第32号 2012年5月29日
安心して働き、暮らせる社会を
5・25中央行動 第1次最賃デー
全労連・国民春闘共闘委員会は25日、東京春闘共闘と共同で「諸要求実現5・25中央行動」にとりくみました。正午からの「厚労省前要求行動」につづき、1500人が参加し、日比谷野外音楽堂での「中央総決起集会」、国会に向けてのデモ行進、国会議員要請を行いました。総決起集会に先駆けて、国公労連が「公務員賃下げ」違憲訴訟行動・総務省前要求行動、年金者組合が「年金引下げ反対厚労省前要求行動」を行うなど、旺盛なとりくみが終日展開されました。
厚労省・人事院前要求行動
全国一律最低賃金の実現・最低賃金改善・年金大改悪反対
厚生労働省・人事院への要求行動では、公務・民間の600人の仲間が旗を掲げて集まりました。
国民春闘共闘・伊藤潤一代表幹事(東京地評議長)が主催者あいさつし、「GDPは回復傾向というが、労働者の賃金は下がり続けている。最低賃金をせめて1,000円以上にすることは切実な要求だが、実態はほど遠い。そのうえに消費税増税は断じて認められない。暑い時期のたたかいとなるが、みんなで元気にがんばろう」と呼びかけました。
昨年は、最低賃金引き上げゼロを主張する財界の意向を反映し、きわめて低額な目安額に抑え込まれ、今年も使用者側は最賃改善を求める声に背をむけていること、被災地では最賃すれすれに据え置かれ、貧困ビジネスもはびこっていることなど、最低賃金をめぐる情勢を国民春闘共闘の伊藤圭一事務局次長が情勢報告。
決意表明では、みやぎ生協労連の伊藤澄枝副委員長が「被災地の生活再建にはまともな賃金が必要だ」と強調。「公務職場の非正規労働者が増大し、6割以上が年収200万円以下だ。パート労働法の対象外となり、自治体がワーキング・プアを生み出している。最賃引き上げにがんばる」(自治労連千葉県本部の西執行委員)、「滋賀県議会で手当切り下げの条例が、労使交渉もなく議員によって提案された。県議会で一度は可決されたが、知事が反対し異例の再議となり、全会派に要請行動を行い、廃案に追い込んだ。権利無視の不当な攻撃は許さない」(全教・滋賀県教組の石田孝浩書記長)、「青年部が1ヵ月最低賃金生活体験を行ったが、1ヵ月乗り切れた人からは『食べて・寝るだけの生活しか出来なかった』『このまま続けていたら自殺したくなる』などの感想が出た。今の最低賃金では人間らしい生活がなどとても出来ない」(愛労連・龍尾由美子さん)、全労連・全国一般の林博義書記長は、「中小企業憲章に基づいた中小企業支援と一体で、全国一律最低賃金の実現と最低賃金の大幅引き上げをしろ」と訴えました。
諸要求実現5・25総決起集会
安心して働き、暮らせる社会の実現を!
小雨が降る中、1500人の仲間が日比谷野外音楽堂に集結。主催者あいさつに立った国民春闘共闘・大黒作治代表幹事(全労連議長)は、「私達は、ほんの一握りの大企業や資産家優遇の税制を改め、ズタズタにされた社会保障制度を修復し、軍事費や米軍の思いやり予算、原発関連予算など無駄を削減するよう求めてきました。」「景気回復を図るために、賃上げと最賃の引き上げ、増え続ける非正規労働者やワーキング・プアを解消し、何よりも若者に正規で働く場を提供し、食と農業、中小企業を守る道を追求して安定した雇用を確保すること。国内産業・国民サービスを拡充して内需拡大に向けて大きく舵を切る。この道こそ確かな未来を切り開く鍵なのです」と呼びかけ、この集会に先駆けて国公労連が行った、公務員賃下げの違憲訴訟に対し「この訴訟を勝ち抜くために全国の皆さんに支援を呼びかけます」と力強く訴えました。
日本共産党から塩川鉄也衆議院議員、全国食健連から木村一彦・群馬農民連会長が連帯あいさつ、12春闘の状況を中心に情勢報告をした国民春闘共闘・小田川義和事務局長(全労連事務局長)につづき、3人の仲間が決意を表明しました。
全国福祉保育労からは高橋圭さんが「保育園では、全体的に賃金が低く、契約が更新されるか不安な非正規職員が増えている。今の労働契約法の動きでは職員の入れ替わりが更に激しくなる。子ども・保護者・職員が安心できる保育を実現し、子ども達に誇れる未来を、今の大人である我々が守りましょう」と非正規で働く保育士の切実な思いを訴えました。つづいて、国公労連の仲間たちが壇上に上がり、代表して発言した広瀬由美中央執行委員は「私たち国家公務員も労働者なのに、憲法により全ての労働者に保障されている労働基本権が一方的に剥奪されている。その代償措置である『人事院勧告』を無視し、議員立法により強行成立された賃下げ法は憲法違反です」と訴訟に踏み出した経緯を報告。「今やるべきは、格差の是正、震災からの復旧・復興のための公務・公共サービスの拡充です。賃下げのスパイラルを断ち切り、すべての労働者の賃上げで景気回復を求めて、皆さんと一緒にたたかっていきます」と力強くたたかう決意を表明し、福島県労連・斎藤富春議長は、未だに復旧が進んでいない被災地の現状と昨年1円しか上がらず、わずか658円という最低賃金が復興事業での多重下請け構造を後押ししていることを告発しました。
