2012国民春闘共闘情報
全労連HP

第36号 2012年6月15日

2012年春闘・制度的諸要求(中間集計③)

昨年・一昨年同期を上回り
要求前進1,318件

 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)は8日に、第3回制度的諸要求(パート等待遇改善、企業内最賃、時短、各種休暇など)の獲得状況調査を行いました。18単産部会4地方640組織(連合会・単組・支部等の交渉単位)から報告が寄せられ、賃上げ要求とあわせた各組織での積極的な取り組みで、1318件の条件改善を獲得しています。

●時短関係

 時間短縮・休暇・残業関係では、前回調査(5月11日)の75件から129件へと要求獲得数を前進させました。労働時間についての要求では、休日休暇関係で多くの成果があがっています。例えば、「年間休日6日増(年間44時間分)」(JMIU)、「2日間の特別休暇」(全労連・全国一般)、「年末年始休日1日増」(映演労連)、「勤続10年リフレッシュ休暇の新設」(日本医労連)などで、68組織が76件の制度改善を新たに実現させています。時間外労働の削減要求では、「管理職の時間外支給範囲拡大」(全農協労連)、「時間外の朝礼に賃金支払い」(JMIU)、「残業削減に向け『ノー残業デイ』を含め協議」(日本医労連)、「深夜・徹夜残業の削減および連続勤務の抑制」(建設関連労連)など29件の報告が寄せられています。「所定労働時間の短縮」は、建交労、JMIU、全印総連、日本医労連の職場で勝ち取っています。

●非正規関係

 非正規労働者の労働条件については、95組織から125件の改善報告が届いており、中には正規化を勝ち取った仲間もいます。今回の調査では、全農協労連の職場で4名が正社員登用された事例と、福祉保育労の職場で正規採用試験を経て臨職・パートより2名が採用された事例が加わりました。これで、今春闘で非正規の正規化を勝ち取った組合は、7単産部会13組合となりました(JMIU4、全農協労連3、生協労連2、建交労1、郵産労1、日本医労連1、福祉保育労1)。
 非正規の賃上げ獲得検数は生協労連で112件、全労連・全国一般で39件、日本医労連で32件など前回調査(148件)から248件と倍増しています。建交労の学童保育の職場で時間額50円増、日本医労連ではヘルパー職員の時間額50円・5%増、福祉保育労では大阪で時間額1,020円を引き出すなどの賃上げを獲得しています。
 その他の非正規にかかわる要求では、「有期雇用契約の契約期間延長」(全農協労連)、「非正規社員の通勤費支給」(通信労組)、「パート社員への夏季一時金を1.12ヵ月支給」(岡山)など昨年同期(93件)、一昨年同期(105件)を上回る125件の要求を勝ち取っています。
 この間の最低賃金引き上げや均等待遇を求める運動の成果が表れる結果といえます。

●最低賃金・年齢保障・初任給関係

 企業内最賃協定の新設・改善は、102組織で120件が獲得されています。「月額192,300円」(建交労)、「月額190,000円」(JMIU)、「時給1,030円」(全印総連)など、時給1,000円以上の最賃協定を締結した仲間も増えています。
 昨年は、東日本大震災を理由に、被災地の法定最賃の引き上げは「1円」にとどめられましたが、全農協労連、自交総連、生協労連、日本医労連からは、被災地での企業内最賃を引き上げたと報告が寄せられており、6月26日に審議が開始される予定の法定最賃引き上げを後押しする結果を引き出しています。単産別にみると、建交労で63件獲得したのを始め、JMIU(3)、福祉保育労(2)、自交総連(1)、全労連・全国一般(1)、日本医労連(1)で最低保障賃金要求が前進しています。
 また、「初任給引上げ」(全農協労連)、「若年層・中途採用者への格差是正」(JMIU)、「57歳以降の賃金減額幅を改善」(全倉運)など初任給増額などによる格差是正を獲得したのは35件となり、昨年同期(11件)、一昨年同期(16件)から大幅に増えています。

