全労連・国民春闘共闘委員会は22日、中央最低賃金審議会の議論開始を前に、最賃時給1,000円以上の実現と全国一律最賃制の確立、公務員賃金の改善、公契約・公正取引実現などを求めて「6・22最賃統一行動」を展開しました。翌日の「6・23国民大集会」にもあわせ、全国から200人以上の仲間が厚生労働省前に結集しました。
厚労省前要求行動 全国から最賃大幅引き上げを求め
小雨が降る中、正午過ぎからの厚生労働省前昼の要求行動には200人が参加しました。
主催者を代表して、国民春闘共闘・伊藤潤一代表幹事(東京地評議長)があいさつし、「なんとしても低すぎる最低賃金の時給1,000円以上をめざして、大幅に引き上げていくと同時に、全国的に見れば格差が広がって来ている最低賃金を是正させ、全国最低賃金制の確立をめざす運動を強めていかなければならない。また、国家公務員の給与削減を許さないたたかいと民・自・公による消費税の引き上げをさせない運動と世論をつくっていく決意です。」と力を込めて訴えました。
つづいて、国民春闘共闘・伊藤事務局次長が「昨年の中賃目安において被災地を最低ランクの1円にしたことに、労働者だけでなく県の労働政策課などからも異論が出ている」など最低賃金についての情勢報告を行い、単産・地方を代表して5人の方が決意表明を行いました。
国公労連の高木中央執行委員は、5月25日に提訴した賃下げ違憲訴訟に関し「この提訴は、一重に国公労働者の不利益回復に止まるものではなく、直接影響する625万人の民間労働者の方々をはじめ、全ての労働者の賃下げに歯止めをかけ、賃上げによる内需の拡大、景気の好循環を生み出す大きな意義を持つ取り組みだと考えている。国公労連は中央でも地域でも最賃の大幅引き上げの先頭に立って奮闘する」と決意を語り、JMIUの川口副委員長は、『全ての仲間の賃上げ、均等待遇実現』を要求の柱に12春闘をたたかい、10職場で最低賃金の協定化を、10職場でパートタイマーの賃上げを勝ち取った成果を報告し、「政府は、これまで唯一やられていない景気対策である、最低賃金の大幅引き上げ、派遣や非正規の労働者の権利を保障して行く派遣法の抜本改正を行うべきである」と訴え、生協労連・桑田委員長は「密室の談合で、国民生活や日本の経済、なによりも被災地の復興を妨げる消費税の増税を推進しているこの異常な状態に抗議するとともに、断固として阻止するたたかいを精一杯やる」と冒頭にのべ、「これから第2の賃金闘争が始まるという意味が、この最賃闘争にはある」と熱い思いを語りました。
埼労連の市川副議長は「今の日本は言うまでもなくおかしい。非正規がどんどん増やされ、日本だけ賃金が13年間減り続けている。年収200万円以下の人が1,100万人になろうとしている。こんな国はおかしい。これ以上、国民の生活を逼迫させてはいけない」と怒りを込め、地域から世論をつくりだす決意をのべました。最賃裁判をたたかう神奈川からは県労連・山田事務局長が「私は、まともに人間らしく未来に希望を持って生きることの難しさを痛感しています。私は、今の最賃の5つのごまかしで、本来あるべき明るい未来を奪った国が憎いです。絶対勝って時間給の引き上げを勝ち取りたい」という原告の声を紹介し「厚労省、審議委員はこうした生の声を真摯に受け止めるべきである」と強く求め、愛媛労連・竹下事務局長は「地賃の議論は、中賃の目安ありきで、中賃の答申で示された金額が議論の垣根を決める。四国ブロックでは今春闘期に1,100人の協力で最低生計費試算調査に取り組み25歳単身者の試算を出した。年収でおよそ260万円、月額で22万円、時間額で1,260円となった。現在の最賃を倍にしないと、生活できる最賃にはならない。中賃の審議委員は地方で働く労働者の生活実態を見つめ、声を聞き、働く貧困層の解消を行える答申をするよう強く求める」と中賃の目安答申が地方に与える影響を訴えました。
座り込みスタート行動 めざせ1,000円! 263分座り込み
降り続いていた雨もやみ、13時からは、当面の目標である最賃時給1,000円と全国加重平均737円との差額である263円=263分の座り込み行動を開始しました。
座り込みスタート行動では、大阪労連・川辺議長が「最低賃金を大きく引き上げることを強く求める」と決意を述べたのをはじめ、自治体労働者、青年、女性を代表して自治労連・岡崎中央執行委員が、首都圏よりも交通費などがかかる地方での生活賃金の状況を報告。全教・磯崎副委員長が子どもと家庭の貧困格差の問題を告発し、自交総連・菊池書記次長は最低賃金ギリギリで働くタクシー労働者の実態を訴え、「全国一律最賃1,000円以上の実現」への決意を語りました。
非正規の仲間声をあげよう! 均等待遇の実現を
14時からは、パート臨時連絡会を中心に路上パフォーマンス、リレートークを展開しました。パート臨時連絡会・柳代表のあいさつにつづき、生協労連の仲間が「最賃ソング」を披露。マスコットキャラクター"最賃クン"も登場し、参加者を大いに盛り上げてくれました。
リレートークでは、参加者が次々にマイクを握り、新宿区労連・保科常任幹事は、契約社員として働いていた女性が妊娠をし、産休、育児休業を申し入れたことを機に雇い止めをされた事例を語り、「雇用期間の限られている労働者が、妊娠、出産、育児という面でも不利益を被らざるを得なくなっている。生活の質の面でも、均等待遇の実現できる社会にしていかなくてはならない」と訴えたのをはじめ、「最賃を大幅に引き上げて官制ワーキング・プアをなくそう。模範的な自治体は、模範的な発注者でなければならない」、「中賃の目安が地方での足かせになっている」、「最低限暮らしていきたい。生きていきたいという思いで座っている」、「自治体労働者・教職員の非正規化も加速している。なんとかしなくてはいけない」といった参加者の切実な声に大きな拍手が沸き起こりました。
最賃引き上げ・生活保護改悪反対アピール 憲法25条を守ろう!