国民春闘共闘・国分博文代表幹事(全農協労連議長)の音頭で団結ガンバローを行い、思いを一つにした参加者は、国会に向けデモ行進に出発、「安心して働きくらせる社会の実現を求めて」議員要請を行い、行動を締めくくりました。
東京地裁前訴訟行動
国公労連「公務員賃下げ違憲訴訟」に241人が提訴
国公労連は、憲法違反の「賃下げ法」を司法の場に問うため、「公務員賃下げ違憲訴訟」を東京地裁に提訴しました。地裁前の行動では、宮垣忠国公労連中央執行委員長が主催者あいさつし、国民とも共同して裁判をたたかい、すべての労働者の雇用確保と労働基本権の全面回復を求めると力強く決意をのべました。
訴訟弁護団の萩尾弁護士が訴訟内容について報告したあと、全労連の大黒作治議長と東京地評の伊藤潤一議長が激励あいさつに立ちました。
241人の原告団を代表して全法務・愛知県国公の空(そら)議長が、「3万円を超える大幅な給与の減額には妻も驚いている。怒りを通り越して悲しくなってくる。法治国家での国による犯罪だ。さっそく名古屋駅頭宣伝などを配置している。がんばりたい」と決意を表明しました。
東京地裁前には公務・民間の各単産も駆けつけ、複数のテレビ局をはじめマスコミが取材に訪れ、メディアからも注目を集めました。提訴後は、原告団が司法記者クラブや労働記者クラブで会見し、あらためて賃下げの不当性を訴えました。
東京地裁前の行動につづいて、国家公務員に「準拠」して独立行政法人等で狙われる賃下げ反対、「地域主権改革」反対、公務・公共サービスの拡充を求めて総務省前の要求行動にとりくみました。(公務ネットニュース No946より)
厚労省要請
早期に全国一律最賃1,000円以上を!
第1次最賃デーに位置付けた同日、「最低賃金の大幅な引き上げと地域格差の是正のための全国一律最低賃金制を求めて」厚労省に署名提出・要請を行い、最賃キャラバンを行った東北ブロックを中心に13人が要請団として交渉に入りました。
はじめに、全国から寄せられた署名を(個人署名30,170筆、団体署名673筆)生協しずおか労組の佐伯かおりさんが代表して提出しました。
要請団からは「昨年、青森県では2円上がったが、このペースで行ったら、政労使合意の800円に到達するのは77年かかり、1,000円に到達するのは174年かかる」(青森県労連・今正則さん)、「働くのであれば生計費に基づいて最低の暮らしが出来るように努力をしてほしい」(コープ鹿児島労組・福丸裕子さん)、「一人ひとりの県民、労働者が仕事に就いて、その仕事で家族を養えるという水準を作っていかなければ、福島の復興はありえない」(福島県労連・斎藤富春議長)、「被災地の現場では14次下請けまであるのが現状で、最賃がピンハネの構造を作っている」(岩手医労連・鈴木哲夫書記長)「山形県経営者協会の専務理事は、『昨年37経営者協会が最賃を上げるなという意見をあげている様であるが、東北は大半その様な態度は取っていない』と言っている」など各地での懇談の状況や切実な要求が出され、意見交換がされました。
医療労働者
安心・安全な医療を求めて
250人を超える医療労働者が一堂に会し、「看護師の大幅増員・夜勤改善・地域医療の再生などを求め」意思統一集会、議員要請、署名提出行動を展開しました。(主催:日本医労連、自治労連、全大教)
意思統一集会で講演した労働ジャーナリストの小林美希さんは、「いま看護ケアとは何か、看護師とは何かが問われる歴史的な分岐点にきている」「特定看護師制度は穴だらけで、制度が出来てしまえば影響は大きい。世論をつくるのは現場の声です。みなさんの頑張りにかかっている」とエールを送りました。
東京労働局要請・宣伝
最賃改善を!チラシ1,000枚配布
東京春闘共闘は「全国一律最低賃金1,000円以上」を求め、東京労働局に対し要請・宣伝行動を行いました。8時15分から開始した早朝宣伝には30人を超える仲間が集まりました。
道行く人々、出勤する労働局職員に、青年、ハイタク労働者、自治体労働者、商業・流通関係労働者の代表がアピールし、1,000枚の最賃チラシを配布しました。
宣伝後行われた交渉には29人が参加し「普通に働いて生活できる賃金を」「きちんと実態調査をし、中賃にもデータを上げていく必要がある」「格差は広がる一方だ」「全労連系を排除するのではなく、公正な専門部会委員の任命を」など訴えました。
年金引下げ反対
国民の生活を壊すな!
若者の未来のためにも「年金の引き下げを許さないたたかい」を展開する年金者組合は、総決起集会に先立って、子どもから高齢者まで生存権が脅かされ、憲法が定める『社会保障』での国の責任をなくし自己責任に変える、「社会保障と税の一体改悪」・年金の引下げ・消費税増税に対して『断固反対』の声を厚労省に響き渡らせました。
300人の参加者は、日比谷野外音楽堂で意志統一集会を実施し、「一体改悪反対」のアピールを採択しました。そして、5月30日に大阪から出発し22日間かけ東京まで行う、『少年に夢を、青年に雇用を、障害者に光を、高齢者に安心を、命かがやく社会を願う年金者組合の行進』(かがやけ命の行進)へ向け団結を固め合いました。
また、厚生労働委員となっている国会議員に「年金額2.5%の削減中止」「年金制度の改悪に反対し、受給資格期間の短縮は無条件で直ちに実施すること」を求める要請行動を行いました。