃協定は建交労、全印総連、化学一般、出版労連などで締結されています。法定最賃闘争を加速させるためにも1000円を超える最賃協定の普及が急がれます。
協定の引上げ幅では、出版労連の組合で、時間額40円(4.55%)の引上げで920円を勝ち取っています。日本医労連では鹿児島(地域別最賃647円)で「誰でも時間額740円以上」の協定を結んでいます。