15時からは、「生存権裁判」をたたかう仲間も加わり、アピール行動を続行しました。
全国生活と健康を守る連合会・前田事務局次長は、一個人を名指しするなどして「生活保護をもらう事が恥ずかしいことだ。悪いことだ」といった世論を作り上げようとしている『反生活保護キャンペーン』を行うマスコミのあり方を痛烈に批判し、「社会保障と税の一体改革の中身は、『社会保障は自己責任で行い、それでも駄目なら助け合いでやってください』といった、憲法25条そのものをなくす内容だ」「憲法25条に保障された"生存権"を守っていきましょう」と呼びかけました。
つづいて、自治労連・猿橋書記長が講師となり『生活保護路上ミニ学習』を行いました。(1)生活保護を利用している人たちが排除されるとともに、今後生活保護制度が利用しにくくなる(2)生活保護基準をもとに設定されている様々なボーダーライン対策を利用できなくなる(3)政府の公的年金や最低賃金の改善努力が小さくなるなど、生活保護が引き下げられたら、私たちの生活がどうなるかを、分かりやすく説明し、国が狙う生活保護制度の実態を指摘し、「今こそ憲法25条に基づく国家責任の追及をしていきましょう」と呼びかけました。
その後も、リレートークがつづき、「青森の最賃647円。1日8時間働いても手取りで10万円を切る。これでは自立して生活できない」(青森自治労連・高橋さん)。被災地の現状を語った宮城生協労組の伊藤さんは「中賃の審議委員も被災地で暮らしてみてください。私たちの切実な要求が分かるはずです」と昨年1円に抑えられた被災地の怒りを訴えました。
ILO94号条約を批准せよ! 渋谷区で公契約条例制定
曇り空から時折光も差し込み、公契約の適正化を求める要請行動を開始。全労連・斉藤寛生常任幹事が6月20日に東京都渋谷区で公契約条例が制定され、全国各地で公契約条例に関する運動が前進していることを報告。建交労・赤羽書記長は自治体関連で働く仲間の賃金が一般競争入札制度により引き下げられている現状を告発し「官制ワーキング・プアの温床になっている、構造改革路線による規制緩和を止める公契約の適正化に全力をあげて取り組んでいきます」と決意をのべ、大阪労連・嘉満さんは「大阪市の地下鉄で働く清掃労働者が競争入札の中で時給が最低賃金まで引き下げられ、大阪市で雇われている労働者が大阪市から生活保護を受けることになった。要請などの運動により、一般競争入札から総合評価方式に変わり、今年の2月から時給が1,000円になった。」と運動の成果を報告し、今後も公契約制度を広げる運動を強めていくことを表明しました。
最賃プラカード・川柳コンテスト コープ鹿児島・福丸さんダブル受賞!
コンクールの優秀作品発表に先立ち、6月14日に閉会したILO(国際労働機関)総会に参加した全労連・国吉事務局員が「若者の雇用危機が世界的な課題となっている」ことなどを報告しました。
待ちに待った「最賃プラカード」、「最賃川柳」コンテスト受賞者の発表。優秀作品には豪華景品として"最賃Tシャツ"とQUOカードがプレゼントされました。
『最賃プラカード』受賞作品
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☆最優秀作品賞 |
京都総評 鎌野さんの作品
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☆優秀作品賞 |
全労連・全国一般 資生堂アンフィニ分会 池田さんの作品
生協労連・コープ鹿児島 福丸さんの作品
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『最賃川柳』受賞作品
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☆最優秀作品賞 |
生協労連・コープ鹿児島 福丸さんの作品
「所帯もつ 若い二人は ひんこん(新婚)さん」
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☆優秀作品賞 |
大阪労連 嘉満さんの作品
「最賃の 三桁(みけた)引き上げ 見てみたい」
神奈川自治労連 河野さんの作品
「1,000円へ スピード違反は 適用なし」
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終結集会 主体的な運動で要求の前進を
最賃行動の一環として、14時から審議会委員との懇談(生協労連、四国・東北ブロック)、16時から厚生労働省・賃金時間室とのヒアリング「被災地における賃金事情と最賃」(東北ブロック)が行われ、終結集会では審議会委員との懇談に参加した生協労連・桑田委員長、徳島労連・森口事務局長、愛媛労連・竹下事務局長が、仲間の切実な思いを伝えてきたことを報告。つづいて、有期雇用規制について全労連・江花常任幹事が情勢報告をしました。激しい雨も予想される中行った263分座り込みも、天候に恵まれ、閉会あいさつに立った全労連・根本隆副議長は「私たちの生活は大変になっています。いつクビを切られるかわからない。暮らせない賃金の中で、なぜ消費税を増税するのか許せない思いで一杯です。大雨も予想されたが『天は我々に味方した』。しかし私たちのたたかいは他力本願ではいけない。最低賃金、公契約、公務員賃金、有期雇用規制など様々なたたかいを、主体的に大きく盛り上げていきましょう」と力強く呼びかけました。
座り込みには114人が参加し、この日5回目となるシュプレヒコールを、霞が関の空に響かせました。