●社会保険負担割合

 「2%の負担減」(JMIU)、「社会保険労使負担率7:3に回復」(全印総連)など社会保険負担割合の改善も3組織で勝ち取っています。

●育児・介護関係

 育児休業関係では、「育児休業1年6か月まで取得の条件を緩和」(日本医労連)、「育児休業後、復職の職場は休業直前の部署とする」(出版労連)など20組織20件、介護・看護休業関係では「子の看護休暇、介護休暇の有給を協定する」(日本医労連)など9組織13件、母性保護関係では「40歳以上女性社員乳ガン・子宮ガン検診補助」(建交労)など7組織8件の報告が寄せられました。

●労災補償・安全衛生

 労災補償は、JMIUから新たに7件の報告が寄せられ、10件になりました。安全衛生関係は昨年同期(21件)、一昨年(33件)から大幅に前進し、「メンタルヘルスチェックの実施」(全農協労連)、「産別安全パトロールの受け入れ」(JMIU)、「夜勤回数については月8日以内を守れるように配置転換していく」(日本医労連)など職場内の環境整備・改善に加え、心と体のケアに関する要求も多くの職場で実現させています。

●夜勤・雇用継続・退職金・制度政策課題

 賃金引き上げと併せて雇用と仕事の確保が求められる中、人員増(25件)、雇用保障(5件)、定年・雇用延長など(37件)の要求が前進しています。早急に看護師増員が求められる日本医労連の職場では5組織で増員を獲得。年金と雇用の隙間を作らないたたかいも進んでおり、「65歳までの雇用協定締結」(自交総連)、「65歳まで希望者全員雇用」(JMIU)など昨年・一昨年同期を上回る要求獲得を実現しています。
 また、退職金に関する要求も前進しており、18件の上積みを獲得しています。
 財界・大企業が、大震災や欧州財政危機を口実に、春闘を真っ向から否定し、国際競争力を理由に労働者の雇用・労働条件をさらに切り下げるべきであると主張する緊迫した情勢の中、昨年・一昨年同期を上回る1,318件の制度的諸要求の前進を獲得していることは、今春闘の大きな成果だと言えます。
 この成果を、夏季一時金、法定最賃闘争などのバネにして、更なる要求実現のために奮闘して行きましょう。

〜5・25中央行動国会議員要請報告〜

 5月25日(金)の中央行動では、(1)「人間らしく働き生活できる」雇用の実現、(2)労働契約法の一部改正に関する要請、(3)雇用と年金を接続させる制度改正、(4)原発事故の被害者救援とエネルギー政策の転換、(5)消費税中止、大企業や富裕層の課税促進、(6)TPP参加反対の6つの項目に関して賛同し、「ディーセント・ワーク」「原発からの脱却を求める」「消費税増税中止を求める」「TPPへの参加中止を求める」署名の紹介議員になることを求めて国会議員要請を行いました。
 以下、議員から賛同および紹介議員になって頂きましたのでご紹介します。
(敬称略・五十音順)
【社会民主党】照屋寛徳、【日本共産党】赤嶺政賢、井上哲士、市田忠義、笠井亮、紙智子、穀田恵二、佐々木憲昭、志位和夫、塩川鉄也、高橋千鶴子、田村智子、大門実紀史、宮本岳志、山下芳生、吉井英勝【民主党】工藤仁美(ディーセント・ワーク署名)

当面の主な日程
6月20日 国会行動 12:15〜 国会請願デモ(出発:日比谷公園霞門)
3:30〜 消費税阻止院内集会(衆院第二・多目的ホール)
6月22日 最賃中央行動 12:15〜 厚労省前要求行動
13:00〜 ロングラン座込み
6月23日 怒りの6・23国民大集会 12:00〜 明治公園
6月26日 中賃審議会要求宣伝行動 *場所、時間未定
6月29日 第2回単産地方代表者会議 13:30〜 全労連会館2階ホール
7月16日 「7・16さよなら原発10万人集会」 代々木公園
7月25日 第3次最賃デー

国民春闘共闘情報