2012国民春闘共闘情報
全労連HP

第29号 2012年5月10日

2012年春闘・第3回進ちょく状況調査

単純平均261円UP 5,281円

 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)は5月8日、各単産に加盟する全単組を対象とした第3回目の「春闘進ちょく状況」調査を実施し、21単産(3712組合)から報告が寄せられました。

1.要求提出状況

 これまでに報告が寄せられたのは、別表の21単産。交渉単位数では3712組合となり、4月以降に交渉が本格化した自交総連、金融労連、福祉保育労から新たに報告が寄せられました。このうち、5月8日段階で要求提出が確認できた組合は2342組合(63.1%)で、第2回調査(3月30日)の1699組合から643組合(1.1ポイント)増えています。2010年同期(61.6%)、11年同期(56.6%)に比べると、要求提出率は上回っています。
 検数労連、全損保、合同繊維、通信労組、郵産労、特殊法人労連の6単産が要求提出100%。これに全倉運(97.6%)が続き、出版労連(89.8%)、金融労連(88.7%)、民放労連(84.8%)、が8割台、JMIU(79.4%)、映演労連(76.5%)、全労連・全国一般(75.0%)、建交労(71.3%)が7割台、日本医労連(67.0%)、自交総連(59.8%)、全印総連(55.5%)、全農協労連(53.8%)が5割以上となっています。
 第2回調査に比べて顕著に要求提出率が上昇しているのは、特殊法人労連(30.0ポイント増)、映演労連(18.6ポイント増)、全農協労連(17.1ポイント増)、民放労連(13.6ポイント増)、建設関連労連(11.1ポイント増)、生協労連(10.0ポイント増)などです。

2.ストライキ権確立状況

 スト権を確立したのは1585組合(58.2%)で、第2回調査から44組合・1.4ポイント増えました。昨年同期に比べると40.7ポイント、一昨年同期と比べても6.9ポイント上回っています。全単組でのスト権確立を達成したのは、検数労連、全損保、郵産労、通信労組です。これに全労連・全国一般(87.5%)、映演労連(82.4%)、建交労(78.4%)、JMIU(73.5%)が高率で続いています。

3.回答引出し状況

 回答を引出したのは1257組合で、要求を提出した組合の53.7%に達し、前回調査から516組合(10.1ポイント)増えました。
 単産別で比較可能な2010年同期の引出し率を上回っているのは、全農協労連、建交労、JMIU、合同繊維、自交総連、生協労連、全印総連、民放労連、出版労連、映演労連、日本医労連、福祉保育労の12単産です。引出し率100%の検数労連、郵産労、通信労組と合せると7割以上の単産となります。
 また、第2回調査時から各単産で回答引出しが増えており、4月10日の第2次集中回答日を節目に、取り組みの再強化と4月から交渉が本格化した組合での力強いたたかいがうかがえます。

4.回答の内容

 回答内容について、<定昇制度あり>の職場からみていくと、「ベア獲得」の55組合に対し、「ベアゼロ」(定昇のみ)回答が504組合と大きく上回り、「定昇凍結・カット」も37組合報告されています。<定昇制度なし>のところでは、「有額獲得」引き出しが82組合ありますが、「ゼロ回答」も44組合、賃下げの回答も3組合報告されています。
 全損保の職場では、各経営が決算指標の悪化を強調し、金融でも回答延期が多数でているなど、財界の「ベア論外、定昇の延期・凍結も」という低額抑え込みが猛威をふるっています。また、大阪の福祉職場では補助金の引き下げ案を理由に賃下げ提案がなされ、政府・自治体の構造改革路線の巻き返しの影響が深刻です。
 しかし、こうした中でも、ベア獲得組合はあり、日本医労連23組合、出版労連15組合、民放労連5組合、生協労連8組合、全農協労連3組合、全倉運1組合となっています。また、定昇制度がない中、「有額獲得」した組合も、全印総連で37組合、出版労連で32組合、合同繊維3組合、映演労連5組合、JMIU2組合、全損保、民放労連、日本医労連各1組合あります。
 本気で「春闘再生」をめざして奮闘するJMIUでは、生活を土台にした要求づくり、職場討議での全員発言や一言メッセージの取り組みの前進で、青年を中心に生活悪化の実態、経営姿勢などへの怒りが要求となり、茨城の職場では「有額獲得」に若年者の賃金是正も勝ち取っています。生協労連・福島の職場では全職員でのたたかいで正規、嘱託、パートのすべてのなかまのベア獲得をしました。日本医労連では三重で手当を基本給に組み入れさせ「月1万円の基本給アップ」を勝ち取るなど、財界・経営の攻撃を跳ね返す動きも出ています。 

5.平均賃上げ額・率と妥結状況

 回答があった1257組合のうち、額または率の提示があったのは1039組合です。平均賃上げ額は、単純平均(組合ごとの平均)で5、281円(2.01%)で前回調査(5,021円、1.92%)から261円・0.09ポイント増となっています。一昨年同期(4,877円、1.82%)との比較では、額で404円、賃上げ率では0.19ポイント上回っています。
 引上げ率では、全農協労連、民放労連、日本医労連が2%台に乗せています。前回調査から全農協労連が平均3,569円の大幅増、建交労(平均408円増)、全倉運(平均204円増)、生協労連(平均527円増)、出版労連(平均560円増)、日本医労連(平均58円増)などで平均額の増加が確認されています。
 なお、この段階で妥結、もしくは妥結方向との報告があがっているのは517組合(22.1%)です。この水準は昨年同期(285組合、15.4%)、一昨年同期(337組合、13・5%)から大きく増えています。これは、4月の第2次統一行動ゾーンを節目に、4月中の決着をめざして各単産・単組がとりくみを強化した結果だと言えます。

6.スト実施状況

 ストライキを決行したのは265組合(9.1%)です。前回調査の235組合(8.7%)から30組合、0.4ポイント増となっています。検数労連では港湾全体でのストライキに参加し、賃金要求の追い上げを図りました。民放労連では、4月段階で新たに4組合がストライキを決行しました。映演労連では、12春闘要求の実現と産別統一労協・パワハラ防止規定の締結、リストラ合理化反対などを求めて、各労組でオルグ交換などを行いながら、4月17日に産別統一ストライキを決行しました。
 すでに春闘決着した単産や職場も多数出てきていますが、建設関係、交通運輸、金融保険、映画演劇産業の単産や福祉保育労など多くの中小労組は、交渉が本格化されはじめ、たたかいのヤマ場を迎えようとしています。
 また、通信労組の職場では、50歳雇用選択制度の廃止と引き換えに賃金切り下げ改悪が目論まれ、国会では郵政民営化改革法案や有期労働契約法案、高年齢者雇用安定法案など労働者の雇用・賃金に直接関わる法案が上程され、税と社会保障の一体改悪による消費税増税法案や年金大改悪、子ども子育て新システムなど国民生活を脅かす法案が重要局面を迎えています。電気料金の値上げ、原油の高騰などを理由に経営の巻き返しも考えられます。
 運動の力で大きなうねりを作り出し、職場の要求、国民的要求の二方面からのたたかいを強め、12春闘要求追い上げを図り、夏季一時金闘争にもつなげて行きましょう。

5・25中央行動(第1次最賃デー)

 12:00〜12:50 厚生労働省前・人事院前要求行動
 13:10〜14:00 中央総決起集会(日比谷野外音楽堂)
 14:10〜     国会請願デモ
 15:20〜     国会議員要請

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