国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)は5日、各単産に加盟する全単組を対象とした第4回目の「春闘進ちょく状況」調査を実施し、22単産(3809組合)から報告が寄せられました。
1.要求提出状況
報告が寄せられたのは、別表の22単産です。化学一般労連からの新たな報告も含め、交渉単位数は3809組合となりました。このうち、6月5日段階で要求提出が確認できた組合は2521組合・66.0%で、第3回調査(5月8日時点)の2342組合・63.1%から179組合・3.0ポイント増えています。要求提出率は大震災の起きた昨年同期(61.4%)を上回りましたが、まだ、2010年(65.8%)を大きく超える水準とはなっていません。
要求提出100%を達成しているのは6単産(検数労連、全損保、合同繊維、通信労組、郵産労、特殊法人労連)で、これに金融労連(98.6%)、全倉運(97.6%)が高率で続き、出版労連(89.8%)、民放労連(85.6%)が8割台、JMIU(79.4%)、化学一般労連(78.6%)、映演労連(76.5%)、建交労(75.2%)、全労連・全国一般(75.0%)、日本医労連(72.9%)、が7割台、自交総連(61.9%)、全印総連(58.7%)、全農協労連(57.7%)が6割前後となっています。建設関連労連(44.4%)、生協労連(43.3%)も4割台に乗せました。
第3回(5月8日)調査に比べて顕著に要求提出率が上昇しているのは、建設関連労連(22.2ポイント増)、金融労連(9.9ポイント増)、日本医労連(5.9ポイント増)などです。
2.ストライキ権確立状況
スト権を確立したのは1691組合・58.3%で、第3回調査から106組合・0.1ポイント増えました。昨年同期に比べると19.9ポイント、一昨年同期と比べても3.9ポイント上回っています。検数労連、全損保、郵産労、通信労組が全単組でスト権を確立し、これに全労連・全国一般(87.5%)、映演労連(82.4%)、建交労(77.0%)、JMIU(73.5%)が高率で続いています。
単産別で見ると、化学一般労連(昨年同期比41組合・41.8ポイント増、一昨年同期比41組合・43.2ポイント増)、全倉運(同7組合・18.7ポイント増、同プラス7組合・18.7ポイント増)、日本医労連(同29組合・3.2ポイント増、同42組合・9.7ポイント増)などが昨年、一昨年同期を上回っています。
3.回答引出し状況
要求提出をした2521組合のうち1622組合・64.5%が回答を引き出しています。5月8日の調査以降に回答を引き出した組合は365組合(10.8ポイント増)です。単産別にみると、全損保(8組合・74.2ポイント増)、金融労連(31組合・45.5ポイント増)、映演労連(4組合・30.7ポイント増)、全農協労連(33組合・19.1ポイント増)、建交労(107組合・18.4ポイント増)、建設関連労連(11組合・15.0ポイント増)、自交総連(29組合・13.0ポイント増)、日本医労連(59組合・11.0ポイント増)などが回答引出し数を増やしています。金融・保険関係、建設関係、ハイタク関係など、春闘後半に力点をおく組合で、着実に回答引出しが行われていることが確認できます。
4.回答の内容
<定昇制度あり>の職場からみていくと、「ベースアップ獲得」が81組合、「ベアゼロ」(定昇のみ)回答が660組合あるものの、「定昇凍結・カット」も36組合報告されています。<定昇制度なし>のところでは、「有額獲得」引き出しが122組合あるものの、「ゼロ回答」が50組合、賃下げ回答も3組合、報告されています。
国家公務員賃下げ特例法の影響で、特殊法人労連の職場には、国家公務員準拠の平均7.8%相当の賃下げ提案が4組合になされ、これを許さないたたかいが現在も続いています。
今春闘では、経団連が「ベア論外・定昇凍結論」を打ち出し、連合大手もベア要求を放棄する中、逆風に負けないたたかいにより、日本医労連30組合、出版労連15組合、民放労連8組合、全損保7組合、全農協労連7組合、化学一般労連4組合、生協労連3組合、全倉運2組合、金融労連2組合、建設関連、合同繊維、映演労連で各1組合の計81組合からベア獲得の報告が寄せられています。また、定昇制度がない中、「有額獲得」した組合も、全印総連で40組合、化学一般労連36組合、出版労連32組合、映演労連8組合、合同繊維3組合、建設関連労連、全損保、民放労連で各1組合あります。
5.平均賃上げ額・率と妥結状況
回答があった1622組合のうち、額または率の提示があったのは1343組合です。平均賃上げ額は、単純平均(組合ごとの平均)で4,692円・1.94%で前回調査5、281円・2.01%から589円・0.07ポイント減となっています。昨年同期(4,661円・1.71%)から31円・2.3ポイント増、一昨年同期(4,847円、1.82%)との比較では、額でマイナス155円となっていますが、賃上げ率では0.12ポイント上回っています。
昨年同期と比較が可能な15単産のうち10単産(全農協労連1,672円増、合同繊維746円増、全印総連739円増、民放労連415円増、JMIU373円増、映演労連313円増、生協労連205円増、金融労連187円増、出版労連143円増、化学一般労連57円増)が昨年を上回る回答平均を引き出しています。また、一昨年同期比では14単産のうち8単産(検数労連2,152円増、JMIU976円増、民放労連869円増、金融労連634円増、化学一般労連412円増、全印総連293円増、出版労連228円増全倉運80円増)が回答平均を引き上げています。
この段階で妥結、もしくは妥結方向との報告があがっているのは821組合・32.6%で、昨年同期(33.3%)とほぼ同水準、一昨年同期(26.0%)よりも増えています。
検数労連、郵産労は全組織で決着をし、3月から4月をヤマ場にたたかった組合でも決着が進んでいます。後半戦をたたかう組合でも妥結の報告が上がり始めていますが、他方で要求提出した組合のうち6割以上が未決着であり、たたかいが継続している状況です。
6.スト実施状況
ストライキを決行したのは277組合・9.0%で前回調査の265組合・9.1%からプラス12組合・0.1ポイント減となっています。東日本大震災の影響下でたたかった昨年同期より72組合・3.1ポイント増となりましたが、一昨年同期と比べると158組合・14.7ポイント減となっています
単産別では、JMIU兵庫地本がリレーストを実施、京滋・草津電機支部が久しぶりのストに決起するなど、のべ100支部が決行しました。建交労では、JR東日本関連子会社の環境アクセス分会東京と愛知保育パート支部が初めてストを実施しました。
日本医労連では、全国統一行動日の3月15日を中心に68組合がスト実施、通信労組も3・15統一行動において36都道府県の115事業所で343人の組合員がストを実施しました。
郵産労は3月19日に10拠点18職場でストを敢行し、郵政ユニオンと共に本社前のスト決行集会を成功させています。検数労連は港湾全体の数次のストに参加し、賃金要求の追い上げを図り、映演労連では、4月17日に産別統一ストを決行。全印総連では繊研新聞労組や愛知地連中部共同印刷労組での始業時ストなど12組合が実施。全農協労連、出版労連、民放労連、生協労連などでもストライキに立ち上がり、要求の前進を図りました。
会期末の国会では、民主党内の分裂が浮上する一方、民主・自民の連携で消費税増税法案や年金大改悪、子ども子育て新システムなどの悪法を可決させる動きも加速しています。また、夏季闘争では、中央最低賃金審議会が開始目前となり、人事院勧告と併せ、公務民間一体での行動が取り組まれます。12春闘の早期妥結と夏季一時金闘争の前進、最賃・人勧闘争の飛躍、国民的要求の前進に力をつくしましょう。